同人サークルと聞くと二次創作の漫画というイメージが強いかもしれませんが、実は色々とあります。今回はワッペン等のグッズ作成に力を入れているサークル「虚数工房」の独楽戌さんに同人活動について話を伺いました。
なお、インタビューは昨今の新型コロナウイルス感染症の影響も鑑み、インターネットを介して行っています。
【独楽戌さんインタビュー】
――今回はよろしくお願いします
(独楽戌さん)
よろしくおねがいしますだ
そんな感じで同じジャンルの即売会でちょくちょく会う人の挨拶のノリで始まった取材、今回はどの様なお話を聞けるのでしょうか。
■ 思わず2度見る、布系のグッズサークルさんの創作活動内容
――早速ですが、同人活動の主な内容をお願いします。
(独楽戌さん)
「わかる人にはわかるデザイン」や「わかる人が2度見するようなデザイン」をモットーに布系のグッズを作成してます。ジャンルとかは東方等、各界隈がメインで。
――特に、ワッペンとスカジャンは二度見してしまうデザインですよね。あれは最初見たとき心惹かれました。
(独楽戌さん)
ワッペンを中心に制作してますが、ネクタイ・パーカー・タオル・トートバッグ、Tシャツをサークルとして頒布してます。スカジャンはどちらかというとサークルとして頒布してなかったりはします。
――スカジャンは個人での制作でしたっけ?
(独楽戌さん)
ああいえ、なんていうか……「サークルの”展示物”として出した」ことはあるけど、「頒布自体はネットを介して受注生産した」っていう曖昧な領域なので頒布物として言い切りにくいってだけです。
――あー……それだと確かにそうですね。
(独楽戌さん)
単価高いうえに売れ残りするとキッツいブツなもんで……。
――確かに本とかと違って制作費は段違いですものね……。
■ 同人サークルをはじめたきっかけ
――そんな売れ残ったら恐い作品を創作するのは勇気が要ると思いますが、はじめたきっかけはなんでしょうか?
(独楽戌さん)
・無地の帆布カバン買ったけど、自分なりにアレンジしたい。
・そうだワッペン貼ろう。オリジナルで製作しよう。
・いっぱい(100枚)作ったので知り合いに配ってたら「サークルやれば?」と知り合いに言われたので。がはじまりです。そうやって出来たのが西行寺幽々子ワッペンです。
――確かに100枚は初回では結構作りましたね。
(独楽戌さん)
「えー、10枚だと1個単価ウン千円なの?100個作るわー」とか考えるあたり、計画も行動も雑な話です。
――それは同人あるあるですね(笑) 私も50部と300部同じ値段のキャンペーンやってた時につい300部作ってイベント後に体育座りしながら頭を抱える「同人って儲かるんだぜ!!(泣)」ポーズをした記憶があります。
■ 同人活動で気をつけている事
――同人活動で気を付けてることはありますでしょうか?
(独楽戌さん)
モットーが「わかる人にはわかるデザイン」や「わかる人が2度見するようなデザイン」なので、ソコの拘りだけは捨てないようにしてます。ひとつのキャラクターをお題に作ったとして、モチーフに目の色・髪色・身に着けてるアイテムやキーワード等を使って、シルエットも使わないっていう方向制でやってる感じで。トートバッグ制作の際にだけ、キャラっぽいの入れたことありますけど、まぁ……微妙にレトロ調でやったからセーフ。タブンパロディかな?ってしか思われてない。タブン。
――ありがとうございます。確かにこのグッズは2度見してしまいますね。
■ 人との交流が生まれる事が多い 同人活動をして良かったことと辛かったこと
――サークル設立等の活動をして良かったことと辛かったことはありますでしょうか?
(独楽戌さん)
基本的にインドアなマイペースな上にネガティブ思考なので交流が薄い人間なんですが、サークルやってから交流増えた感はありますね。
――なるほど、交流が増えていくのは同人やるとあるあるですしね。良いことだと思います。
(独楽戌さん)
逆につらいって感じたことはあまりないですね。リアル自体がそういう思考ばっかりだったたのもあるかもですが。
――なるほど、ありがとうございます。
■ お金と情報の入手が大事! 同人サークルをはじめようとする人へのアドバイス
――今後同人活動をする人に向けてアドバイス等ありますでしょうか?
