年を取るのはみな平等。当たり前の事ですが、自分が年を重ねると同時に、自分の親も年を重ねます。でも、親子関係が良好だと、つい親は、もう自分の年を考えつつもつい、「あなたはいつまでも自分の子供、頼ってもいいんだぞ」と子供に言ってしまいがちだし、子供は還暦もとうに過ぎた親に対して何となく「まだ元気だし」「でももう年も年だよなぁ」と逡巡してしまいがち。そんな、「親の老い」について、なかなか上手く親子で話せないという経験は、還暦を過ぎた親を持つ働き盛り世代には割とあるあるな話だと思います。
そんな、老いについて話し合いたいけど……という親と子のそれぞれを映したWeb動画「親子をつなぐ問診票」を、9月17日の「敬老の日」に先駆けて沢井製薬株式会社が公開しました。そこには、4組の親子が、老いについて、老後の不安について、話し合いたいけど上手く話せない事について、まずは親に問診票に答えてもらい、それをもとにそれぞれの親子の思うところが語られています。
■ 「……みんな忙しいから」と遠慮する母
「年を取ってから相談しても遅いと思う、だからもっと計画的どうしたらいいのか、話をしたいけど……みんな忙しいから」という母と、「忙しさを理由に(老いについての話題から)逃げているところはある」、という石田さん母娘。孫を前に、元気な姿を見せ続けたいという思いがある一方で、避けては通れない話をいつ、どう切り出せばいいか……母娘の姿に自分の母の姿を重ねる人も多いのでは。
■ 「老いを子供には見せたくない」という父
「老いて死ぬことは避けられない自然の流れ。でもそれを子供には見せたくない、自然の流れに逆らっているけど、自分たちが死んだ時、死んだ後の事は息子に相談したいな」という、前田さん。しかし問診票に答えながら、これまでの色んなことを思い出し涙が自然と溢れる場面も……。
父として息子に残せる事、託せる事を改めて話したい、と思うのはやっぱり年のせいか、と改めて感じた様子。「息子には、あまり心配かけたくないけど……」そんな親心を思いつつも、息子としてはやはり心配が。そして、問診表の中身を読んで「ああ、そんな事を思っているんだ」と気付く事ができたのは何よりの収穫だったと、息子として感じた様でした。
■ 実は寂しいけど……息子の前ではつい元気に振る舞う母
「一人暮らしをしていて、寂しい事もありますよ」でも、強がっている自分がいてなかなかそんな事は息子に打ち明けられない……息子としては、「あんまり疲れている様には見えない」、という山下さん親子。母として、息子に母親らしい姿を見せておきたいという強がり。でも、病気やもしもの時にどうしたらいいのか、改めて考えておきたいという息子の気持ちも。
■ いつまでも親は元気だとつい思ってしまいがち……でも実際は
「孫たちとは近場で写真をたくさん撮りたいと思う。体力も目に見えてなくなったし」という父中津さんと、問診表を読んで、「これを読むまではお父さんの事全然知らなかった」という、娘の三枝さん。「親の姿っていつまでも元気で、よぼよぼしている姿なんて想像できないけど、実際はそうなっていっちゃう……」分かってはいるけど、気持ちのどこかで親の老いを否定するところがあったようです。
4組の親子が向き合って、自分の今思う事、これからの事を語り合う姿は、筆者である私にも身に覚えがあります。最初の孫である私の娘が誕生した時にはまだ50代後半で、「オレの事は青年と呼びなさい」なんて言っていた父が、還暦を過ぎていつの間にかそんな事を言わなくなったり、たまにしかできない帰省の際に唐突に「オレは墓なんか要らん、海にでも散骨してくれ。」と言い出したり。あまりに唐突過ぎて面食らったのと、定年後も何かと仕事を見つけてはやりたい事をバリバリこなす父の姿しか見てこなかったから、父についてはあまり老いた後の事なんて想像できなかったのです。ただ、両親の間で老後の事についての話は何かの折に出ているらしく、他愛のない雑談をしている時にちらっと老後の話なんかが出る事も。
子供というものは不思議なもので、普段自分の親が元気な姿しか見ていないと、「うちの親はまだ大丈夫なんじゃないかな」って何となく思ってしまうところがあったりします。でも、心のどこかでは白髪が増えて、前よりも背も低くなって背中も小さく見える親の姿には気が付いていて、心のどこかでは老後の事も話をしないと……っていう気持ちも出たりするもの。
■ 親の老いについて話し合っている親子はわずか26.1%
沢井製薬株式会社が行った「親の老いに関する調査 2018」の結果によると、全国の既婚の30代と20歳以上の子を持つ60代の男女400名のうちの69.0%の子供が親の老いを心配だと思っており、64%以上がお互い話し合いたいと思っている一方、実際に話し合えている人は全体の26.1%という結果が。老後について気にかかるんだけど、先述の親子の様に機会がないとなかなか話す事ができない……という実態が浮かび上がっています。(調査データ出典:沢井製薬株式会社「親の老いに関する調査2018」調べ)
老親としては、自分の終わらせ方についてや、その方法についてなどを真面目に話しておきたい気持ちはあるけど、こんな事を話したら湿っぽくなるかな、縁起悪いとか思われるかな、ってつい思ってしまいますよね。でも、年を取るという事は人生の終わりが近づくという事。いつ、どんな状態になっても自分自身が納得できる「終活」ができるように、敬老の日という名目を借りて話してみるのは、アリかもしれませんね。
情報提供:沢井製薬株式会社
(梓川みいな)