おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

商いの方法は千差万別 作家SOWが語る「100万円の売上」の見方

update:

 ライトノベル作家のSOWさんが、Twitterに投稿した「商い」に関する内容が反響をよんでいます。

  •  「商いというのはなかなか複雑なものでしてね。『年に一回やってきて、100万円使う客』一人よりも、『週に一回やってきて、100円使う客』2百人の方が、実はありがたかったりするんですね」

     SOWさんは続く投稿で、下記のように具体例を紹介されています。

    「『え、どっちも同じ総額100万円くらいでしょ?』と思うかもですが、そこがさにあらずでして、前者の場合は、いつ来るかわからない客のために、100万円相当の準備を常に行わなければならない。この維持費ってのがものすごいんです」

    「逆に、100円の客が二百人ってのは、だいたい一日平均30人は来ます。確実に来る彼ら相手に、常に100円の態勢をとっていればいいんです。安定感が違います」

    「確かに、客数は少ないが客単価は高い店はありますが、そういうお店は、『常に高額なサービスに応じた態勢』を整えることに膨大なコストを支払い、その分も料金に加わっているんです。そこらへんをわかっているお大尽向けの商いなんです」

     これは、言い換えれば「薄利多売」と「厚利少売」という話にもなります。前者については、本稿を読まれている皆様も幾度か耳にしたことがあるのでしょうか。

     どちらかというと、ネガティブな意味にもとらわれがちなのが「薄利多売」という言葉。しかしポジティブに考えれば「利率を下げても商売が可能な商材」ということ。つまり、大量生産が可能な商材(サービス)だから実施できるわけです。

     一方「厚利少売」というのは、その名の通り「少数販売するだけで、高い利益が見込める商材」。一見すると、理想的な商売に思われますが、大量生産が出来ず、製造維持などのコストも別途必要となる代物。そのため、究極の理想である「厚利多売」がしたくても出来ず、スモールビジネスで機能しやすい傾向にあります。

     つまり、SOWさんの語る「週に一回やってきて、100円使う客」は、「薄利多売」という名の「価格」を選ぶ客。反対に、「年に一回やってきて、100万円使う客」は、「厚利少売」という「価値」を選ぶ客ということになります。

     しかしながらこれは、どっちが良い悪いというわけではなく、「ケースバイケース」な要素も強い話です。というわけで、商いとはなかなか奥深いというお話。頭では理解しつつも言語化しにくいものですが、SOWさんの軽妙な語り口もあり、結果3万を超えるいいねが寄せられる反響となっています。

     そんなSOWさんですが、現在は小学館より展開されているレーベル「ガガガ文庫」にて、原作を担当する「剣と魔法の税金対策」が4巻まで発売中。

    現在も作家活動中のSOWさん。小学館より展開されているレーベル「ガガガ文庫」にて、「剣と魔法の税金対策」が4巻まで発売中です。

     また、KADOKAWA刊行の漫画雑誌「少年エース」では、「新選組チューボー録」の原作を、同じくKADOKAWA刊行の「ガンダムエース」では「機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE」のストーリーを担当されています。

    <記事化協力>
    SOWさん(@sow_LIBRA11)

    (向山純平)

    あわせて読みたい関連記事
  • 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え
    エンタメ, 芸能人

    松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超…

  • 「ジョブ型雇用の今」調査レポート発表 評価報酬制度などに課題
    企業・サービス, 経済

    「ジョブ型雇用の今」調査レポート発表 評価報酬制度などに課題

  • 薬局の種類の違いで支払い金額が違う?医薬品とお金に関する調査
    企業・サービス, 経済

    薬局の種類の違いで支払い金額が違う?医薬品とお金に関する調査

  • 三井住友海上が挑戦を後押しする目標設計ダイアリーを無料配布 「やってみるカメ?プロジェクト」開始
    イベント・キャンペーン, 経済

    三井住友海上が挑戦を後押しする目標設計ダイアリーを無料配布 「やってみるカメ?プ…

  • 手づくりのおこづかい明細書
    インターネット, おもしろ

    給与明細そっくりの「おこづかい明細書」 子どもからの反応は「鬼畜」

  • 新紙幣発行で旧紙幣が使えなくなる?財務省が詐欺行為への注意を呼び掛け
    社会, 経済

    「現行の日本銀行券が使えなくなる」などの詐欺行為 財務省が注意を呼びかけ

  • チャットツールの謎マナー……メンションする際に"さん"付けする?しない?
    インターネット, 社会・物議

    チャットツールの謎マナー……メンションする際に「さん」付けする?しない?

  • 5歳の女の子制作「超お金持ちの服」 切り刻まれた紙幣?に思わず仰天
    インターネット, おもしろ

    5歳の女の子制作「超お金持ちの服」 切り刻まれた紙幣?に思わず仰天

  • LINEの起動画面の画像
    ライフ, 雑学

    LINEの返信が遅い人に「イラつく!?」 対する返信遅い人の言い分は……

  • 「企業人orフリーランス」「出社or在宅」 今こそ考えたいこれからの「働き方」
    社会, 経済

    「企業人orフリーランス」「出社or在宅」 今こそ考えたいこれからの「働き方」

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロティカ解禁」方針
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロテ…

  • ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年
    ゲーム, ニュース・話題

    ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年

  • 鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更
    社会, 経済

    鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更

  • “幸福度が高い”と評判のジョナサン「早生みかんスイーツ」 今年は新作大福も仲間入り
    商品・物販, 経済

    “幸福度が高い”と評判のジョナサン「早生みかんスイーツ」 今年は新作大福も仲間入…

  • ヤマト運輸、元従業員が取引先情報を不正持ち出し 2社に流出、営業活動での使用も確認
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、元従業員が取引先情報を不正持ち出し 2社に流出、営業活動での使用も確…

  • YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能にする試験導入を発表
    インターネット, サービス・テクノロジー

    YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能に…

  • トピックス

    1. うまトマバジルチキン定食

      松屋がパスタ定食始めた!? 44店舗限定「うまトマバジルチキン」実食

      松屋は10月14日から、うまトマソースでパスタが楽しめる「うまトマバジルチキンプレート」を全国44店…
    2. その場の“昔”を撮る レンズのない「思い出カメラ」に感じる未来の風

      その場の“昔”を撮る レンズのない「思い出カメラ」に感じる未来の風

      レンズがないのに写真が撮影できる、そんな不思議なカメラ「思い出カメラ」がXで話題です。発明家の堀洋祐…
    3. 【実食】コメダ珈琲店の「ドデカメンチバーガー」は名前に偽りなし バンズからはみ出す“肉の暴力”

      【実食】コメダ珈琲店の「ドデカメンチバーガー」は名前に偽りなし バンズからはみ出す“肉の暴力”

      コメダ珈琲店は10月16日から「ドデカメンチバーガー」と「ドデカチーズメンチバーガー」の2種類のバー…

    編集部おすすめ

    1. ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロティカ解禁」方針

      ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロティカ解禁」方針

      米OpenAIのCEO、サム・アルトマン(Sam Altman)氏が10月15日と16日に自身のX(旧Twitter)で投稿した内容が、世界…
    2. ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年

      ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年

      ガンホー・オンライン・エンターテイメントは10月16日、スマートフォン向けアクションパズルゲーム「ケリ姫スイーツ」のサービスを、2026年1…
    3. 鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更

      鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更

      三重県の鳥羽水族館は10月15日、人気配信「鳥羽水族館ラッコ水槽ライブカメラ」の映像内容を一部変更すると発表しました。今後は、給餌の際などに…
    4. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    5. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト