夏休みに入り、各地で様々なイベントが開かれていますね。実は航空関係も、これからが本格的な航空祭シーズンに突入します。秋にかけて、各地で様々なイベントが開催されるので、これを機会に皆さんもお出かけになってみてはいかがでしょうか。
さて、この航空祭(航空関連イベント)に行くにあたり、気をつけておいた方がいいポイントをいくつかお教えしておこうと思います。簡単なガイドとして活用して頂ければ幸いです。
では、まず準備について。
◆紫外線対策は必須
航空祭や関連イベントは、通常飛行場を会場として開催されます。ここは周りに日陰が少なく、しかも下からコンクリートの照り返しがきつい為、あっという間に日焼けします。日焼け止めは必須です。また、このところ日傘をさす方が増えていますが、前述の通り、下からの照り返しがきついので日傘では防げません。しかも地上展示機の前などで日傘を広げられると、後ろの人が見えなくなってしまいます。つば広の帽子や、肘から先まで覆う長いUVカットの手袋などの方が有効です。
◆飲み物は用意しておこう
日陰が少なく、下がコンクリートの為に、会場は非常に暑くなり、熱中症になりやすい環境です。もちろん、イベント会場にも飲み物の販売があるのですが、長蛇の列になることが多くなっています。特にお昼頃は混雑が激しいので、事前にペットボトル1本分くらいの飲み物は用意しておいた方がよいでしょう。
◆デジカメは予備の電池を
暑いので、デジカメのバッテリーはヘタリやすい環境です。できるだけ満充電で、持っているならば予備のバッテリーを用意しておけば、後半の大事なイベントを撮り逃さないですみますよ。
◆お弁当は避けた方が無難
家からお弁当を作って行く……というのは、炎天下では悪くなりやすいので避けた方がいいでしょう。会場には様々な出店が出ていますので、そちらで調達した方が無難です。お昼頃は非常に混雑し、場合によっては品切れもあり得るので、空いている午前中のうちに買ったり食べたりしておいた方が、午後の出し物(ブルーインパルスなど、真打ちが登場する)をゆっくり見ることができます。
さて、今度は会場での楽しみ方やマナーについて。
◆展示について判らないことがあったら気軽に質問してみよう
防衛機密や軍事機密に当たることについては答えられない(法律で退職後でも話すことが禁じられています。違反すると懲役刑もあり)のですが、多くの質問には気さくに答えてくれます。聞き方によっては、ちょっとした裏話なども聞けたりするので、積極的に質問してみるといいですよ。やはり空が、飛行機が好きでこの仕事に就いた人が多いので、そういった話をするのが好きな方も多くいらっしゃいます。
◆レジャーシートでの場所取りはしないようにしよう
地上展示機が並ぶ最前列で、場所取りのレジャーシートがあると、展示機を撮影したい人達の邪魔になります。多くの人が集まる航空自衛隊入間基地の航空祭では、トラブル防止の為レジャーシートでの場所取りを明確に禁止しています。開放された格納庫内や、後ろの方がゆっくりもできますし、どうせ飛行展示では上を見上げることになるのですから、最前列でずっと座り込む必然性はあまりありません。特定の地上展示機を朝からずっと、日がな一日眺め回していたいのなら別ですが……。
◆脚立・踏み台は人ごみの後方で
地上展示機などを撮影する人で、どうしても前の方はごった返します。人の頭越しに撮影することが多くなるのですが、この人の頭を上からクリアする便利な機材が、脚立や踏み台(アルミ製のカメラバッグも含む)です。飛行場周辺では金網をクリアする際にも使われる、航空機撮影ではポピュラーな存在ですが、残念ながら人ごみの中で使っている人が見受けられます。高くなる為に、人がぶつかると簡単にバランスを崩し、転倒します。下はコンクリートですから、大変危険ですね。この為、最近多くの航空祭で使用・持ち込みが禁止されています。使用できるイベントであっても、立てる際には周りを見回し、混み合わず、人がぶつかりそうにない場所であることを確認してくださいね。
◆最前列では座って撮影しよう
ブルーインパルスが展示飛行の前に行うウォークダウン(整列して行進しながら、次々飛行機に乗り込む)など、地上でショウが展開される場合があります。この時は撮影する人が殺到し、ものすごい混雑になります。この際ですが、最前列の人は立ち上がらなくても前が開けて撮影しやすい環境にあるのですから、後ろの人に配慮して、座ったままで撮影して欲しいものです。自分が後ろから撮る立場であれば、前で立って撮影されれば、その分視界が狭くなり、撮影が困難になることがお判りかと思います。せっかく余裕を持って前の場所を確保できたのですから、心にも余裕を持って、後ろの人にも撮影の機会を提供してあげてください。
◆係員の指示には従おう
係員は事故を防ぎ、円滑なイベント進行の為に、参加者に対し注意や指示をすることがあります。多くは危険防止の為にすることが多いので、従ってください。……特に米軍関係のイベントの場合、自衛官と違って軍人さんは非常に強硬に指示することがあります。日本人的な「あうんの呼吸」とか「なあなあ」ということは通じませんので、逆らわない方が無難です。
◆どんな小さなゴミでも、必ずゴミ捨て場に。または持ち帰ろう
飛行場で最も恐ろしいもの。それが「ゴミ」です。特にジェット機は、非常に強力な掃除機みたいなものなので、前方にあるものを簡単に吸い込み、それによってエンジンが損傷する(FOD=Foreign Object Damage)ことがあります。最悪の場合、エンジンが爆発して火災にもなるので、航空祭が終わった後、飛行場職員の皆さんはゴミが落ちていないか、くまなく歩いて確認して回るのです。その負担を減らす為にも、細かいゴミであってもゴミ捨て場に集め、入りきらない場合は持ち帰るような配慮が必要です。
