5月25日の『あさイチ』(NHK)でフライパン特集が放映されましたが、フッ素樹脂加工されたものは「加熱しすぎると有害な蒸気(ガス)が発生する」と紹介され、ネットをその時間ざわつかせていました。さらにツイッター上では視聴者から「小鳥なら死ぬ」なんて声があがりさらにざわつくことに。

【関連:フライパンでつくる「ぐるぐるフレンチトースト」】

フライパン

■1番普及しているフッ素樹脂加工のフライパン

家庭の台所で使うフライパンでダントツに普及しているのがフッ素樹脂加工されたフライパンです。「うちテフロン加工だから安心!」という人はチョット待って!テフロン加工はフッ素樹脂加工と同義でデュポン株式会社の商標が一般に浸透したもの。基本同じです。

他にも、マーブル加工、ダイヤモンド加工、シルバーストーンなどにもフッ素樹脂加工が施されています。

■空焚きや高温での使用が有毒ガスを発生させる

ちなみにフッ素樹脂加工のものは正しい使い方をする分には問題ありません。「正しい使い方」とは中火以下。
フッ素樹脂は成分の約60%がポリテトラフルオロエチレンで占められており、これが加熱しすぎた際に有害なガスを発生させます。

「高温つっても、家庭にあるコンロなんだから大丈夫でしょ」と筆者は高をくくっていましたが、神奈川県が公開している「フッ素樹脂加工したフライパンのテスト」によると、フライパンを空焚きしたらたった5分で370度に達したとのこと。

また実験では423度でガスを確認。しかしガスは目視できずほとんどが無色無臭。ガスが人体に及ぼす影響は、発生したガスの種類により異なるそうですが「呼吸困難」「めまい」「窒息」「吐き気」「頭痛」「眠気」などが可能性のある症状として紹介されています。

フッ素樹脂から発生したガス

神奈川県の実験では「423度でガスを確認」となっていますが、内閣府食品安全委員会の平成24年資料によると「315~375度で加熱した時の生成物を吸引した場合、インフルエンザに似た症状を示す」と紹介。また、ここではガスのことをハッキリと「高い毒性が示される」と強めの表現で紹介しています。調査機関により、ガス発生の基準にばらつきはあるようですが、基準をきつめに考えて300度以上は危険。くらいに考えておいた方がよさそうです。

さらに空焚きではなくとも、ものを入れた状態で高温で熱し続け、「中のものが焦げた」「油を多く入れすぎていて高熱になっていた」なんていう時も要注意。例えばフライパンでソーセージを2本程度を熱する場合も空焚きに近い状態になります。

ウィンナー炒めも注意!

ちなみに、調理器具以外のフッ素樹脂加工をほどこしたものについては、2002年に日本製紙連合会の会員企業間で「食品用途での安全性の懸念の高いフッ素系の耐油紙等を製造しない」という申合せがなされています。

■空焚きに気づいたらすぐに換気をして!

それでもうっかり空焚きをしてしまっていた、という場合はすぐさま火を止めて換気を行うようにしてください。

神奈川県によると他にも「水分を飛ばすための空焚きは慎む」「体に異常を感じたらすぐ医師に相談する」などを提案しています。

▼参考
神奈川県「フッ素樹脂加工したフライパンのテスト」
内閣府食品安全委員会 平成24年資料「フッ素樹脂」(PDF)
内閣府食品安全委員会 平成24年資料「フッ素樹脂、パーフルオロ化合物のファクトシートご紹介」(PDF)

(文:大路実歩子)