祖先の霊が家に帰ってくる、とされるお盆。その際の乗り物として作られるのが、キュウリやナスで作られる「精霊馬」です。
精霊馬は行き(お迎えする時)は早く、帰り(お送りする時)はゆっくりと……という願いを込めて作られますが、超音速で飛んでくることができそうな「F-14精霊馬」がTwitterに投稿されました。
映画「トップガン」シリーズで、象徴的な存在となっているF-14トムキャット。その姿をキュウリの精霊馬にしたのは、Twitterユーザーのナゴルノ阿波尾鶏さん。文字通り、飛ぶような速さで祖先の霊が帰ってきそうです。
戦闘機の精霊馬を作るようになったのは「去年(2021年)の中3の時からですね」とのこと。2021年は「実家の冷蔵庫にあったキュウリの反り方が、F-104の機体後部に似ていたので」と、航空自衛隊でもかつて運用していたF-104をモチーフにした精霊馬を制作しています。
今回は精霊馬のモチーフをTwitterのアンケート機能を使って募集。F-14、F/A-18、Su-27、MiG-29を候補にしたところ、MiG-29(31.3%)をわずかに抑え、35.5%とトップの支持を受けたF-14を作ることになりました。
アンケートで募集したものの、実は内心F-14を作りたかったナゴルノ阿波尾鶏さん。「完全に『トップガン』の影響です。あの美しい胴体形状と無骨でかっこいい可変翼がズドンと来ましたね」と語ってくれました。
F-14は速度に合わせて主翼の後退角を変化させる可変(VG)翼が特徴。大きく主翼を広げた発着艦時をモチーフに、アイデアスケッチを作成してからキュウリを加工していきます。
できるだけ皮を剥かず、キュウリのフォルムをいかして表現したF-104と違い、今回のF-14はグレーの機体色に合わせて皮を剥き、複雑な形状もあってパーツ数も多くなりました。特に薄く大きく広げた主翼を柔らかいキュウリで再現するのに苦労し「最終的に下から竹串と爪楊枝で支えて解決しました」とのこと。
また、機体のボリュームが結構あるので、首脚と主脚の3点で支えるのは重すぎたのだとか。解決策としてアレスティングフックを下げた状態にし、お尻の部分を支えているそうです。
「機体の作成を楽にするために今年は図面を引いて長さや大きさを確認したので、キュウリがシナシナになる前に完成させることができました」
乗ってもらう先祖の霊に対し「子どもの奇行を温かい目で見守ってほしいですね(笑)」とナゴルノ阿波尾鶏さん。きっと迎え火目がけ、超音速でご先祖も帰ってきたかもしれませんね。
音速で帰ってこい pic.twitter.com/AOYkknPbja
— ナゴルノ阿波尾鶏(受験勉強) (@RichardSoviet) August 13, 2022
<記事化協力>
ナゴルノ阿波尾鶏さん(@RichardSoviet)
(咲村珠樹)