おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

子連れで帰省する方必見 祖父母に共有しておきたい「子育ての今」 

 昨年と比較し全国的に新型コロナウイルス感染状況が落ち着きを見せつつある中、今年こそ年末年始帰省をする、と考えている方も多いはず。一方、小さな子ども連れで帰省する際に祖父母と子育てに対する価値観が異なるため、少し億劫に感じている、ということはありませんか?

 共働き、核家族化などの要因により、この30年で子育てを取り巻く環境も大きく変わりました。現役の子育て世代と子育ての先輩とでは価値観が異なって当然。だからこそ双方で共有しておきたい「子育ての昔と今」の違いを「教えて!ドクター」プロジェクトチームがスライドを使いわかりやすく紹介しています。

  •  「教えて!ドクター」は長野県の佐久総合病院小児科が中心となってが運営しているプロジェクト。子どもの病気、ホームケア、子育て支援など、子育てに関する情報発信をホームページ、無料アプリ、ツイッターにて行っています。

     ツイッターで共有したのは全3つからなるファイル。「子育ての先輩と現役の皆さんへお互いが知っておくべきこと」「病気、発熱、食物アレルギーの今昔」「育児方法、栄養の今昔」というテーマ毎に子育ての昔と今を比較し、具体例と共に解説しています。

    ■ 子育ての先輩と現役の皆さんへお互いが知っておくべきこと

    初めは相互で理解しておきたい「子育ての昔の今」について

     具体例紹介の前に、まずはリードとして書かれているのが「今と昔では子育てを取り巻く環境が大きく変わっていますよ」ということ。

     子育ての先輩である祖父母たちは絶対的な経験を持っていますが、よかれと思ってやったことが実は誤っていたり、時に相手に負担を与えてしまうこともあるでしょう。こうしたトラブルを防ぐために、常に知識をアップデートしておく必要がありますし、なによりも相手の「子育てに対する方針」をしっかり聞いておくこと、「必要以上に手や口を出さない」ことが重要です。子どもを見たり、預かったりする際はこうした点をすり合わせておきましょう。

     一方、現役の子育て世代の方ももちろん、祖父母を取り巻く環境も変わっている、という事を知っておく必要があります。考え方や価値観の違いを頭ごなしに否定することが無用な緊張を生む原因となります。今はこんな感じだよ、とマイルドに伝え、手助けをしてもらうことに感謝の気持ちを持ちましょう。

     大前提として双方がこのように「今と昔の環境の違い」を理解しておくことが、何よりも大切な事です。

    ■ 病気、発熱、食物アレルギーの今昔

    2枚目は「病気、発熱、食物アレルギーの今昔」

     続くスライドでは「病気、発熱、食物アレルギーの今昔」というタイトルで、各項目で今と昔の病院での指導の違いが具体例を挙げて書かれています。

     一見するだけでも、昔と今では対応方法がまるっきり違うことが分かります。中には180度真逆のことも。

     例えば発熱時の対応。昔は「とにかく布団にくるまり汗をたくさんかくと熱が下がる」と言われたものですが、現在の病院の指導方法ではNG。熱がこもりやすく脱水になりやすい為、むしろ薄着して涼しく快適にする、という対応方法が正となります。

     その他にも「けいれん時は舌をかまないように口の中にモノを入れる→嘔吐物がブロックされて窒息の原因になる為、口の中には何も入れてはいけない」「食物アレルギーになりやすい食べ物を与えるのは遅い方が良い→アレルギーの発症を心配して離乳食開始を遅らせる必要はない」など、定説とされていたことが医学の発達により変わっていることが良く分かります。

    ■ 育児方法、栄養の今昔

    3枚目は「育児方法、栄養の今昔」

     最後のスライドでは、「育児方法、栄養の今昔」をご紹介。特に育児方法については言伝のように受け継がれていることがあり、医学的に根拠のない方法であったこともしばしば。

     「抱っこは抱き癖が付くからしすぎないほうが良い」「おむつ外しは2歳までに完了」「3歳までは保育園に入れずに母親が子育てに専念して見るべき」といったような育児論は現在も時折耳にしますが……これらも根拠がないもの。さも常識のように言われ伝えられてきただけなのです。

     栄養についても同様ですが特に「離乳食は手作りであるべき。だしを取るところから気を付けなくてはいけない」という慣例はその典型。現在の市販のベビーフードは粘度や粒の大きさも調整され、もちろん栄養もばっちり。むしろ積極的に活用するべきとも言われます。

     「取るべきなのはダシよりも睡眠」とありますが、これは名言だと思います。

    ■ 大切なのは現役世代と先輩の相互の理解

     祖父母にわかってもらえなくてイライラする……で終わらせるのではなく、相互で理解しておきたい「子育ての昔と今」。

     「10年ひと昔」という言葉がありますが、特に情報の取得方法が増え、伝達スピードが向上した現代では、1年前の情報ですらもう古いことである可能性も。なので、昔と今の子育てが異なるのはむしろ当たり前のことなのです。

