筆者の居住地である「鹿児島」には、他県民に驚かれる風習や文化が多数ありますが、先日ネットを賑わせていたのは、市民にはお馴染みの「宅地内降灰指定置場」の看板。

 赤丸の中に「灰」の文字が書かれたマークが印象的なこの看板……「珍しいものだったんだ」とびっくりしましたが、あなたにはこれが何を意味するものか、わかりますか?

 正解は、「桜島の噴火により降った灰を袋に入れて置いておくための場所」を知らせるためのもの。主にごみステーションなどと併設されているため、道を歩けば文字通り「そこら中で」見かける看板なのです。

ゴミステーションと併設されているパターンが主

 道路に積もった灰は、専用車両「ロードスイーパー」が取り除いてくれますが、自宅敷地内等に積もった灰はそうは行きません。灰が降った翌日は、各自軒先で灰を掃除する光景がよく見られます。

 各家庭で集めた灰を袋に入れ、「宅地内降灰指定置場」に置いておけば市が回収してくれるという仕組み。ここに袋一杯に詰められた灰が山積みになっている……というのも、市民にとってはお馴染みの光景と言えるでしょう。

市が配布する克灰袋

 ちなみに、灰を集める袋にも指定があり、市が配布する全体が黄色のビニール袋が用いられます。「降灰に強い快適な都市を目指し、積極的に降灰を克服しよう」という意欲を込めて、名付けられた名称は「克灰袋(こくはいぶくろ)」。

 先日も国体開催期間中に桜島の大きな噴火があり、市内を中心に大量の降灰に見舞われましたが、その際にも「宅地内降灰指定置場」に、灰がたくさん詰められた克灰袋が大量に積まれている光景を見かけました。

降灰の後には山積みされた克灰袋が

 全国的にも珍しい降灰地域である鹿児島ですから、たしかに県外の方に少し変わっていると思われるのは当然のことなのかもしれません。しかしながら、県民にとって桜島や灰は他県に誇る特色のひとつ。皆仕方ないと思いながら、上手く付き合っているのです。

 もしも鹿児島市を訪れる機会があれば、「宅地内降灰指定置場」の看板と、黄色の「克灰袋」にも注目してみてくださいね。

(山口弘剛)