4月は新生活シーズン。この春からひとり暮らしを始め、自炊デビューしたという方もいると思います。

 そんな調理初心者に向け、内閣府食品安全委員会(@FSCJ_PR)や農林水産省(@MAFF_JAPAN)の公式ツイッターアカウントでは「生のお肉は洗わないで」「鶏肉等の生肉を水で洗うのは控えましょう」と、注意を呼びかけています。

■ 生の鶏肉を水で洗うと食中毒菌が飛び散る可能性がある

 生肉には食中毒の原因となる菌が付着している可能性があるため、「付着しているもの」という前提で考えておく必要があります。

 よって、加熱調理することで初めて安全に食べることができる、というのが扱うときの基本的な考え方です。

 中でも鶏肉には、下痢、腹痛、発熱などの症状を引き起こす「カンピロバクター」が付着しており、時に重症化する危険性も。取り扱いには十分な注意が必要です。

 そんな鶏肉を、生の状態で水で洗うとどうなるか?農林水産省の呼び掛けや、ホームページの資料によると、「洗ったときの水がはねると、一緒に飛び散った食中毒菌によってキッチンや周りの食材が汚染される可能性があります」とのこと。

 キッチン周りには、スポンジや洗剤など、日常的に手を触れるものが多いですし、調理しようと置いていた他の食品に水滴が飛び、間接的に菌が付着してしまうということも。もしもそれがそのまま口に入ってしまったら……考えるだけでも恐ろしいですね。

 とはいえ、スーパーで買ったお肉でも時々汚れがついていて、きれいにせずに調理するのはどうなの?ということもありますよね。そんな時は「キッチンペーパー等でふき取る」と良いとのこと。たしかにこれなら直接触れないですし、水滴を周囲にまき散らす心配もないでしょう。

■ 鶏肉の生食は一部を除いて絶対にNG

 農水省の資料には他にも「しっかり手洗い」「調理器具は清潔に」「生の鶏肉を他の食材にくっつけない」「中心までしっかり加熱」といった呼び掛けがなされています。

農林水産省の資料

 鹿児島県や宮崎県では鶏肉の刺身「鳥刺し」が郷土料理として親しまれていますが、これは県が定めた「生食用食鳥肉の衛生基準」をクリアしているからこそ食べられるものなのです。間違っても「新鮮だったら生でも安全」といった誤解をしないようにしましょう。

 鶏肉は和洋中のさまざまな料理に使われる人気の食材です。大人から子どもまで、日常的に口にするものであるからこそ、その危険性を理解したうえ、取り扱いには十分注意したいところです。

<参考・引用>
内閣府食品安全委員会事務局_広報公式Twitter(@FSCJ_PR
農林水産省公式Twitter(@MAFF_JAPAN
農林水産省HP「鶏料理を楽しむために~カンピロバクターによる食中毒にご注意を!!~
資料「鶏料理を楽しむために~カンピロバクターによる食中毒にご注意を!!~
厚生労働省HP「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)

(山口弘剛)