(独楽戌さん)
リアルなお財布事情でもいいですかね。
――全然OKです。
(独楽戌さん)
サークル興味ある程度でも本当にやりたい程度でもいいから「サークル活動資金」っていう貯金を作りましょう。タンス貯金で良いと思うんで、月に1万貯める感じで。自分のお財布状況で言いますと……ワッペンは100個1ロット5万円かかりまして……一番最初にサークル参加した時点で3種類頒布してまして……その時点でまぁ、大出費なわけで。
――15万円、大出費ですね。
(独楽戌さん)
「次回作を売り上げで作る前提で動け」とか難易度高くてソレはさすがに言えない。3割売り上げあれば次回作作れる程度の想定して頒布するとかもっと言えない。
――恐い恐い恐い……
(独楽戌さん)
東方界隈で年に何回か頒布できたが故の所業……場所のレンタル代が高い界隈では真似できない……。
――グッズの製作で大分掛かっていますから、イベント数を考えると、それは確かに難しいですねぇ。
(独楽戌さん)
頒布できる種類で勝負しようって方にはナントカできるレベルかなって……。
――同人作品を作るには当然ですが、資金が大事とよぉぉぉぉくわかります。
(独楽戌さん)
あとはグッズ界隈の情報は適度に仕入れておくといいかなって思います。
――お、それはどうしてでしょうか?
(独楽戌さん)
モチーフを前面に押してるサークルなので、何がヒントになるかってのがわからない。というのがありますね。芸大とか出てるわけじゃないので、基本的にそういう学がない。外部からの情報をいろいろと吸収して整理して制作してるので……。各々が感じるイメージカラーって差異はあれどモチーフで前面に必ずモノはそんなにない気がするので。
――確かにそれはありますね。同じキャラでも印象は観ている人によって違いますし……参考になります。
(独楽戌さん)
アーティストがライブで出すグッズも個人的に参考になります……モチーフではなくて色の配分とかバランスとかがそこらへんはやっぱりプロなので。
――ライブグッズとかですと、確かにイメージの色とか上手く作っている物が多いですしね。 そういったインプットが重要と、貴重な意見ありがとうございます。
■ もう少しで目標達成! ロゴデザインもこっそりやってたり
――今後はどの様な作品を作る予定でしょうか?
(独楽戌さん)
ワッペンが2020年3月時点で東方:80種類突破、その他が十数種類という状態でして、とりあえずで100種類突破は目標にしてまして……。
――おぉ、もう少しじゃないですか!
(独楽戌さん)
頒布するかどうかは決めてないですけど、フルグラフィックのパーカー制作企画中です。あと、スカジャンもとある方にデザイン依頼してるのですが……単価が2万越えになりそうなので制作するだけ。って感じになりそうです。あ、あまり表向きには言ってないですけど、ロゴ制作依頼とかはたまにやってます。
――原価で2万円越えは高いですね。実物が出来た際は是非みたいです。ロゴの制作依頼ですか。それは興味ありますね。依頼の方法はTwitterのDMとかでしょうか?
(独楽戌さん)
そうですね、今のところ窓口がソコしかないとも言えますが……。
――デザインが好きなので、個人的に近いうちにお願いしたいですね。っとその話は後程……今回は、いろいろありがとうございました。
(独楽戌さん)
ありがとうございました。
今回はワッペンや服関連のグッズサークル「虚数工房」の紹介でした。ワッペンの種類がもの凄く多く、どれも欲しくなってしまうので、イベント等で一緒になった時は是非立ち寄って実物を見て欲しいです。筆者は感動しました。ロゴのデザインも手が空いているときであれば、DMにて対応してくれるとの事ですので、気になった方は声をかけてみると良いと思います。
<取材協力>
独楽戌さん(@KyosuKobo)
虚数工房(http://kyosukobo.blog74.fc2.com/)
(戦魂)