雑貨クリエイターとして活動する「もとき れおが」さんが、Xに投稿した作品に5万件超のいいね。その名も「精神をすり減らす消しゴム」です。

 これはそのまま「精神」の文字をかたどった消しゴムで、使用し続けることで文字通り「精神がすり減る」体験が可能というもの。ですがご安心ください。使い続けることで「精」の部分がなくなり「神」になれてしまうというスグレモノです。

 本作は元々、2023年にアイデアを投稿し、その後製品化に至ったもの。2024年のデザインフェスタにて実際に販売され、現在はもときさんのホームページにて通販で購入することが可能です。価格は1個550円(税込み、送料別)。

精神がすり減る消しゴムのアイデア

 アイデアを閃くだけでももちろん大変ですが、それを実際に形にすることに、さらなる苦労があった、と語るもときさん。

 特に柔らかい素材の消しゴムですから、空洞が多いとすぐに崩れてしまい、実用に耐えられなくなってしまうという難点が。文字としての視認性を保ちつつ、できるだけ空洞が少なくなるようにデザインすることで、これを克服しています。

角がたくさんあるため、細かいところ消しやすかったりという利点も

 実際の使用感については問題なく文字を消すことはできるものの、サイズが大きいこともあり少し持ちづらいという、あくまでネタを優先したアイテムであるがゆえの課題がある一方、角がたくさんあるため、細かいところが消しやすいという利点も。少なくとも実用の部分では問題なさそうです。

 そして最も苦労したと語るのが、製造業者の選定と製造ロットの調整について。国内メーカーで見積もると製造コストがかかりすぎたため、展示会に足を運び、中国の消しゴムメーカーとグーグル翻訳を介して直接交渉したのだそう。

 当初は「最低5000個」と条件を提示されたものの、さすがに多すぎたため、価格は据え置きのまま1000個の製造で合意。それでもすべて捌ききることは難しく、今も部屋が消しゴムで圧迫されているのだとか。あらゆる意味で、モノづくりの大変さがわかります。

使用中「精神」がすり減り「神」になったところ

 そして、使用中「精神」がすり減り「神」になる点は、実は当初は特に考えていなかったという制作秘話も。これは最初に作品をSNSに投稿した際にコメントをもらったことがきっかけで、その後製品化の際に「神経」か「精神」のどちらにするか決める際、頭の方から消すと「神」になることを理由に、「精神」で作ることを決意したとのことでした。

 結果的には、この要素が大きくウケることに。投稿の返信欄には「なんか哲学的な消しゴムだな……!」「使ってるうちに悟りが開けそう」といったコメントが続々寄せられ、多くの人がこの核心を突いたアイデアに驚いたもよう。

 精神をすり減らした先に、いつか神になれるのであれば、苦労するのも悪くないかもしれません。仕事や勉強の励ましとして手元に置いておけば、精神的な支えにもなってくれそうです。

<記事化協力>
もとき れおが / 雑貨クリエイターさん(@reoga_motoki

(山口弘剛)