日本での発売開始から今年で10周年を迎えた、加熱式たばこ「IQOS」。10月1日には、これまでの歩みをIQOSユーザーと祝福し、特別なカラーリングとデザインで「喜びと情熱」を表現した記念モデル「IQOS ILUMA i(アイコス・イルマ・アイ) アニバーサリーモデル」が数量限定で発売されました。
製品開発のうえで特に大切にされているのは、ユーザーに対するプレミアムな体験を与えることだそう。そこにはどのような人が携わり、どのような哲学と思いが込められているのでしょうか。今回、フィリップ モリス インターナショナルのヘッド・オブ・加熱式たばこ限定デバイス・アクセサリー、サラ・ラウシディさんにお話を聞く機会が得られました。
■ 日本市場はIQOSにとって「パイオニア」 感謝を示すべく限定製品を企画
── サラさんはこれまでIQOSにどう関わっているのでしょうか。フィリップ モリス インターナショナルの現在の役割と、これまでのキャリアについて教えてください。
(サラさん)
スイス・ローザンヌのフィリップ モリス インターナショナルで、IOQSの限定版デバイスやコンシューマブル(加熱式たばこスティックなどの製品)、アクセサリー(付属品)の分野を担当してきました。現在はさまざまな機能を横断したチームのリーダーとして、戦略の立案やプロジェクト全般を統括しています。
── 「IQOS ILUMA iアニバーサリーモデル」は日本限定製品ということですが、IQOSにとって日本はどのような意味を持つ存在なのでしょうか。
「IQOS ILUMA iアニバーサリーモデル」は、日本におけるIQOS発売10周年を記念し、日本のユーザーのみなさまへの感謝の気持ちを伝えるために企画されました。
日本市場はIQOSのニーズを切り開くパイオニア的な場所であり、私たちが目指す「煙のない世界」をリードする存在です。こうした思いに対し、今回は特別でユニークなデバイスをお届けするというアクションでお応えしました。
── 「IQOS ILUMA iアニバーサリーモデル」では、3種類の製品ラインアップでそれぞれにおいてターコイズ、赤、紫の3色がフィーチャーされていますが、これらにはどのような意味が込められているのでしょうか。
「IQOS ILUMA i PRIME アニバーサリーモデル」に使われているターコイズは、IQOS製品に共通するシンボルカラーでもあり、ユーザーとのつながり、IQOSのコミュニティを表しています。
「IQOS ILUMA i アニバーサリーモデル」に使われている赤は、日本で祝福の意味を持つ色であり、IQOS発売10周年へのお祝いという意味をもたせました。
「IQOS ILUMA i ONE アニバーサリーモデル」には紫が使われていますが、こちらは「喜びを提供する」という意味合いを込めています。
■ プレミアム感と性能を両立するための素材選び
── 「IQOS ILUMA iアニバーサリーモデル」では、さまざまな形で新しい素材が取り入れられていると伺いました。具体的にはどのような取り組みがなされたのでしょうか。
「IQOS ILUMA i PRIMEアニバーサリーモデル」の外装には、光る素材を初めて使用しました。ターコイズについてはグラデーション表現も初めて取り入れるなどの取り組みを行いました。
もっとも、こうしたイノベーションを製品に落とし込むためには、さまざまな課題も解決しなければなりませんでした。
たとえば、「IQOS ILUMA i アニバーサリーモデル」では合皮レザー製のドアを設けました。レザーの質感が感じられるものにしたかったのですが、最初に出来上がったサンプルはとても平らな手触りで、レザーの雰囲気を感じられるものではなかったのです。
これでは、製品を作るうえで大切にしているプレミアム感を出すことができません。その後、何度かやりとりを繰り返すことによってギャップを解消していき、最初に私たちが紙の上で表現したビジョンやビジュアルを実際の製品に落とし込んでいきました。
── 素材を選定するにあたって、どのような点を意識されていたのでしょうか。
内部にたばこスティックを加熱するヒーティングエンジンが搭載されているため、なんでも自由に素材が選べるわけではありません。
