陸上自衛隊の精鋭・中央即応連隊(約40名)が、モンゴルで6月14日~28日に開催されている多国間共同PKO訓練「カーン・クエスト2018」に参加しました。国連の平和維持活動(PKO)における様々な訓練を通して、各国との協調・連携を図り、派遣された場合に任務の遂行をより円滑に行うための訓練です。
「カーン・クエスト」は、アメリカのインド・太平洋軍とモンゴルが共催して行う、今年で18回目を迎えた多国間共同PKO訓練。ホスト国のアメリカ、モンゴルのほか、日本、イギリス、イタリア、インド、インドネシア、オーストラリア、カタール、カナダ、韓国、シンガポール、スウェーデン、中国、ドイツ、ネパール、ブータン、フィリピンの18か国から、およそ210人あまりが参加しています。当初はロシア、バングラディシュ、トルコ、ベラルーシ、ノルウェーなどを含む32か国が参加する予定でしたが、予定が変更されました。
カタールやネパール、ブータンといった小国が参加していることを意外に思うかもしれませんが、これら小国はPKO参加に熱心で、多くの場所に人員を派遣しています。今回は参加していませんが、バングラディシュなど、かつてPKOでお世話になった恩返しに、自分たちもPKOに参加して国際貢献する……という国もあるのです。
多国間の共同訓練ではおなじみの、各国の部隊が互いに打ち解け合うためのレクリーエーションも実施されます。今回は綱引き大会が行われ、沖縄に駐留するアメリカ海兵隊チームが優勝しました。
また、時期的にモンゴル最大のお祭り「ナーダム」と重なったため、モンゴル相撲などを見学する場面も。
もちろん、訓練は真剣そのもの。モンゴルの草原地帯にあるファイブ・ヒルズ訓練場で、白く「UN」と書かれた青いヘルメットカバーとベストを身につけた自衛官たちは、実際のPKO活動と同じように行動します。各国の部隊が共同して警戒に当たったり、テロなどの脅威から市民を守ったり、警察活動の一環で危険な人物を拘束したりなどの訓練を行います。もちろん、負傷者の治療や救助なども含まれます。
訓練に参加した中央即応連隊の中隊長、工藤2尉は「他国の部隊と共同して任務を遂行し、経験を共有する、という機会はあまりないので、非常に貴重です。できるだけ多くの経験を持ち帰り、今後に生かしていきたいと思います」と語っています。
現在、日本はPKOに武力行使ができる部隊を派遣してはいません。しかし現場の部隊としては、いつ派遣されるとも限らないので、そういう事態を想定して、普段から各国と連携する訓練を積み重ね、練度を上げています。
Image:U.S. Indo-Pacific Command
(咲村珠樹)