ジブリグッズ収集家がお届けする、過去に発売されたグッズとそれにまつわる物語。
今回は風の谷のナウシカより複製原画三種セットをご紹介。
コチラの複製原画は、1990年7月~8月の1ヶ月間だけ月刊誌アニメージュで誌上通販されたもの。告知はそれほど大々的なものではなく雑誌後半にあるモノクロ半ページ程での宣伝でした。
通販された複製原画は各5000円。「大地の目覚め」「王蟲とナウシカ」「トルメキア戦役」の三作品。トルメキア戦役に関しては額装こそ違いますが、2001年に発売された「風の谷のナウシカDVDコレクターズBOX」に同梱されたのが記憶に新しい!?ところですね(笑)
1990年当時、まだ中学生だった筆者にとって1枚の絵で5000円というのは高嶺の花。
その頃はまだ、現在ほどアニメ文化もそこまで世間に浸透してはおらず、アニメージュの読者層である中高生にとってはなかなか懐的に厳しかったのではないでしょうか。テレビゲームも好きだった自分にとっては、お小遣いでせいぜい隔週発売されるファミコン雑誌と週刊少年ジャンプを買うので精一杯^^;
と、筆者の当時のお小遣い事情は置いておくとして、肝心な複製原画の紹介をしていきましょう(笑)
額縁はフジフィルム社製のもので、現在でも若干の型番違いはあれど、ほぼ同じものが現在でも手に入ります。やはり飾っていると、台紙の部分のヤケや湿気によるカビなどの経年劣化があるので額と台紙を新しいものに交換すると見栄えがグンと変わりますね。この複製原画にはジブリ製作部の押印のあるシールが原画の裏に貼ってあるのもポイントの一つ。年号が西暦表記のものと、和暦表記のものとがあることを確認できます。
それとスタジオジブリからのお礼状も同梱されているのですが、ただ単に「購入してくれた」というお礼の他にも実はこんな意味合いでのお礼も含まれているんです。その意味とは…
実はこの複製原画を通販した理由がカラーコピー機購入費を捻出するため。告知ページにも潔く「ジブリのカラーコピー機購入のため使われます」と書いてあります(笑)。
今のジブリでは到底考えられませんが、この頃はちょうど社内体制の転換期に差し掛かっていたことにも理由があります。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、スタジオジブリでは魔女の宅急便までは劇場作品を作るごとにスタッフを集め、製作終了と共に解散するという離合集散型の製作スタイルが取られていたのですが、魔女の宅急便以降は「スタッフの社員化」・アニメーターの待遇を改善するべく「固定給制度の導入と賃金倍増計画」・「新人の定期採用とその育成」。それに伴い、旧スタジオが手狭になったことを受けて、1992年の新社屋竣工などなど、魔女の宅急便が大成功を収めても当時のスタジオジブリにはお金がいくらあっても足りない状況だったのは容易に推測できます。
そんな内情もあっての複製原画販売でしたが、自分のお金の一部が夢のある作品作りに活かされるってなんかステキですよね。
それではまた次回をお楽しみに。
(文:くろすけ/@kurosuke4313)