こんにちは。
この時期になると、バレンタインで世間が賑々しくなっていると思います。
もちろん、ウチもバレンタインコーナー作りました。ラッピング、無料で承ってますよ!
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このコラムでも、何かバレンタイン的なエピソードの一つでも綴ろうかと思いながらモニターをずっと睨んでいるのですが、考えてみれば自分にそんなエピソードは何一つない事に今気付きました。
あるとすれば、昔お店のレジ前に箱を置いて、「スタッフ用チョコレート入れ」と書いて一週間ほど設置していたのですが、みなさんガンガンレシートをぶち込んでくれた思い出ぐらいでしょうか。
というわけで、今年のバレンタインも盛り上げ役に徹しますよ―!
そんな、世間的にリア充が増える時期にお勧めする作品はこちら!
――日暮キノコ 「喰う寝るふたり 住むふたり」 徳間書店
です!
今まで少女漫画雑誌で活躍していた方なのですが、今作はグッと大人のお話を描いてます!
公式HPからの内容紹介によると、
町田りつ子と野々山修一は交際10年、同棲生活8年目。
恋人以上、夫婦未満の三十路直前カップル。
そんなふたりに起こるちょっとした日常を
男女両方の視点から描いた恋愛ザッピングストーリー。
とありますが、まさにそのとおり。
本当にお話としては大きな事件やドラマがあるわけでもなく、同棲カップルの些細な日常をただただ描いているだけなのです。まさにリア充。人によっては爆発しろと思ってしまうかもしれません。
しかしこれが不思議に面白い!呪うのちょっと待って!
特徴としては、お話の構成が一つのエピソードに対して、彼氏視点と彼女視点の二つの見方で一話ずつ展開しているところです。
ある出来事も、彼女にしてはそんなに気にも留めないようなことなのに、彼氏にとってはものすごいショックを受けていることだったり、またその逆もあったりと、お互いの価値観や心情の違いや距離感などが判り易く、かつ面白く描かれているのです。
いやー、女性の心理の一端を知れて非常に勉強になります。
もしくは、我々男性がこの彼氏に対して、
「そうそう、そうなんだよ!判ってくれないんだよ!」
と、思わず共感せずにはいられない場面も多々あります。
女性読者の方は是非この作品で男心というものを理解していただきたいものです。
ほんと繊細なんすよ……。
まあ、基本このお話の二人はラブラブでして、喧嘩してもすぐ仲直りしてイチャイチャしちゃっているわけですが、そのかわいらしいやりとりに見ててこちらもニヤニヤしてしまったりもします。
二人のトキめいちゃうようなシチュエーションや、日常の些細な幸せをあけすけに描くのではなく、やっぱりうれしい……としみじみ実感している描写など、カッコつけさせない作品全体のスタンスが良いんです。
また軽やかなテンポ、気の利いたセリフの数々などもなんだかとても楽しいです。
こういうリア充は爆発しなくてもいいと思います。
というか、素直に憧れます。
まだ第1巻までしかでていないので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
当店では、新しい試みとして料理本とキッチングッズがあるコーナーで展開してます。
違和感あるかな……。
そんな違和感を確かめに、是非当店までお越しください!
チョコも売ってます!受け付けてます!
淡い期待を抱きつつ、今回はこの辺で!
【その道のプロが選ぶ!爆走推薦図書】
誰かが「これ良い」って心から薦めているものって、なんであんなに欲しくなるんだろう。
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■文:ヴィレッジヴァンガード・渋谷パルコ店・大岩店長(通称:マンガ番長)
■記事提供協力:ヴィレッジヴァンガードマガジン / http://vv-magazine.com/