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IBM、ネットワーク向けのエージェント型AIを提供開始

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日本IBM
筆者:IBM Software Networking プロダクト・マネジメント& M&A担当 ディレクター ベンジャミン・ヒッキー(Benjamin Hickey)

IBMは、現代の通信および企業ネットワークの複雑化に対応するために、ネットワーク・ネイティブなAIソリューション「IBM Network Intelligence」を発表しました。IBM Researchと共同開発された本ソリューションは、ネットワーク運用のあらゆるフェーズを変革し、信頼できるAIを構築したいと考える組織にとって不可欠です。

IBM Network Intelligenceは、高度な時系列基盤モデルと、大規模言語モデルを活用した推論エージェントを組み合わせ、ネットワークを理解するAIコラボレーターを作成します。このアプローチは、ネットワーク・チームがツールや手作業での対処が難しい現代のネットワークの複雑さに対応するために重要です。また、これらの複雑な問題は全体の一部であるにもかかわらず、チームの大半の時間とリソースを消費しています。こうした問題への対応、理解、解決に費やされる時間とリソースには、まだ活用されていない価値が存在します。この反応的な対応は、スケーラブルな自動化を実現する上で大きな障壁となり得ます。

クロスドメイン・ネットワーク・データ:コンテキストの危機
根本的な課題は、増加し続けているネットワーク・データが、組織全体に散在する関係性と接続性によって定義されることです。データ量だけでなく、広範なネットワーク・ドメイン、ベンダー、フォーマットによる断片化によって、重要な洞察を隠す孤立したデータ・システムのサイロが生み出されています。しかし、現在のツールでは、これらの接続性を効果的に捉えたり分析したりすることができず、リアルタイムの挙動やクロスドメインの関係性を理解することもできません。

その結果、人間がツールではできないことを担い、サイロ化されたデータの洞察をつなぎ合わせてクロスドメイン分析を行う必要があります。これは時間がかかり、労力を要し、エラーも生じやすいプロセスであり、ネットワークの文脈を失うことにもつながります。また、重要なリソースが、より価値のある活動に使われるのを妨げる可能性もあります。

ネットワーク・ツールや自動化プラットフォーム、従来の機械学習の進歩によって多くの課題は緩和されましたが、人間のオペレーターはリアルタイムのサービス保証、低遅延パフォーマンス、ゼロ・ダウンタイムといった、増加する要求に対応しきれていません。

信頼できるAI:分析と推論の二重インテリジェンス・アプローチ
IBM Network Intelligenceは、深層学習技術とエージェント型技術の補完的な活用に基づく人間とAIの協働モデルを導入し、これらの課題に正面から取り組みます。膨大なネットワーク・データを理解する分析AIと、データの関係性を把握し、問題や根本原因を仮定し、ノイズを除去して高精度な洞察を提供する推論AIを組み合わせています。これらを統合することで、AIがスケール対応、パターン認識、目標指向型アクションを担い、人間が文脈の把握・判断・信頼構築を主導する新しい運用モデルを実現します。

この分析能力と推論能力を兼ね備えたAIの融合により、ネットワーク全体に高度なドメイン認識型AIを組み込む変革の機会がうまれます。これは人間とAIエージェントの協働を強化することを目的としており、組織が、点在する自動化への取り組みから脱却し、ネットワークの継続的進化、回復力の向上、ツールの肥大化や技術的負債に埋もれることなく運用を容易に拡張できる好循環を実現する道筋を築きます。

「分析インテリジェンス」:ネットワーク・テレメトリーとデータ・インテリジェンスのための分析AI
IBM Network Intelligenceの分析AIは、IBM Graniteファミリーの一つとしてIBM Researchが開発したコンパクトなAIモデルであるIBM Graniteの時系列基盤モデルによって支えられています。

これらのモデルの特徴は、ネットワーク向けに特化されており、高ボリュームのテレメトリー、アラーム、フロー・データで事前学習されている点です。従来の統計的機械学習やルール・ベースのツール、汎用LLMとは異なり、ネットワーク挙動の深い文脈理解を提供します。アラートが出ない隠れた問題の検出や、閾値のない劣化早期警告を可能にし、自律システムへの信頼構築に不可欠な信号対ノイズ比の改善を実現します。

IBM Network Intelligenceは、組織が使用するさまざまなネットワーク・データを1つのパイプラインで処理できるよう設計されています。ネットワーク設計、使用ベンダー、運用手順、その他のルールやガイドラインなど、組織固有の情報も含まれます。

IBM Network Intelligenceの事前学習済みモデルは、導入直後から価値を提供することを目指しています。


「推論インテリジェンス」:文脈的推論と自動化のための生成AI
IBM Network Intelligenceのデュアル・アーキテクチャー・アプローチにおける「分析インテリジェンス」の部分は、ネットワーク・データを「推論インテリジェンス」に供給します。

生成AIは、大規模言語モデルとネットワーク文脈によるエージェント・フレームワークを通じて、文脈的推論と自動化を実現します。IBM watsonx技術を用いて構築されたAIエージェントは、問題の検出、原因の特定、修復案の生成を行います。これらのエージェントは、トラブルシューティング、トリアージ支援、修復案の提示を行い、説明可能性を確保するために適切な人間の関与も維持します。

このエージェント型AIは、異常検出と説明を反復的に行い、サイロ化されたデータ・ソース間での根本原因分析を自動化します。従来の手動によるプロセスや複数チームが集まる「war room」でのプロセスを、継続的かつ説明可能なシステムに置き換えることを目指しています。時系列パターンとネットワーク・セマンティクスに特化することで、誤検出を減らし、ノイズを除去し、高精度で実行可能な洞察のみを抽出します。本ソリューションの重要な利点は、組織が自由なペースで導入を進められることです。自律的なネットワーク運用を目指す過程において、エージェント駆動型アクションを段階的に導入することができます。

IBM Network Intelligenceは、人間とAIの協働モデルをネットワーク・ライフサイクルの設計・構築フェーズにまで拡張するという目標を掲げています。信頼の構築には時間がかかりますが、多くの運用チームは既存のパフォーマンス管理・イベント管理システムと並行してソフトウェアを導入し、「セカンド・オピニオン」として活用することから始めるでしょう。この重要なステップで信頼と説明可能性が確立されれば、お客様は「スクリプト化された自動化」を超え、ネットワークに精通したAIツールへの依存度を高めることができます。これこそが、自動化の障壁を取り除き、継続的なネットワークの進化、レジリエンスの強化、そして容易な運用スケーリングを可能にする、ネットワーキングに必要な変革をもたらす方法なのです。


当報道資料は、2025年9月30日(現地時間)にIBM Corporationが発表したブログの抄訳をもとにしています。原文はこちらをご参照ください。


IBM、IBMロゴ、ibm.com、watsonxは、 米国やその他の国におけるInternational Business Machines Corporationの商標または登録商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、ibm.com/trademarkをご覧ください。

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