先日配信開始となったiOS18に新機能「車両モーションキュー」が登場しました。

 乗り物酔いの軽減に役立つ可能性があるというこの機能を、三半規管がとても弱い筆者が実際にバスの中で使ってみました。

■ iOS18に新機能「車両モーションキュー」とは

 私は三半規管が非常に弱いです。でんぐり返し1回で気持ち悪くなりますし、ジェットコースターは高さや速度ではなく乗り物酔いが怖くて乗れません。一人称視点のゲームは15分プレイできたらよい方です。

 果たしてそんな私をiOS18の「車両モーションキュー」は助けてくれるのでしょうか。

 「車両モーションキュー」とはiOS18にて新たに登場したアクセシビリティ機能です。「ON」にすることで画面端に現れる黒い点が、乗り物酔いの軽減に役立つとのこと。

車両モーションキュー概要

 設定は「設定」→「アクセシビリティ」→「動作」→「車両モーションキューを表示」から行えます。またコントロールセンターの一番右下に表示されるボタンからでも変更可能です。

 機能を「ON」にすると画面の端に黒い点が複数個現れ、これらが車両の動きにあわせて動くことで、乗り物酔いを軽減するそうです。

車両モーションキュー横移動

車両モーションキュー加減速

 Appleのプレスリリースによると、乗り物酔いの原因は見ているものと感じているものの感覚のずれによって生じる症状。そのため画面内に乗り物動きの変化にあわせて動くアニメーションを表示することで、感覚のずれを低減させるそうです。

 果たして実際に乗り物酔いに効果があるのでしょうか。三半規管が弱く、バスの中ではまったくスマホをいじれない筆者が、検証してみました。

■ 行きは何も使わずにスマホを操作!全力で乗り物酔いになりにいく

 今回は五反田駅と川崎駅ラゾーナ広場間を走るバスを往復で乗って検証してみます。

バス時路線図

 乗車時間は45分。行きの乗車中は「車両モーションキュー」を「OFF」の状態でスマホを操作し、帰りは「ON」にして操作します。行きと帰りでどれほど違うのかを比べてみます。

 まずは行きです。

 五反田駅からバスに乗ります。乗車にあたって、検証の効果を最大化させるためにバスの最後部の座席に座ります。調べてみたところバスで最も酔いやすいのが最後部なのだそうです。

バス後部座席を確保

 さらに移動中はKindleで本を読むことにしました。最も乗り物酔いに適しているのは活字コンテンツではないかと思ったからです。

 普段の筆者にとってのバスは、動き出す前から最悪の乗り物です。なんなら見ているだけで乗り物酔いした気分になれます。

 しかし今回だけは「絶対に乗り物酔いしてやるぞ!」と気合いを入れ、「飛んで火に入る夏の虫」という慣用句を人生で初めて口にしました。

 ちなみに乗り物酔いのおともは「ルポ 歌舞伎町」(著:國友公司 彩図社)。選んだ理由はKindleライブラリの一番上にあったからです。

『ルポ歌舞伎町』

 行きの45分はいつもどおり「車両モーションキュー」なしでスマホを使います。ただ身構えすぎていたのか、思っていたほどの酔いは訪れませんでした。バス自体も不意の加速や車体の揺れがあまりなかったので、とても腕のいいドライバーにあたった可能性もあります。

 ただそれでも45分活字を追い続けているとじわじわ頭の中心に不快感が募ってきます。バスを降りると立ち止まっていても身体全体がゆっくり揺れているような感覚です。頭痛もします。

■ 帰りはいよいよ「車両モーションキュー」を使用!果たして効果のほどは……

 川崎で用事をこなしつつ乗り物酔いを覚まし、帰りのバスに乗り込みます。

帰りのバス

 帰りはいよいよ「車両モーションキュー」の出番。「ON」にすると早速画面端に黒い点々が現れます。

車両モーションキューをON

 しばらく使用してみての気づきとしては、この点がかなり“邪魔”だということ。画面の端で耐えず動き続けているのが非常に気になります。ただこの点が存在し、動き続けることが乗り物酔いの軽減につながるはずなので、“邪魔”に感じるくらいがちょうどいいのかもしれません。

黒い点は結構邪魔

 また点は基本的に画面の最前面に存在しています。そのため今回のように本を読むとなると文字に重なり、ときには1文字まるまる覆ってしまうという状況が発生します。非常に読みづらくなるので「車内で本を読むためにこの機能を使いたい!」という人にはあまりおすすめはできないです。

 復路の45分を終えてみての感想としては「乗り物酔いが少し軽くなった気がするなあ」くらいです。しかし、帰りのバスの方が運転が荒かったことと、行きのバスの酔いがまだ若干残っていた気がするので、もしかすると自分で感じている以上に実は軽減されていたのかもしれません。

 Xなどを見ると機能を絶賛している人もそれなりに見受けられ、効果のほどには個人差があるのでしょう。また継続的に使用することで効果が実感できるようになるかもしれません。

<参考>
Apple プレスリリース

(ヨシクラミク)