おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

20年ぶり再開のNゲージが大発展 4年間の移り変わりに注目

 一旦中断していた趣味を再開すると、以前より深くハマってしまった……そんな話を時々耳にします。20年ぶりにNゲージ鉄道模型を再開した方が、この4年間の移り変わりを投稿。年を追うごとに充実していくレイアウトの発展ぶりは、まるでブランクを取り戻すかのような勢いです。

  •  初めてのNゲージは幼稚園時代のコキ(コンテナ貨車)だった、というSERENAさん。宝物として少しずつ車両やレールを揃えていき、コレクションを増やしていったそうですが、高校時代にバンド活動を始めたことで徐々に遠ざかり、社会人になっては車に凝りだしたこともあって、鉄道模型は物置に。

     それでも、途中で引っ越した際に色々なものを処分した時でも、わずかながら愛着のある車両たちを残していたのだとか。結婚してお子さんが誕生すると、2人のお子さんに鉄道ファンとしての「英才教育」を施したのだといいます。

     英才教育の甲斐あって、当時6歳の娘さんと3歳の息子さんは鉄道に興味を抱くように。ならば鉄道模型の走る様子を見せてあげよう……と、物置から大事にしまってあった車両を出してきたのが4年前とのこと。SERENAさんが鉄道模型を中断してから、20年の時が流れていました。

    鉄道模型のレイアウトを覗き込むSERENAさんと当時6歳の娘さん(SERENAさん提供)

     大人になって再開した趣味は深くハマりやすい、と聞きますが、SERENAさんもその例にもれなかった模様。いつしかお子さんに見せるよりも、自分の方が熱くなっていったのだそうです。最初は基本的な初心者向けレイアウトだったのが、年を追うごとに内容が充実していきました。

     奥様からあらかじめ釘を刺され、スペースは畳1畳分の下敷きマット内、という制限が課されたレイアウト。しかしそれを「マットの中ならば自由にできる!」とプラスに考えたSERENAさん。再開翌年には線路の配線が変わり、建物の数が増えました。

    再開2年目のレイアウト(SERENAさん提供)

     3年目には配線に手を加え、車両の留置線や高架線の位置を変更。建物の数も充実しただけでなく、木などの情景小物も導入し、一気にジオラマらしさが出てきました。

    再開3年目のレイアウト(SERENAさん提供)

     そして4年目の現在。「レイアウト制作を始めるにあたって、知識や技術も無かったので見よう見まね思いつくままに線路を繋げてはやり直しを繰り返した結果」というレイアウトは、線路部分のおよそ4分の3が雪に覆われたものとなりました。

    再開4年目の現在(SERENAさん提供)

     これにはちょっとした理由がある、とSERENAさんは語ります。20年ぶりに再開した鉄道模型の様子をTwitterにアップしてはどうか、と奥様に提案され、色々やってみたものの、Twitterにはウェザリングやジオラマ作りの達人が多く、あまり注目はされません。自分もそこに近づきたいと考えた結果が、雪だったのだそう。

     「元々私は寝台特急が大好きで、冬の北斗星やあけぼの等、雪と鉄道のカッコ良さは十二分に知っていたので挑戦する事にしました。最初はEF64を見よう見まねで『自分の思うカッコイイロクヨン』を制作し投稿したところ、いきなり1500超えのいいねをもらい、すごく嬉しかったのを覚えています」

     そこから、雪と格闘するウェザリングをした車両を雪景色の中で走らせたい、という欲求が生まれたのだとか。最初は駅の周辺に雪の降り積もった景色を再現していき、少しずつ情景描写が充実するとともに、その範囲は拡大していきました。

    雪の情景表現を始めた当初(SERENAさん提供)

     レイアウトの下に白い布を垂らし、雪景色との一体性を出していくのと同時に、駅も雪の似合うローカル色豊かなものにリニューアル。いつの間にか、都会のレイアウトは雪深い北国の情景へと変貌しました。

    白い布を垂らしレイアウトと一体化(SERENAさん提供)

    駅も雪の似合うローカル色豊かなものに(SERENAさん提供)

     「最初は注目されたかった部分もあり雪表現をしてみましたが、結局、自分の鉄道に対する思いや憧れ、好きな情景その全てが『雪と鉄道』に含まれていたんです。厳しい自然環境に立ち向かう車両と鉄道マン。旅客も含めてすべてがカッコイイ。本籍は岩手県なので、自分に流れてるDNAが雪と合ってたんだと思います(笑)」

    雪降りしきる中の駅弁売り(SERENAさん提供)

    除雪を終えたDE15のラッセル車(SERENAさん提供)

