名古屋には独特の「名古屋算」があることを、みなさんはご存知でしょうか。この「名古屋算」を使用すると、通常の1.5倍は2倍に、ダブルは3倍になります。
実はこれ、名古屋で3店舗展開する元祖あんかけスパゲッティのお店「ヨコイ」のスパゲッティのサイズ。名古屋市民の方にとっては一般常識になっている模様です。
「ヨコイ」のスパゲッティのサイズについて、「これは名古屋で覚える必要がある九九的なものです」と表現してX(Twitter)で紹介したのは、名古屋めし料理家で作家としても活動しているSwindさん。
投稿した写真には「ヨコイ」のスパゲッティのサイズ表が写っており、基本の220gに対して1.2倍が1.5倍の330gに、1.5倍が2倍の440gに、W(ダブル)が3倍の660gになっています。さらにトリプルは810gと、もうわけがわかりません……。
コメント欄にも「何一つ分からん」「非常に難解です」などの声が寄せられており、多くの人を困惑させています。これが名古屋では当たり前になっているのでしょうか。「名古屋算」、恐るべし……。
■ 名古屋算とは?
―― Swindさんが名古屋算と出会ったのは、いつ頃でしょうか?
昔からあったかとは思いますが、改めて意識したのは名古屋めし料理家としての活動をはじめた7~8年ほど前になります。それまで普通に受け入れていたのですが、「よく考えたら謎だよね……?」となりました。
―― 名古屋算に慣れてしまい、他県に行った時など違和感を覚えたりしたことはありますか?
ヨコイではだいたい1.5倍で注文することが多く、たまにWをいきます。他県ではいろんなお店を巡ることが多くてあまり大盛りメニューは頼まないのですが、たまに頼む機会があると「まぁ、これくらいかぁ」となる事はあります(笑)。
―― 他県の方に、名古屋算を紹介したことはありますか?
ヨコイにご案内すると最初は意識されていないのですが、「そうそう、アレよく見てね」と促すとだいたい「あれ……?」と目をパチクリされていらっしゃいます(笑)。
そして出てきた量を見て「あれ?思ったより多い……??」と、もう一度驚くところまでがセットのパターンですね。表記グラム数はあくまで「目安」なのです(笑)。
■ 先代の「お腹一杯になってもらいたい」という思いから提供
今回はこのサイズ表をお店に掲出している「ヨコイ」にもインタビューを敢行。独自のサイズ表を作った理由や評判などを詳しくうかがいました。
―― Xに投稿されていたスパゲッティのサイズ表は、どの店舗も同じなのでしょうか?
サイズにつきましては全店舗同じサイズです。グラム数はゆでた後のグラムになります。
―― なぜ1.5倍が2倍の量だったり、W(ダブル)が3倍の量だったりするのでしょうか?
通常であれば普通サイズが220gならダブルは440gですが、先代の「ご来店いただいたお客様にお腹一杯になってもらいたい」という思いを受け継ぎ、気持ちの分だけ少し多めにお客様へご提供させていただいております。
―― お客様からツッコミを入れられたりすることはありますか?
常連のお客様は「これがヨコイのサイズ!」と迷いなくおっしゃっていただけますが、初めてご来店いただいたお客様からはご質問いただくことも多々あります。先代の思いをお伝えできると共に、お客様とのコミュニケーションをとるきっかけとなるヨコイならではの会話です。
―― 今後、グラム数を増やしたり、新しいサイズを作ったりする予定はありますでしょうか?
現在はサイズ変更の予定などはございません。
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先代の「お客様にお腹一杯になってもらいたい」という思いから誕生した「名古屋算」。Swindさんは投稿に届いたコメントに「名古屋の小学生はこうして名古屋算を覚えていくのです」と返していましたが、先代の思いはしっかりと名古屋の子どもたちに伝わっているようですね。
これは名古屋で覚える必要がある九九的なものです pic.twitter.com/n8V0QGpUs0
— Swind/神凪唐州@作家・名古屋めし料理家・ライター (@swind_prv) May 15, 2024
<記事化協力>
Swind/神凪唐州@作家・名古屋めし料理家・ライターさん(@swind_prv)
元祖あんかけスパゲッティ「ヨコイ」
(佐藤圭亮)