個人情報保護委員会は4月3日、性犯罪の加害者として報道された人物の情報をウェブ上で公開していた「性犯罪マップ」について、個人情報保護法に違反するとして、同マップを運営する団体「子どもを性犯罪からまもるAmyna(アミナ)プロジェクト」に対し、個人データの第三者提供の停止を含む指導を行った。

 この「性犯罪マップ」は、ネットメディアや新聞の記事から性犯罪に関する情報を収集し、個人情報のデータベースを作成。その一部をマップ上に掲載することで、第三者が閲覧できる形で個人情報を公開していた。また、Amynaプロジェクトは、これらの情報を管理する「個人情報取扱事業者」としての立場にあり、個人情報保護法に基づく適切な対応が求められる。

 委員会によると、同団体は性犯罪マップに掲載する個人データについて、掲載される当事者本人の同意を事前に得ないまま公開していた。このような第三者への情報提供は、個人情報保護法第27条第1項に違反する。

 さらに、加害者とされる人物に対する不当な差別が助長される可能性が高い状況で、個人情報をネット上に公開していた点についても、同法第19条の規定に違反すると判断された。

 委員会は、一般公開用および会員向けの「Amynaサポーター用」性犯罪マップの双方における情報提供を速やかに停止するよう指導。4月4日現在、該当ウェブサイトはすでに公開を停止していることが確認された。

 この指導をうけて、Amynaプロジェクトは4月3日の段階で、公式サイトを通じて「(指導に従い)ただいま性犯罪マップは閉鎖中です」との声明を発表。今後は「個人情報保護法に抵触しない形での改築に取り掛かります」としており、無料メンバー登録も一時的に停止するとしている。

 個人情報保護委員会は今後も、同団体による個人情報の取り扱いを注視していく方針だ。

<参考・引用>
個人情報保護委員会「性犯罪マップに関する情報提供」(4月4日発表)
Amynaプロジェクト「ただいま性犯罪マップは閉鎖中です」(4月3日発表)