株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモは11日、2013年9月20日(金)からドコモのネットワークでiPhone 5sおよびiPhone 5cを提供すると発表した。
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Apple社のiPhoneは日本ではソフトバンクがいち早く取り扱い開始。そして後発でKDDIも開始し、大手キャリア3社の中では残すところドコモのみとなっていた。
日本市場における、スマートフォンの急激な拡大を後押ししたのはiPhone。そのルックスに機能性にと、流行に敏感な人々から絶大な支持を受け、業界全体をこれまで牽引してきた。
それなのに何故ここまでもドコモはそんな人気商品に手を出さなかったのか?
一部の人には知られていることだがApple社製品は小売店に対する「卸値」が異常に高いのだ。
以前、家電量販店の仕入れ担当者に聞いた話によると、「定価に近い額」という。Apple社と専門店契約を結んだ場合には更に安くなることもあるそうだがそれでも差は数%程度。
一般のパソコン機器を例にすると、だいたい50%前後で小売店におろされる。小売店は仕入れ値に人件費や広告宣伝費など諸々の必要経費、そして一定の利益率を上乗せし、残った枠で他社と比較できるよう自由に価格設定して販売する。同じ商品でも店により価格が異なるのはそうしたことが背景にある。
だが、このApple社製品の場合にはもともとの卸値が高すぎるため、それを自由に行うことができない。販売する小売店が異なったとしてもほぼ同じ価格で扱われているのはそのためである。
恐らく今回ドコモに対しても、iPhoneに関する卸値は同じように設定されたものと考えられる。ただし、こうした通信会社の場合には、自社通信をユーザーに利用させることで、本体販売での収益化は難しかったとしても後に発生する利用料金で回収できる。
最終的にドコモがどこまでこのiPhone市場に食い込めるかは不透明だが、一定の利用者数が確保できなければこのビジネスモデルは破綻することになる。
ただし、ソフトバンクやKDDIからの「乗り換え組」を多く囲い込むことができれば、一定の成果は見込めるだろう。今後の展開に注目したい。
参考
NTTドコモリリース「iPhone 5c」の予約受付について
http://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/130911_00.html