さて、様々な留意点をご紹介したところで、ジャンルごとにイベントを少々ご紹介していきましょう。
―――航空自衛隊
航空祭といえば航空自衛隊ですね。8月5日には、北海道の千歳基地で航空祭が開かれます。新千歳空港と背中合わせ(旧千歳空港の敷地)になっている関係で、民間機の離着陸の合間をぬってF-15などの展示飛行が実施されるのですが、安全の余裕を十分に取ってさばいていく管制官(航空自衛隊が担当)のテクニックにも注目です。また、ここには政府専用機のボーイング747-400がいる基地でもあるので、全国唯一、政府専用機の展示飛行が見られます。
昨年の東日本大震災で本拠の松島基地が被災し、ブルーインパルスはまだ地元で訓練ができず、九州(芦屋基地・築城基地)で行う関係で要員練成のスケジュールが遅れています。この為、要員練成に集中するという理由で、今年度はブルーインパルスの展示飛行がほとんどないのが残念ですが、その分地元の飛行隊が展示飛行に力を入れると思うので、いつもと違うプログラムも期待できますね。
その他のイベントについては、航空自衛隊のサイトをご確認ください。
http://www.mod.go.jp/asdf/pr_report/event/
―――海上自衛隊
主に艦船を使用した広報イベントが多い海上自衛隊ですが、航空基地では「体験搭乗」や、かつてはチビッ子ヤング大会(チビヤン)と呼んでいた「サマーフェスタ」などで、航空機に触れ合えるイベントが開催されています。9月16日には、山口県の岩国航空基地で航空祭が開催される予定です。ここにしかない航空機が多いので、見応えのある展示飛行が実施されます。救難飛行艇US-2の離着陸(場合によっては着水も)が見られたり、南極観測船「しらせ」に搭載しているヘリコプターや電子戦機EP-3、UP-3Dに画像情報収集機OP-3Cなど、面白い機体が目白押しです。
その他のイベントについては、海上自衛隊のサイト内にある「イベント情報」をご参照ください。
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/info/event/2012_07.html
―――陸上自衛隊
陸上自衛隊の場合、夏場は盆踊り大会など、地域とのふれあいを図るイベントが多く、航空関係のイベントは秋までお預け、というケースが多くなっています。9月30日には北海道札幌市にある丘珠駐屯地(札幌丘珠空港)で、創立59周年記念行事が行われます。前回ご紹介した北宇都宮駐屯地同様、OH-6D観測ヘリコプターによるアクロバットチーム「ノーザンレディバード」が展示飛行を行うので要注目。
その他のイベントについては、陸上自衛隊サイトの「イベント情報」をご覧ください。
http://www.mod.go.jp/gsdf/fan/event/index.html
―――在日米軍
東京都にある空軍横田基地で8月18日・19日に「フレンドシップデイ」が開催されます。かつては沖縄の嘉手納基地などからやって来た戦闘機の迫力ある展示飛行も行っていましたが、現在は基地に所属する輸送機などの展示飛行と、地上展示のみとなっています。夜間開放もあり、19日には花火もあるので、飛行機をバックに花火……という独特の写真を撮ることもできます。それ以外にも軍人さんによる模擬店など、アメリカのフェスティバルに来たような雰囲気が味わえるのが面白いですね。注意点ですが、入場時に本籍(国籍)の判る写真入りの身分証明書(パスポート、住基カード等)の提示を求められますので、事前に用意しておくことが重要です。
詳しいことは、横田基地の公式サイトで提供されているPDF文書をご参照ください。
―――「空の日」イベント
9月20日は「空の日」です。これに関連して、9月~10月を中心に各空港(飛行場)でイベントが行われます。羽田では海上保安庁や国土交通省航空局、マスコミ各社の航空機を展示したり。まだ詳細が決まっていないイベントも多いので、公式サイト「空の日ネット」でイベント情報をチェックしてみてください。
空の日ネット
空港イベントページ
―――スカイスポーツ
この他にも、まだまだ数は少ないもののスカイスポーツのイベントも開催されています。夏一番のイベントといえば、7月28・29日に琵琶湖で開催される「鳥人間コンテスト」でしょうか。同じ日程でこの他にも、兵庫県のコウノトリ但馬空港を舞台に「コウノトリ但馬空港フェスティバル」が開催されます。陸上自衛隊のヘリコプターも参加するようですよ。
北海道では7月29日、札幌市の丘珠駐屯地で開かれる「航空ページェント」、8月26日に美唄市で開かれる「北海道スカイスポーツフェア イン 美唄」をはじめ、数々のイベントがあります。北海道に行く機会のある方、地元の方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
それぞれのイベントについては、公式サイトがありますのでチェックしてみてくださいね。
読売テレビ「鳥人間コンテスト」
コウノトリ但馬空港フェスティバル
航空ページェント SAPPORO AIR SHOW
http://sky.geocities.jp/haa_web/pageant/pageant.html
北海道スカイスポーツフェア(北海道スカイスポーツ協会)
(文・写真:咲村珠樹)