素材の選定にあたっては、デバイスのパフォーマンスに影響を与えることのないよう考慮することも必要で、その工程は非常に難しいものでしたが、エステティクス(洗練化)と最適化を意識し、見た目と性能のバランスを両立させていきました。
■ ラグジュアリー業界の経験を活かした「ディティールとストーリー作り」
── 今回発売された「IQOS ILUMA iアニバーサリーモデル」の開発プロジェクトは、どのように進められていったのでしょうか。
今回は、スイスの本社と日本のチームとの共同プロジェクトとして開発が行われました。スタートは2023年の4月、スイスと日本のチームでのワークショップからで、そこから今回の発表に至るまでに約1年7か月の開発期間を費やしたかたちとなります。
── さまざまな部門を横断する形でプロジェクトが進められたそうですが、チームをまとめる上でどのような点に注力していましたか。
さまざまな部門の人が参加していることから、まずは製品コンセプトとその目的を明確にするよう意識しました。
今回はIQOS日本発売10周年を記念する限定版という特別な製品であることもあり、これまで以上にしっかりとデザインを通じてメッセージを伝えたいという思いがありました。具体的には「デバイスはこのような形でプレミアム感のある見栄えにしたい」とか、「祝賀の意味合いを持たせたい」といったことです。
チームの中にはデザイン、パッケージ、コミュニケーションなど、非常に多種多様な分野の人がいます。その人々を一つの赤い糸で結ぶことが、私の仕事でした。上がってくるさまざまな提案に対して、プロジェクトの目的に合っているかどうかを精査し、全体を貫く方針を立てることで、関わる人々が視認性をもって理解できる環境づくりに注力しました。
── サラさんは、ラグジュアリー業界を経てフィリップ モリスに入社されたと伺いました。「プレミアム感」という意味でIQOSにも通じるものがあるかと思いますが、前職の経験で身につけた考えや哲学などが活かされている部分はありますか。
ラグジュアリー製品やプレミアム製品は、ディティールが全てです。ラグジュアリー業界にいたときも「いかに消費者のみなさまの体験を高められるか」という部分を常に考えていましたので、それがIQOSのデバイスやパッケージのデザインにも活かせているように思います。
もう一つ、ラグジュアリー業界での経験としては、全体に通底するストーリー作りの技術も活かせていると思います。デバイスやパッケージを通じてメッセージ性やプレミアム感をいかにもたらすか、こうしたコミュニケーションのデザインを強く意識し、製品開発に取り入れています。
■ さらなるプレミアム感のため、新しい素材を探求し続ける
── これからもさまざまな場面で限定版デバイスを開発されていくことと思いますが、将来を見据えて、いま考えられていることはありますか。
限定版においては、IQOSのプレミアムさをしっかりとお披露目したいと考えています。そのために私たちの間では「Elevated Materiality(物質性の高度化)」という言葉を用いて、素材のイノベーションと、その効果をしっかりと発揮していきたいという思いを共有しています。
今回の「IQOS ILUMA iアニバーサリーモデル」は、まさにその第一歩であると考えています。これからも、新しい素材についての追求を続け、プレミアム感をしっかりと出していきたいと考えています。
── 来年からはまた次の10年、またさらに次の10年とIQOSの歴史がつながっていくことになると思います。最後に、今後へ向けた意気込みをお聞かせください。
私たちにとって重要なのは、前に進み続けるということです。今回は日本での発売10周年を祝うものですが、これは単にこの10年間だけでなく、これからの将来を祝うということでもあります。
私たちの挑戦に終わりはありません。区切りごとに立ち止まり、再スタートするのではなく、一貫して取り組んできたことを、これからも継続していきます。ユーザーのみなさまに喜びやエキサイティングな体験を提供し、デバイスや加熱式たばこスティックなど、さまざまなものにおいてさらに高みを目指しながら、常に一歩先を進んでいきたいと思います。
取材協力:フィリップ モリス ジャパン合同会社
(インタビュー:天谷窓大)