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ハムスターを宅配便で譲渡しないで……保護団体が注意喚起

 ペットを迎えることは、命への責任が伴うということ。万が一飼えなくなってしまった場合は、里親募集を呼び掛け、自ら直接運ぶなど、適切な方法で譲渡することが必要です。

 しかし、中には善意を装い、無理な繁殖により生まれた赤ちゃんを、譲渡しようとする人も。さらに、ハムスターの例では生きたまま宅配便で送る……なんて事案も発生しているそうです。「一般社団法人 ハムメディア」が公式Xで注意を呼び掛けています。

  • ■ 不適切な動物の輸送は送り主に懲役や罰金が科せられる場合も

     今回の呼び掛けはハムスターの事案ですが、まさかそんなことが実際に起きているとは。こうした手段で譲渡されたハムスターは輸送中に強いストレスに晒され、受け渡し後に命を落としてしまったり、弱ってしまっていたり。また、送り主の飼育環境が悪い場合はダニや病気を持っている場合もあるのだそう。

     そもそも郵便局においては哺乳類の輸送は受け付けておらず、ヤマト運輸でも、動物配送を担う提携会社への依頼になるなど、慎重な姿勢を取っています。それほどまでに動物の輸送は気を遣わなければいけないことなのです。

     つまり、宅配便でペットを送ることは中身を配送業者に知らせずに行っているということ。不適切な環境での輸送は、環境省が定める「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」において禁止されており、懲役や罰金が科せられる場合も。バレなければいい、では済まされないのです。

    ハムメディアが投稿した画像

    ハムメディアが投稿した画像

    ハムメディアが投稿した画像

    ■ ハムスターを宅配便で送る事案は以前から発生していた

     一般社団法人ハムメディアは1匹でも多くのハムスターをしあわせにすることを目指して活動している、国内で初めてのハムスター専門の支援団体。怪我や病気など引き取り手がいないハムスターの保護や譲渡、ハムスター飼育情報の発信、 飼育者のサポート活動などを中心に行っています。

     このような心ない譲渡方法が行われていることは以前から把握しており、行政とも相談の上、団体でも独自に調査を行っていたところ、個人で保護活動を行っている方から「保護したハムスターの中に宅配便で送られてきた子がいるようだ」と連絡があったのだそう。

     送る側が悪いのは当然ですが、受け取る人がいるというのも問題であることや、愛護法に抵触する可能性が高いことを、知らず知らずのうちにやってしまっている可能性もあることを考え、今回の投稿に至ったとのことです。

    ■ やむを得ず飼育できなくなってしまった場合も、飼い主が最後まで責任を

     ペットを飼育する場合、最期まで責任をもって飼育することは当然ですが、やむを得ず途中で飼えなくなってしまうこともあるでしょう。

     こうした場合の対応についてうかがうと「ご自身で里親募集サイトに投稿を行うことがベターですが、それすらままならない状況の場合は、親族やお住まいの地域の動物愛護センターや保健所に里親探しの手伝いをしていただけないか相談するのも方法の1つかと思います」と担当者。もちろん、ハムメディアでも、里親探しの手伝いは随時実施しています。

     また「高齢だったり、環境変化に敏感なハムスターの場合は、長距離移動をするとストレスで命を落としかねないため、長距離移動が伴う譲渡自体を選択肢から外すべきです。基本的に隣接する都道府県に範囲を絞って、直接手渡しが適切だと考えます」とのこと。引き渡しまでしっかり行うことが、飼い主としての責任であることは明白でしょう。

     インタビューの最後に「当団体として倫理観への影響を及ぼすことが難しい場合であっても、行政や配送業者様と連携を取り、ハムちゃんの発送を防止できないか施策を検討してまいります」と担当者はコメント。

     「保護団体だから」ではなく、ペットを飼うことは「命と向き合うこと」として、ひとりひとりが当たり前のように、あるべき倫理観を持って接してほしい、と切に願うばかりです。

    <記事化協力>
    一般社団法人 ハムメディア(@ham_edia

    <参考・引用>
    環境省「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準
    日本郵便HP「生きた動物をゆうパックで送れますか?
    ヤマトホームコンビニエンスHP「ペットの輸送の概要・内容

    (山口弘剛)

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  • 山口 弘剛‌Writer

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    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

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