長年ジブリグッズ収集家をやっていると、1つ1つのグッズがたどった物語を知ることもあります。スタジオジブリほどの会社になると、出されるグッズも莫大。
それぞれが抱える物語は時に過酷であったり、奇跡の復活を遂げていたりと様々。一つのグッズを通してマニアは様々な物語に触れているのです。
さて、今回紹介するグッズはどんな物語を教えてくれるのか。見ていきましょう。
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時はさかのぼり2008年8月、「空を飛ぶことの夢、よろこび、楽しさ」をスローガンに、JAL×ジブリによる『空を飛ぶ。』プロジェクトが始動しました。
プロジェクトの一環として、ボーイングの新型飛行機787型機に描く「あなたが乗って旅してみたい、空飛ぶ乗り物」を国内外の小学生から公募。総計13474通の応募があり、最優秀作品1名、優秀作品6名が選ばれました。
機体の中心には宮崎監督がジブリ美術館の企画展示用に描いた空想の飛行機が描かれ、その周りに入選した子供たちの独創的な飛行機たちが機体に描かれました。
しかしボーイング787型機の製造の遅延によってコンクールが終わってもなかなか実機による飛行は行われず、2010年にはJALそのものが経営破たんにより会社更生法の適用を申請。
この事により、このプロジェクトそのものが闇に葬り去られたかと思われておりましたが、2011年に日本航空株式会社として復活。その翌年の2012年にこのプロジェクトも奇跡的に復活を遂げ、実に企画発表より4年越しでのプロジェクトになりました。
ところが最初の企画より年数が経っているため、当初とは若干機体番号の異なる機体(JA828J)へのラッピングとなったほか、JALのマークも鶴丸へと戻ったこともあり、当初海外でフェニックスより先行発売されていたダイキャスト製(1/400)のラッピングモデルの飛行機は、現行機とはデザインなどが異なるため現行機に合わせたものを再度発売しました。
そのような経緯もあり、このプロジェクトのダイキャストモデルは2バージョン存在することとなったわけです。
実機の飛行は2012年10月14日より行われ、翌年の1月未明までという短い期間でのフライトとなりました。
機内ではヘッドレストのカバーや紙コップなどが紅の豚仕様になったり、映画『紅の豚』の機内上映や2002年のジブリ美術館企画展示『空想と空飛ぶ機械達展』がジブリ美術館外での初上映も行われ、まさに空の旅に相応しい時間を演出。
その他、JALの機内誌『WINDS』(1994年6月号)の為に描き下ろされた宮崎駿によるマンガ『空中でお食事』も復刻する予定だったのですが、残念ながらこれは復刻するにいたりませんでした。(こちらのマンガは、出発点-1979~1996に再録されております)
この『空中でお食事』の扉絵は後に、航空機発祥の地である所沢の酒店『てらわき』の作るワインのボトルラベルにも縁があって描かれることになります。
いいワインがあるんだ。ちょっと寄ってかないか?(笑)
(文:くろすけ/@kurosuke4313)