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米国シリコンバレー 2025年10月16日
NSV のベンチャーキャピタル(VC)ファンドは、2011年に創成以来、シリコンバレーから多くの最先端スタートアップ企業やVCの取り組みを紹介し、日本企業のイノベーション、変革を後押ししてきました。しかし、昨今のAIの実用化により産業の転換スピードはさらに加速しており、それに対応する新しいVCの組成が求められています。
このような重大な時期に、第5号のVCファンド“NSV Wolf Capital V, L.P.”のファーストクローズを2025年9月30日に迎えることができました。本ファンドは、新しいベンチャーエコシステムをリードする複数の最先端VCファンドへ出資し、さらにその中から選りすぐりの有望スタートアップ企業に投資する「ハイブリッド」型です。
VCへの分散投資により幅広い産業がカバーでき、金融・産業・医療・宇宙・防衛などの分野でのAIによる産業変革やAI活用に関してインサイトを提供します。例えば、言語分野とロボティクス分野のAI開発が融合することで、製品・サービス・プロセスが革新し、産業革命に匹敵する経済的変革を迎えることになると考えられますが、その中核となる多くのスタートアップ企業に触れることになります。
今回のファーストクローズに参加された、株式会社マネーフォワード、株式会社ブレインパッド、株式会社フィックスターズは、それぞれの分野で革新的な取り組みをされている先進企業です。これから到来するAI革命の最前線に立ち向かいたい、との強い思いから、NSVファンドに参加されました。
株式会社マネーフォワード執行役員・海外戦略担当およびマネーフォワードアメリカCEOである木村慎治氏は次のように述べています。
「NSVの第5号ファンドへ参画させていただいたことを大変光栄に思うと同時に、大きな期待を感じています。NSVは、生成AIが実際のビジネスにもたらすインパクトに注目し、シリコンバレーで次々と生まれる新しいAI企業に投資しています。NSVとのパートナーシップを通じて、実践的かつ現場に根ざした知見を得ることで、当社自身も生成AIの急速な進化に歩調を合わせるだけでなく、一歩先を行く存在になれると確信しています。」
今回のファーストクローズに伴い、NSVへの新たなマネージング・パートナーの参画を発表します。元楽天の執行役員の後シリコンバレーに渡り、スタンフォード大学研究員を経て事業創造の活動をしてきた柴田尚樹です。エンジェル投資家でもあり、最近出版されたベストセラー『アフターAI』の著者としてもよく知られています。
NSVウルフキャピタル会長、マネージング・パートナーの校條(めんじょう)浩はこう語ります。
「柴田が我々NSVに加わったことは大きな意味を持ちます。彼のアカデミアや事業家としての卓越した経歴だけでなく、エンジェル投資家として100件以上のアーリーステージの投資をしてきた実績は、他に類を見ない大きな財産です。弊社は、NSVの参加企業がシリコンバレーでのイノベーションをより深く理解し、適応することを長年支援して参りましたが、柴田はそれに大きな力を加えてくれます。今、多くの人々がAIを巡り急拡大するベンチャー界の動きに混乱しています。柴田の高度な専門性に裏打ちされた『実際に機能し、価値のあるものを見極め、それに注力する』という実践的なアプローチが、そのような混乱の霧を晴らすことでしょう。」
企業概要
NSVは、2002年、長年の盟友である校條浩とリチャード・メルモンによって事業コンサルティング会社として設立されました。日本企業が新たな時代への事業創造を進める指針として、“Follow the Money”(資金の流れを追う)というシリコンバレーならではのアプローチを実践。ベンチャーキャピタル業界がどこに投資しているのかを理解することにより、1990年代から始まったインターネット革命がさらに進化する将来のトレンドを把握し、クライアントに事業ビジョンを提供しました。
