陸上自衛隊とアメリカ海兵隊の共同訓練「アイアンフィスト2020」が、沖縄県とアメリカのカリフォルニア州を舞台に、1月25日~2月13日の期間で実施されました。海からの上陸作戦や都市内戦闘訓練などを通じ、日米の第一線部隊間での連携強化を図っています。
日米共同訓練「アイアンフィスト」は、アメリカ海兵隊と陸上自衛隊水陸機動団、第1ヘリコプター団が参加して毎年実施される恒例のもの。アメリカ側は海兵隊第13遠征海兵軍(13 MEU)と、長崎県の佐世保に本拠を置くアメリカ海軍の第11水陸両用戦隊(PHIBRON 11)の艦船(ドック型揚陸艦パールハーバー、ポートランド、ジャーマンタウン)が参加し、訓練を行いました。
沖縄県を出発した参加部隊は、カリフォルニア州の海兵隊キャンプ・ペンドルトン周辺で水陸両用(上陸)作戦の訓練を行いました。水陸機動団の水陸両用車AAV7は、ドック型揚陸艦パールハーバー(LSD-52)に搭載され、後部ウェルドックから海岸線を目指して発進。海上を進みます。
ビーチに上陸したAAV7は、再び集合して隊列を組み、さらに奥へ向けて進出。空挺作戦と同様、上陸作戦においても、状況に応じて一旦バラバラに上陸した後に組織的戦闘を行うため、集合する必要があります。
自衛隊が想定する島しょ奪還作戦は、海からの上陸作戦だけでなく、空中からも部隊を展開し、立体的に戦闘を行います。別の日には海兵隊VMM-164のMV-22Bオスプレイに搭乗し、空から陸地を目指します。
島しょ奪還作戦で対象となる島は、平地が少ない可能性があります。このため、部隊は岩山を登る訓練も行いました。広大なキャンプ・ペンドルトンの訓練場には、訓練に適した岩の崖も存在しています。
カリフォルニア州サンクレメンテ島では、上陸した部隊が海や空からの火力支援を要請する方法についての訓練が行われました。攻撃目標を偵察し、その状況を把握した上で、最も効果的な火力投射を指示します。
作戦が実施されるのは昼間だけとは限りません。夜間でも訓練が行われます。夜間の訓練では、暗闇と照度の差が少ない赤色ライトを使用します。
キャンプ・ペンドルトンの訓練場では、都市内戦闘の訓練も実施されました。壁などをうまく利用して身を隠し、射撃を行います。
訓練は攻守に分かれ、片方はヘルメットに赤の識別帯を装着。その様子を水陸機動団長の平田隆則陸将補が見守ります。
訓練では戦闘だけでなく、戦闘中に負傷した場合の対処も重要な項目。後方へ運ばれてきた負傷者を担架で移送し、救護用テント内で手当てします。
傷口は、本物そっくりの特殊メイク。あまりに良くできているので、訓練の合間には自衛隊員が海兵隊員に質問する場面もありました。
日本では実施することのできない訓練も経験できる「アイアン・フィスト」は、水陸機動団にとって多くの経験をもたらす得難い機会。今回も充実した訓練が実施できたようです。
<出典・引用>
陸上自衛隊 ニュースリリース
アメリカ海兵隊 ニュースリリース
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy/USMC
(咲村珠樹)