園児くらいの年齢にとって、一番の恐怖イベントかもしれないのが、病院での痛い処置。予防接種や傷の手当てなど、痛い事ばかり続くと風邪か何かで診察する時にお腹を聴診器に当てるだけでも大泣きしてしまって一苦労、なんて事も小児科ではよくある話。そんな、小さな子供のささやかな抵抗がネット上で笑いを誘っています。

 「娘を小児科に連れて行った時の事。 診察室から『ギャー!助けてー!やめろー!』と幼い男の子の悲鳴が響き渡った。 そしたらお母さんが『コラ!何て口の利き方なの!』と一蹴。 一瞬の沈黙の後、 『ギャー!やめて下さいませー!お医者さまー!助けて下さいませー!ギャー!』 院内が笑いに包まれた」と、小児科での出来事をツイッターに投稿したのは、3児の父であるやしゅうさん。

 騒ぎ方からして、恐らくは注射か何か痛い処置をせざるを得なかったと察する訳ですが、この言い方。お母さんが叱るのは確かによく分かるのですが……まさかの敬語。結局助けて欲しい事には変わりなさそうです。

 このツイートを読んだ人たちからも笑いがこぼれており、「子供の発想と転換は本当に素晴らしいと思う」「素晴らしい敬語変換」「診察が怖いなかでのこの思考力……将来大物な予感」とその頭の回転の良さに唸る声や、同じく小児科で遭遇した出来事を語る人も。

 小児科での一番の恐怖イベントといえば、やはり予防接種。ちなみに、肘が抜けたり捻挫や骨折など筋や骨の場合は小児でも整形外科に、切り傷ですぱっと切れてしまった場合は皮膚科か外科が対応できます。一応小児科でも診られない事もないのですが、小児科の場合は「小児の総合内科」と覚えて置いた方がベターです(小児外科を開設している所もあります)。

 先述の男の子も、恐らくは予防接種で小児科に来たのだと思われます。大人でも苦手な注射、子どもで平気な子も中にはいますが大半は恐怖ですし。子供なりにあの手この手で回避しようとするものですが、筆者が看護師として勤務していたとある小児科でも、こんな叫び声が院内の笑いをさそったことがあります「やーめーてー!神様仏様お医者様!!!」。

 ほかにも大泣きしてイヤイヤしていた3歳児が、こんな風に医者に説得されていたことも。
 「もし○○君の体の中にばいきんまんがたくさん来たとするでしょ、体の中のアンパンマンに新しい顔を作って渡してあげないとアンパンチできないよね。お注射するのはアンパンチするための新しい顔を作る、『顔のもと』を入れる為なんだよ。お口からごっくんするとウンコになっちゃうから、ちくんした方がいっぱい効くんだよ」この説明でピタッと泣き止み「おなかにばいきんまんやだから我慢する」と無事に接種できたのでした。その後、やっぱり痛くて大泣きしたのは言うまでもありませんが。

 ちなみに、3児の父のやしゅうさんは、「歯医者とか病院が怖いという先入観を植え付けないようにしてます」と医療を受ける事に対してポジティブにとらえる言葉を子供たちに掛けているそうで、予防接種はとても順調に進んでいるのだとか。痛がるからなかなか予防接種のスケジュール通りに進まない……って焦る人からしたら羨ましくなるかも。ポジティブな心でいると感じる痛みも違ってきそうですよね。

 自分の身に何が起こるか、子供って意外とちゃんと理解しているものなんですよね。妙なところで頭が回るのもちゃんとわかっている為だったりするのかも。「痛くないよ~」と言って「大人はうそつきだ」と思わせるよりも、「ちょっと痛いけど頑張ったら早くいい事が起きるよ」と言って頑張った後にご褒美をあげた方が子供心にも良かったりするのかもしれませんね。

<記事化協力>
やしゅうさん(@FakeYashu)

(梓川みいな/正看護師)