2011年、ベンチャーキャピタル(VC)の第1号ファンドを立ち上げました。参加企業が変革に向かって「行動」を起こすためには、我々もリスクを取り、ベンチャー界に踏み入れることが必要だとの決断からです。
「クライアント企業がシリコンバレーでうごめく起業家たちから直接薫陶を得るには、コンサルティングレポートを読んで棚にしまうような習慣から脱却し、新技術への実際の投資に触れ、自ら検討する態度に変わる必要がありました」と、NSVウルフキャピタル共同創業者、マネージング・パートナーの加藤雅己は語ります。
我々がユニークな「ハイブリッド」VCモデルを採用した理由は、AIなど最先端の分野で広い視野を得るためです。まず、投資原資の一部を15~20の先進VCファンドに投資します。それらのVCが投資する幅広いAI関連スタートアップ企業を見ることにより、先見性の高いインサイトが広い視野で得られます。さらに、投資先VCの先にある数千社に及ぶポートフォリオ企業の中から選別された有望企業に直接投資し、重点的に支援することができます。
「このハイブリッドモデルは、我々のLP企業が有望なスタートアップ企業に幅広くアクセスできる最も効果、効率の高い仕組みです」と、共同創業者、名誉マネージング・パートナーのリチャード・メルモンは胸を張ります。
NSVウルフキャピタルは、校條、加藤、柴田、メルモンに加え、ダニエル・キマーリング、ネイサン・ペイサーで構成・運営されています。https://www.nsv.com/
NSV Wolf Capital
1 First St., Suite 1
Los Altos, CA 94022
AIについて
人工知能(AI)は、産業・経済・社会構造を、産業革命以来の規模で変革します。蒸気機関が人間や動物の筋力を機械化したように、AIは認知そのものを機械化します。その結果、産業は前例のないスピードで再構築される「認知革命」を迎えます。筋力を置き換えた蒸気の変革には200年、紙とインクを置き換えたデジタル革命には100年を要しましたが、人間の思考を増幅する認知革命はわずか10年ほどで進展するでしょう。
デジタル革命を後押ししたのは「ムーアの法則」です。それは、演算コストが時間とともに決まったペースで低下することでした。1970年代初頭にこれが理解されると、将来の産業発展のロードマップが明確となりました。ベンチャーキャピタルの構造や起業家コミュニティとの関係性も、この前提に基づいて形成されました。日本企業もこの枠組みの中で多くは受動的な投資家として関与してきました。
一方、認知革命では「今日できることが明日には同じではない」ことを認識すべきです。人類はこれまで「思考の科学」を深く考える必要がなかったのですが、新たな認知革命の時代にはそれが混乱を招くでしょう。最良の思考システムを実装するには、今までのような単なるスケーリング以上のものが求められるため、これからはムーアの法則の時代よりも複雑なのです。
課題は、データを活用し人間の思考を増幅して生産性向上を実現することです。しかし人間が実際にどのように考えているのかは未解明であり、AIの活用は当面「科学」ではなく「アート」として取り扱われます。ですから、AIの効果は実際のビジネスの成果によってのみ測られます。実験を行い、何が機能するかを見極めることが重要なのです。
短期的には、これまでのように「より速く、より良く、より安く」という明確なパラダイムが見通せないため、企業レベルでの戦略的な理解が不確実なものになります。初期段階の実際のAIの成果を追うことが、単なる予測よりも信頼性の高い方法となるでしょう。
日本の大企業は、歴史的に「スローフォロワー」(慎重に真似る者)であることを選びました。他国で発明されたものを完成度高く仕上げ、それを大規模生産することで、自動車、電子機器、半導体、精密製造などで世界的リーダーとなってきました。
その成果は素晴らしいものでしたが、これからの日本企業の課題は、その企業DNAの変革かもしれません。特にシリコンバレーとの連携は、従来の「スローフォロワー」の価値観から離れ、AI関連のアーリーステージ投資への参加という形で、よりリスクを取る方向に再構築する必要があるでしょう。