     今回ご紹介したスライド版だけでなく、印刷しやすいPDFファイル(https://oshiete-dr.net/pdf/20211202_sofubo.pdf)やスマホでも見やすい縦長版も同時に公開されています。年末年始に帰省を計画している方は、ぜひ今回ご紹介した「教えて!ドクター」プロジェクトチームのファイルを使って、子育てについて話し合う機会を設けてみてはいかがでしょうか。

    <記事化協力>
    教えてドクター佐久さん(@oshietedoctor)

    (山口弘剛)

    あわせて読みたい関連記事
  • 31年の歴史に幕……講談社の幼児誌「げんき」が休刊を発表
    商品・物販, 経済

    31年の歴史に幕……講談社の幼児誌「げんき」が休刊を発表

  • チョコスプレーをひとつずつ食べる息子……夫婦のキレキレなやり取りに18万いいね
    インターネット, おもしろ

    チョコスプレーをひとつずつ食べる息子……夫婦のキレキレなやり取りに18万いいね

  • 「携帯見せてください」令和の子どもが遊ぶ“進化したお店屋さんごっこ”が話題
    インターネット, おもしろ

    「携帯見せてください」令和の子どもが遊ぶ“進化したお店屋さんごっこ”が話題

  • これは完璧に隠れているね……2歳児の“本気のかくれんぼ”が可愛すぎる
    インターネット, おもしろ

    これは完璧に隠れているね……2歳児の“本気のかくれんぼ”が可愛すぎる

  • あなたならどうする?3歳とのババ抜きで丸見えのジョーカーに母、葛藤
    インターネット, おもしろ

    あなたならどうする?3歳とのババ抜きで丸見えのジョーカーに母、葛藤

  • 大好きな粉薬が切れて泣く3歳児 悩んだ親が与えた食材に「健康的」
    インターネット, おもしろ

    大好きな粉薬が切れて泣く3歳児 悩んだ親が与えた食材に「健康的」

  • ヨーグルトの空き容器で特大タワーを制作 父と2人の息子が作った圧巻の光景に「もはや芸術」
    インターネット, おもしろ

    ヨーグルトの空き容器で特大タワーを制作 父と2人の息子が作った圧巻の光景に「もは…

  • ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう
    インターネット, おもしろ

    ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

  • ベビーカーに乗ってほしい娘にベビーカーのおもちゃを与えた結果……まさかの逆効果に
    インターネット, おもしろ

    ベビーカーに乗ってほしい娘にベビーカーのおもちゃを与えた結果……まさかの逆効果に…

  • 「マツモトキヨシに寄っていい?」母が発した何気ない一言に4歳息子が恐怖
    インターネット, おもしろ

    「マツモトキヨシに寄っていい?」母が発した何気ない一言に4歳息子が恐怖

  • 山口 弘剛‌Writer

    記事一覧

    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 31年の歴史に幕……講談社の幼児誌「げんき」が休刊を発表
    商品・物販, 経済

    31年の歴史に幕……講談社の幼児誌「げんき」が休刊を発表

  • 製造後10日以内の「できたて」シリーズにじゃがりこ初登場 セブン‐イレブンで数量限定発売
    商品・物販, 経済

    製造後10日以内の「できたて」シリーズにじゃがりこ初登場 セブン‐イレブンで数量…

  • 「えっ、獲れた!?」猫じゃらしをキャッチした瞬間の驚愕の表情
    インターネット, おもしろ

    「えっ、獲れた!?」猫じゃらしをキャッチした瞬間の驚愕の表情

  • 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性
    インターネット, 社会・物議

    善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

  • 「クリスマスにはシャケを食え!」サモーン・シャケキスタンチン仕様の「シャケ専用グリル」が爆誕
    商品・物販, 経済

    「クリスマスにはシャケを食え!」サモーン・シャケキスタンチン仕様の「シャケ専用グ…

  • スタバ新作「ホット アップル サイダー」は温かい炭酸なのか!? 未知の領域すぎるので確かめてきた
    グルメ, 商品・サービス

    スタバ新作「ホット アップル サイダー」は温かい炭酸なのか!? 未知の領域すぎる…

  • トピックス

    1. 違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      旧き良き銭湯が異次元の入浴空間に変身するイベント「脳汁銭湯」が、11月26日から12月7日まで東京・…
    2. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…
    3. フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      SNS上には今日も、「○○が当たる!」といったプレゼント告知があふれています。いまや日常の景色と言っ…

    編集部おすすめ

    1. 誤表記

      もちづきさん、カロリーを低く表記し謝罪 読者に“チェック”呼びかけ

      漫画「ドカ食いダイスキ! もちづきさん」公式Xが11月27日夜に更新し、作品の一部でカロリーを実際よりも低く表記していたと謝罪しました。当該…
    2. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    3. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に基づく誤通報だったことが判明。通報者自身…
    4. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    5. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト