前代未聞の事件となった、「京都アニメーション」(以下、京アニ)の放火殺人事件。被害の大きさと尊い命が何人も奪われたことに、日本国内、また全世界のアニメファンから支援の動きが出ています。が、書店自体はその支援となることがなかなかできない様子。その理由がツイッターに投稿され、人々の耳目を集めています。

 このツイートは、書店員のツイッターユーザー“ガミガミ”さんが職場でのやり取りから端を発した、一連のつぶやき。

職場(書店)にて
非オタ先輩「本部の指示で京アニコーナー作る」
俺「良いすね!」
先「これ発注リスト」
俺「どれどれ?………先輩、これ京アニに一銭も入らない原作本ばっかなんで、これじゃただの便乗商法っすよ?(汗」
先「え!?じゃあ支援になる本のリストアップ頼むわ」
俺「合点承知の助」

 しかし……この後に続くツイートには「ただ残念な続きがあって、色々調べたけどマジで京アニが噛んでる商品で取り寄せできるモノがほっっとんど無かった…(エスマ文庫はそもそも取り寄せ不可)
なので、もし一般書店が京アニ作品の原作本でコーナー作ってたら、それは便乗商法ではなくやむを得ない事情なんだと思ってもらえると幸いです…」と、悲しい現実が。

 京アニが出しているアニメのファンブックやイラストブックも、今は取り寄せる事もできないそうで、結局、書店として京アニへの売り上げにつなげることができる策はほぼないことが判明したのでした。

 書籍の印税は、言うまでもなく著作者に行くわけですが、京アニ作品の原作は京アニ以外の作家の作品というケースが少なくありません。原作がありそれをアニメ化したのが京都アニメーションという立ち位置のため、原作本とされる書籍には関わっていないことが多いのです。

 京アニの初期の作品には、PCゲームからのアニメ化作品がいくつもあり、成人向け美少女ゲームを全年齢版アニメにしたものも多くあります。「Air」や「Kanon」そして全年齢版PCゲームである「CLANNAD」は、その少女たちが織り成す様々な人間模様を丁寧に描き、京アニの基礎を作ったともいえる名作です。

 ここだけの話ですが、「Air」は独身時代にアニメを一度見てその時もすごく泣いたのですが、子どもを持ってからまた見た時には、親としての感情や子どもとしての感情などの描写にすごく心を揺さぶられ、違ったところでまたすごく泣いてしまった、個人的にもすごく好きな作品です。

 今、京アニを直接支援しようと、一部の劇場やアニメグッズ専門店が動き出しています。京アニが出しているDVDやグッズを買う事や、京アニに確実にお金が渡る募金を通じての支援が、今できることの一つとなり得ます。また一部報道によるとここ数日中には、京アニ自身が支援をうけつける口座を開設するとも伝えられています。(口座情報は京都アニメーション公式サイトhttp://www.kyotoanimation.co.jp/にて決まり次第告知)

 現在は残念ながら書店での購入は直接的な支援につながりにくい現状ですが、こうした事を踏まえて、自分ができる支援を考えて行えると良いのではないでしょうか。

<記事化協力>
ガミガミさん(@GamiGamiM)

(梓川みいな)