     SERENAさんは雪のウェザリングをした車両をレイアウトで走らせ、そこに降りしきる雪のエフェクトを加えた画像もTwitterに投稿しています。今はもう運転されていない列車も、模型ならばいつでも見ることができる。鉄道模型ならではの醍醐味ですね。

    大雪の中を進む特急はつかり(SERENAさん提供)

     今後の構想についてうかがうと、雪景色にしていない部分をどうするかは、まだ決めていないとのこと。すべて雪景色になるのも素敵ですが、同じレイアウトの中で違う季節を再現できるのも模型ならではの楽しみなので、気になる方はTwitterをこまめにチェックしていると、進展を見られるかもしれません。

    <記事化協力>
    SERENAさん(@serena_c26)

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 「魔法みたい」額縁の中で走り続ける電車 精巧なジオラマに10万いいね
    インターネット, おもしろ

    「魔法みたい」額縁の中で走り続ける電車 精巧なジオラマに10万いいね

  • コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的
    インターネット, おもしろ

    コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的

  • Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに
    企業・サービス, 経済

    Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに

  • 交通系ICカード沼にハマった男、7年かけて国内87種収集 「ほぼコンプしてた」
    インターネット, おもしろ

    交通系ICカード沼にハマった男、7年かけて国内87種収集 「ほぼコンプしてた」

  • 画像提供:がみぃ~さん(@JY09gami3)
    インターネット, おもしろ

    溜池山王駅の隠れた名物!電車部品を再利用したロマンあふれる自販機が話題

  • 観光誘客へ一手 銚子電鉄が「犬吠崖っぷちライン」に路線愛称変更
    企業・サービス, 経済

    観光誘客へ一手 銚子電鉄が「犬吠崖っぷちライン」に路線愛称変更

  • 井の頭線1000系(自動運転設備搭載車両)
    企業・サービス, 経済

    京王電鉄、井の頭線で自動運転の実証試験 3月中旬から

  • 全68駅制覇の証!鋏痕だらけの「国電フリー乗車券」が物語る昭和56年のクリスマス
    インターネット, おもしろ

    全68駅制覇の証!鋏痕だらけの「国電フリー乗車券」が物語る昭和56年のクリスマス…

  • 冬の電車の“あの暖かさ”を自宅で再現!「まるで電車の座席ヒーター」が発売
    商品・物販, 経済

    冬の電車の“あの暖かさ”を自宅で再現!「まるで電車の座席ヒーター」が発売

  • 画像提供:鉄道カフェTA-TA(たあた)公式X(@CAFETATA_KYOTO)
    インターネット, おもしろ

    新幹線の車内を再現!京都の鉄道カフェがリアルすぎる

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更
    社会, 経済

    鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更

  • “幸福度が高い”と評判のジョナサン「早生みかんスイーツ」 今年は新作大福も仲間入り
    商品・物販, 経済

    “幸福度が高い”と評判のジョナサン「早生みかんスイーツ」 今年は新作大福も仲間入…

  • ヤマト運輸、元従業員が取引先情報を不正持ち出し 2社に流出、営業活動での使用も確認
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、元従業員が取引先情報を不正持ち出し 2社に流出、営業活動での使用も確…

  • YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能にする試験導入を発表
    インターネット, サービス・テクノロジー

    YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能に…

  • 南インド伝統のチキンカレー「ケララチキンカレー」
    商品・物販, 経済

    松のやが南インド伝統の味を再現 「ケララチキンカレー」新発売

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • トピックス

    1. 【実食】コメダ珈琲店の「ドデカメンチバーガー」は名前に偽りなし バンズからはみ出す“肉の暴力”

      【実食】コメダ珈琲店の「ドデカメンチバーガー」は名前に偽りなし バンズからはみ出す“肉の暴力”

      コメダ珈琲店は10月16日から「ドデカメンチバーガー」と「ドデカチーズメンチバーガー」の2種類のバー…
    2. 自宅に“機内”を再現!「飛行機オタク」が作り上げた最高の趣味部屋

      自宅に“機内”を再現!「飛行機オタク」が作り上げた最高の趣味部屋

      趣味を持つ人なら憧れる、好きなもので埋め尽くされた趣味専用の部屋。本、ゲーム、楽器、絵画、彫刻など自…
    3. 藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      プロの声楽家として活動する傍ら、1時間1000円から自分の時間を「レンタル」している男性。キャリア豊…

    編集部おすすめ

    1. 鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更

      鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更

      三重県の鳥羽水族館は10月15日、人気配信「鳥羽水族館ラッコ水槽ライブカメラ」の映像内容を一部変更すると発表しました。今後は、給餌の際などに…
    2. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    3. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    4. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    5. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト