
民間調査機関の一般財団法人 労務行政研究所(理事長:猪股 宏)では、2025年4月および10月に段階的に施行されている改正育児・介護休業法(以下、改正法)への企業の対応状況について、2025年4月7~18日にアンケートを実施しました。このほど、回答のあった344社の集計結果がまとまりましたので紹介します。
○本記事は、下記URLのPDFから一部抜粋して作成しています。詳細はPDFをご確認ください。
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000089328.pdf
○本調査の詳細は、当研究所編集の『労政時報』第4101号(25. 7.11)で紹介します。
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※本調査結果は有料会員限定記事となります
【調査結果のポイント】
1.テレワークの実施・導入状況
改正法では、3歳未満の子を養育する従業員および要介護状態の対象家族を介護する従業員がテレワークを選択できるように措置を講ずることが努力義務化された(2025年4月1日施行)。
3歳未満の子を養育する従業員については、「既存のテレワーク制度で対応」が57.3%で半数以を超える一方で、「対応する予定はない」と回答した企業は34.0%であった[図表1]。
要介護状態の対象家族を介護する従業員についても同様の傾向である(※詳細はPDF参照)。
[図表1]3歳未満の子を養育する従業員に対するテレワークの実施・導入状況
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/76110/27/76110-27-a4f0aa0624ee5d596f40abfe86df44a2-708x273.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
2.介護両立支援制度等を取得しやすい雇用環境整備のための措置の実施状況
介護休業や介護両立支援制度等の申し出が円滑に行われるようにするための措置を講ずることが義務化された(2025年4月1日施行)。
法改正前から実施していた取り組みでは、「相談体制の整備・相談窓口の設置」が56.2%で最も高い。法改正後に新しく実施した取り組みも、「相談体制の整備・相談窓口の設置」が最多の32.9%だが、「従業員への利用促進に関する方針の周知」(32.3%)と拮抗する[図表2]。
[図表2]介護両立支援制度等を取得しやすい雇用環境整備のための措置の実施状況(複数回答)
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/76110/27/76110-27-ec755dfbdef6a69af86a4b5f1517412d-708x353.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
3.介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
今回の法改正では、従業員が介護に直面する前の早い段階(40歳等)で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるための情報提供を行うことが義務づけられた(2025年4月1日施行)。
そこで、該当社員に対する情報提供を行うタイミングを尋ねたところ、「該当者を対象に、年に1回まとめて実施」が55.0%と過半数を占め、次いで「該当者に対して個別に実施」が33.3%と約3割であった[図表3](※PDF参照)。
4.「柔軟な働き方を実現するための措置」の実施内容
改正法では、3歳から小学校就学前の子を養育する従業員に対して、「柔軟な働き方を実現するための措置」を講じることが義務化される(2025年10月1日に施行予定)。
調査時点(25年4月)で既に措置を決めていた企業における、措置の組み合わせ(上位5パターン)を示したものが[図表4]である。「1.始業時刻等の変更」と「5.短時間勤務制度」の二つを選択するパターンが43.4%と約4割を占める結果となった。
また、「柔軟な働き方を実現するための措置」の個別周知、意向確認の方法・手段として、既に実施している、もしくは予定している内容を尋ねたところ(複数回答)、「対面での面談」が65.8%で最多となった[図表5](※PDF参照)。
[図表4]「柔軟な働き方を実現するための措置」で実施している/実施予定の措置の組み合わせ(上位5パターン)
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/76110/27/76110-27-bc3d289d88045b9395a56b27de8d2504-708x286.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
[注]法定では二つ以上の措置を実施することが求められるため、選択した措置が一つのみの企業は集計から除外した。
【調査・集計要領】
1.調査名
改正育児・介護休業法への対応アンケート
2.調査対象
『労政時報』定期購読者向けサイト「WEB労政時報」の登録者から抽出した人事労務担当者2万5816人
3.調査期間
2025年4月7~18日
4.調査方法
WEBによるアンケート
5.集計対象
調査対象のうち、回答のあった344社(1社1人)
【一般財団法人 労務行政研究所の概要】
1.設立 1930年7月(2013年4月、一般財団法人に移行)
2.理事長 猪股 宏
3.事業内容 1.人事労務の専門情報誌『労政時報』ならびにWEBコンテンツの編集
2.人事・労務、労働関係実務図書の編集
3.人事・労務管理に関する調査
4.所在地 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-6-21 住友不動産西五反田ビル3階
5.URL https://www.rosei.or.jp/
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