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ネクタイ職人が語る思い出の依頼 仕立て直しを引き受けた「ボロボロのネクタイ」にまつわる感動エピソード

 ボロボロに擦り切れたネクタイの裏にあった感動のエピソードを、ネクタイブランド「SHAKUNONE」を展開する株式会社笏本縫製代表取締役の笏本達宏さんが、自身のTwitterで紹介。「朝から泣かさないでください」「思わず涙ぐみそうになりました」など反響を呼んでいます。

  •  笏本さんに話をうかがうと、これは5年ほど前の話。60代の男性から「なんとかこのネクタイを結びたい」と仕立て直しの依頼があったそう。手元に届いたネクタイを見てみると、「剣先は摩擦で毛羽立ち、一部にはうすい汚れ、軽度の日焼けのような型もついていた」といいます。

     通常、ネクタイの仕立て直しは1日ほどで可能なのだとか。しかし、今回は一度バラバラにした状態にし、できる限りシワや汚れを除去。「どうすれば綺麗に仕上げられるか」「元の形を崩さないように仕立て直せるか」など、熟考しながら作業をすすめた結果、最終的に3日ほどかかったそうです。

     完成したネクタイを依頼主である60代の男性に発送した数日後、お礼の電話が。その男性によると、ネクタイは前年に亡くなられた妻からのプレゼントで、「何とかもう一度結びたい」と思っていたのだとか。

     「ありがとう。去年亡くなった妻からもう1度プレゼントされたようで嬉しかった」と感謝の気持ちを伝えられた笏本さん。「職人冥利に尽きる。また、この仕事を誇らしく思えた」と率直な気持ちをツイートに綴っています。

     「SHAKUNONE」の製品は繊細なシルク素材を使用しており、革製品やデニムのような経年変化を楽しむようなものではないので、大切に使った後は新しい製品に買い替える人がほとんど。

     まれに「娘が初給料で買ってくれたネクタイが捨てられないから」「妻から貰ったネクタイをうっかり洗濯してしまったから」などの理由で仕立て直しを依頼する人はいるものの、今回のようにお礼の電話をもらうことは多くはないそうです。

     「モノ」を通して、1人1人に「モノガタリ」があることを再認識したと語る笏本さん。「さらに気持ちが引き締まりました」と、職人としての意欲を新たに奮い立たせていました。

    <記事化協力>
    しゃくさん(@shakunone)
    株式会社笏本縫製

    (佐藤圭亮)

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