以前よりネットで度々話題に上る、「(父に連れられた)幼い女の子が男湯に入浴できる年齢」について、このところ再びネットで意見が交わされていました。
■異性の子供との入浴 銭湯(公衆浴場)だといくつまで可能?
ネットではこうしたケースについて、「幼くても女の子を銭湯の男湯に入れちゃいけない」とそもそも否定する意見から、「銭湯によくいくけど当たり前の光景だよ」と当たり前と受け止める人の声。
さらに「母親がいない家庭だったから仕方なかったけど嫌だった」という子供側での経験者の意見に、「父子家庭だから、娘が小さい頃に仕方なくした。家庭事情もあるので一概には否定しないでほしい」という父親側の声もあります。また男女逆もしかりで「小学生になってからも銭湯で女湯に入れられるのは嫌だった」という男性の意見も。
異性の子供を連れて入れる年齢については個人により認識が様々で「年長さんはダメ」「小学校に入ったら」と小学校入学前後を境界に考える人が多い一方、「2歳~3歳」とより幼少期と認識する意見も存在しています。
■海外だと異性親子の入浴自体「非常識」になるケースも
そもそも日本では、高度経済成長期あたりまで一般家庭に必ずしもお風呂があるとは限らない住環境でした。そのため、銭湯を利用する人が多く、父親に連れられ幼い娘が共に男湯で入浴、その逆も珍しくなかったという背景があります。
また、自宅に風呂がついている場合でも異性親子(父親と娘、母親と息子)での入浴は子供が小さいうちは昔から当たり前に行われており、これについては未だ大半の家庭で日常の一つとして行われています。
しかし、海外では特に欧米圏で異性の親子での入浴は「非常識」とされ、特にアメリカでは「児童虐待」とみなされます。
外務省でも海外安全ホームページでこの件について注意喚起を行っており、例をあげて紹介しています。
▼外務省・海外邦人事件簿より引用
『とある先進国に在住の邦人一家。現地校に通っている娘さんが、作文に「お父さんとお風呂に入るのが楽しみです。」と書いたところ、学校から警察に通報され、父親が性的虐待の疑いで逮捕されてしまった。』
(引用ここまで)
■家庭によっては「家風呂と銭湯で年齢を分ける」ことも
こうした欧米文化の日本での紹介や、特に公衆浴場においては幼児の犯罪被害を避ける目的もあり、このところ日本でも「異性親子での入浴」は配慮する意識が高まりつつあります。
ただ、家庭によってその対応はまばらで筆者の周りだと、自宅でも公衆浴場でも「生まれた時から息子は父親、娘は母親が入浴させる」と最初から切り分ける家庭もあれば、ネットの意見のように「2~3歳以上で別々」「小学校入学まで」とするケース、さらには「家風呂なら7歳まで、銭湯なら5歳」と、場所に応じて年齢を切り分けるケースとあります。
■条例で定める年齢は?
なお、公衆浴場で異性の風呂に入れる年齢については各都道府県の「公衆浴場条例」で定められており、例えば東京、愛知、京都3県の場合は以下の通り。
東京都:10歳以上の男女は混浴させないこと
愛知県:8歳以上の男女を混浴させないこと
京都府:7歳以上の男女を混浴させないこと
(各条例より引用)
都道府県により設定はまばらで、他にも家族風呂、介護の必要性など条件つきで年齢制限がないところもあります。さらに、「旅館業における衛生等管理要領」では「共同浴室にあっては、おおむね10歳以上の男女を混浴させないこと。(III-8-15より引用)」となっていました。
ちなみに浴場によっては、条例で決められる以外に自主規制を設定し「小学生以上は男女別に入ってください」など配慮を求めているケースもあるため、入浴する場合には各施設の掲示を注意して読む必要があります。
一昔前にはあまり話題になることもなかったこの問題。そろそろ条例含めて色々見直す時期に来ているのかもしれません。
(宮崎美和子)