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部隊ごとに名前が違う自衛隊の「お風呂支援」 大阪地震では「京の湯」「六甲の湯」が活動中

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 6月18日に発生した大阪府北部地震により水道や都市ガス網が寸断され、懸命な復旧作業が続いていますが、まだ完全な復旧には至っていません。このため、特に汚れてしまった体を洗いたい……というお風呂の需要が高まっています。災害派遣されている自衛隊は、そういった地域で「入浴支援」を行なっているのですが、部隊ごとに特色のある名前が付いているのをご存知ですか? (見出し画像:野外入浴セット内部※周囲の壁を撤去してあります。 / 撮影:2012年5月霞ヶ浦駐屯地にて)

  •  陸上自衛隊には、後方支援用に「野外入浴セット」という、日本独特の装備(需品)を保有しています。これは1985年の日本航空123便墜落事故で派遣された際、疲れ切った体を休めるために「入浴」が有効であるという教訓がきっかけとなったもの。他国の軍隊ではシャワーや湿った布で体を拭く程度しかないのですが、湯に浸かりたいという日本人のメンタリティを反映したものと言えるでしょう。

     その後導入された「野外入浴セット」ですが、数多くの災害派遣で被災者の方々に喜ばれ、非常に役に立つ装備であることが実証されました。現在は改良が加えられた「野外入浴セット2型」が配備されています。セットにはテント、浴槽、洗い場の蛇口のほか、椅子や洗面器も含まれます。

     野外入浴セットで入浴支援を行う際、水道が復旧していないことが多いので、近くの川や池などといった水源を利用するのですが、この際に役立つのが「浄水装置」。飲用できるレベルにまで水を浄化することのできる装備品です。

    浄水セット(撮影:2012年5月霞ヶ浦駐屯地にて)

     入浴支援中、入浴セットのテント入口には、担当する部隊の駐屯する場所にちなんだ「〇〇の湯」というのぼりや、のれんが掲げられます。こういった名前をつけるきっかけとなったのが、1995年の阪神・淡路大震災での災害派遣。入浴に来た被災者の方々が、派遣された自衛官にお礼がてら「どこから来たの?」と聞かれる例が多かった……という経験から、駐屯地にちなんだ名前をつけるようになりました。

    練馬駐屯地第1師団第1後方支援連隊の「練馬の湯」(撮影:2012年5月霞ヶ浦駐屯地にて)

     例を挙げると、第1師団の第1後方支援連隊は東京都の練馬駐屯地にあるため「練馬の湯」。今回の大阪北部地震で高槻市に派遣され、入浴支援を行なっている中部方面後方支援隊の第101補給大隊は、京都市の桂駐屯地なので「京の湯」という名前で活動しています。また、茨木市に派遣された第3師団第3後方支援連隊は兵庫県伊丹市の千僧(せんぞ)駐屯地にあるため「六甲の湯」という名前で入浴支援を行なっています。

    (咲村珠樹)

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