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「読書の秋」に読んでほしい!本好きライターオススメの小説&ノンフィクション5冊

update:

 秋が好きです。「読書の秋」を謳えば好きに本を紹介しても許される、とても素晴らしい季節です。あと涼しいので。

 何かにつけて人と本の話をしたいけど、いかんせん周りに読書好きがいないので日頃もどかしさを覚えているライターが、ここぞとばかりにオススメの本を、ジャンルごった煮で紹介します。

■ まもなくドラマ化&映画化される小説

「イクサガミ」全4巻著:今村翔吾/講談社

「イクサガミ」

 まず紹介したいのは今村翔吾さんの「イクサガミ」。というよりこの小説をおすすめしたいがためにこの記事を書き始めたと言っても過言ではありません。

 本作は2025年11月に岡田准一さん主演でNetflixにてドラマ化されることが決まっている、全4巻の時代小説シリーズです。筆者自身あまり時代小説は嗜まないのですが、このシリーズは一気読みでした。

 というのも、「イクサガミ」のあらすじは、剣の腕に覚えのある数百人の強者たちが、それぞれに与えられた「持ち札」を奪い合いながら、京都から東海道を辿って東京を目指すというもの。時代小説にデスゲームの要素を組み込んだ物語となっています。

 時代小説として歴史のIFが描かれるのはもちろんなのですが、あくまで話の主体はデスゲーム。老若男女、さらには外国人まで入り乱れて展開される剣戟アクションと、息もつかせぬバイオレンスでスリリングなストーリー展開に夢中になること間違いなしです。「時代小説って歴史がわからないと面白くないでしょ?」と食指が伸びない人にこそ、読んで欲しいシリーズ小説です。

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」上下巻著:アンディ・ウィアー/訳:小野田和子/早川書房

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」

 「何を言ってもネタバレになる」という触れ込みで話題を博した、SF小説「プロジェクト・ヘイル・メアリー」。2026年にライアン・ゴズリングさん主演で映画化されることが決まっています。

 その触れ込みに嘘偽りなしで、読む際にはあらすじにはもちろん目を通さず、出来ることならジャケットも外してから本を開いて欲しいくらいです。

 読むにあたって頭に入れておくべき情報は「主人公がどこかわからない場所で1人で目覚める」ということのみ。主人公は何者なのか、どこにいるのか、なぜ1人なのか。その情報を1つずつ解き明かしていく過程が最高に面白いのです。

 また本作は骨太なSFでありながら、主人公の一人称で語られる物語がテンポよくユーモアに満ちているため、非常に読みやすいのも特徴。SF関連の知識があまりないという人でも、ストレスなく読み進めていくことができます。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

プロジェクト・ヘイル・メアリー

■ おもしろくてためになるノンフィクション

「日本史サイエンス」既刊2巻著:播田安弘/講談社

「日本史サイエンス」

 少し趣向を変えてノンフィクションをご紹介。講談社ブルーバックスから出ている「日本史サイエンス」シリーズは、科学的見地から日本史上のミステリーに迫るというもの。

 「鎌倉幕府が蒙古襲来を防げたのは、本当に神風が吹いたからなのか」「明智光秀を討つために羽柴秀吉が行った大移動“中国大返し”はなぜ成功したのか」といったテーマが取り上げられています。

 歴史と科学。どちらも小難しそうなジャンルですが、文章は平易で、論理展開も明快。考証に必要な知識や数字も、分かりやすく噛み砕いて説明してくれます。

 核となる歴史テーマについても背景から解説があるため「そんなミステリーなんか知らんよ」という人でも安心して読むことができます。

 歴史上の出来事はすべて人の営みによるもの。すべて生きた人間の仕業です。そして今の人も数百年前の人も、当然ながら疲れますし、お腹も空きますし、怪我もします。

 今では名前も分からない、しかし確かに当時を生きていた人たちを、歴史を動かした駒ではなく、生きた人間としてとらえ、その営みから歴史上の出来事を解釈していく。これがとても面白い1冊となっています。

日本史サイエンス

日本史サイエンス

「読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全」著:堀元見/新潮社

「読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全」

 タイトルがすべてを表している1冊です。「ゆる言語学ラジオ」「ゆるコンピューター科学ラジオ」などでパーソナリティとしても活躍している作家・堀元見さんの3作目。

 タイトルに登場する「下ネタ」はそのまんまの通り、性的な話題としての下ネタ。それらを歴史、科学、文学などの観点から真面目に教養として読み解いていきます。

 中を開けばあまりにどストレートな下ネタのオンパレードなため、記事内で具体例を出すのはなかなかに憚れますが「コーンフレークは性欲を抑えるために作られた」「『寒くなりましたね』はセクハラ」など、目を疑ってしまうような知識が満載。

 タイトルから内容に至るまでバカバカしさが全開ですが、決してジョーク本ではないのが本書最大の推しポイント。文中には大量の注釈がつけられ、巻末には5ページにわたって参考文献リストを掲載。

 著者が3年にわたって蓄えに蓄えた性的教養が遺憾無く発揮された、人目を忍んで読むべき1冊です。

読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全

読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全

「バッタを倒しにアフリカへ」著:前野ウルド浩太郎/光文社

「バッタを倒しにアフリカへ」

 歴史だ科学だ下ネタだと堅苦しいテーマが続いたので、最後はエッセイチックなノンフィクションを紹介します。

 本書「バッタを倒しにアフリカへ」の著者は、西アフリカ・モーリタニアで作物を脅かすバッタ問題に取り組んでいる昆虫学者。そのためアフリカの食糧問題や、バッタの生態についての話を中心に展開されていきます。

 まず何より著者がかなりユニークなキャラクターの持ち主。小学生の頃に出会った科学雑誌の記事をきっかけに「バッタに食べられたい」という夢を抱き、昆虫学者の道へ。そして長年にわたってバッタを触り続けたことで、バッタを愛しているにもかかわらず、バッタアレルギーになってしまったという特異な人生を歩んでいるのです。

 本書はそんな著者がアフリカのバッタ問題に取り組む学術ノンフィクションであり、濃密な旅エッセイでもあります。

 モーリタニアに到着するなり入国拒否を食らったり、行動をともにするドライバーと意思疎通をするなかで独自言語体系を生み出したり、日本とは全く違うモーリタニアの“美女”の定義に驚かされたり……と次から次へと起こり得るハプニングや珍事件はまさに旅エッセイの趣。読んでいてまったく飽きません。

 「バッタに食べられたい」という夢を叶えるためアフリカはモーリタニアへ飛んだ著者は、紆余曲折を経てついに夢の入口に立ちます。全身緑色のタイツを着込み、両手を広げて準備万端バッタの大群を待ち受けた著者を待つ結末は……。

 ノンフィクションとしても旅エッセイとしても楽しめる、1冊となっています。

バッタを倒しにアフリカへ

バッタを倒しにアフリカへ

(ヨシクラミク)

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