日本の駅にはたまに動物がマスコットとして駅長を務めているところがあります。会津鉄道の芦ノ牧温泉駅もその一つ。今回は、ネットでも話題になっている、猫のらぶ駅長とぴーち施設長をご紹介します。

 らぶ駅長とぴーち施設長は血のつながったアメリカンカールの兄弟猫。もともと、芦ノ牧温泉駅にはマスコット駅長として「ばす」というメスの猫がいました。その名前の由来は、アニメ映画「となりのトトロ」の猫バスのように走るから。

 1999年に駅舎に住み付いたばす氏が初代名誉駅長に就任したのは2008年。その6年後、「駅長見習い」として「らぶ」がもらわれてきます。ばす駅長は7年8か月もの間、駅長業務を行いましたが、高齢化もあって2015年12月24日 名誉駅長交換式を開催。ばす氏は「芦ノ牧温泉駅初代ご長寿あっぱれ名誉駅長」に就任、らぶが「二代目名誉駅長」として就任したのでした。

 ばす氏かららぶへと駅長のバトンが手渡され、らぶ駅長の活躍が始まりました。ホームのベンチに座り、去り行く列車をお見送りしたり、駅構内に異常がないか駅員さんとリードを付けて巡廻したり、癒し係としてお越しのお客さんと一緒に遊んだり。

 基本的にはらぶ二代目名誉駅長が広報係を担っています。性格は、やんちゃで好奇心旺盛でしたが、年齢的にも人間でいえば青年にあたるようになり、落ち着きが出てきました。人間には慣れており、大勢のお客さんの前で逃げ出すこともなく落ち着いていられます。最近はツンデレな性格になってきたのか、お客さんにツンとした態度をとるようになる事も。仕事熱心でよく待合室を抜け出して、一人で巡回にいくこともあるそうです。

 そんな仕事熱心ならぶ駅長がある日、風邪をひいて仕事をお休みする事に。その頃かららぶ駅長と一緒に暮らしていたぴーちを駅長代理として出勤させたところ、これまた評判となり、現在ではらぶ駅長とぴーち施設長という二匹体制での勤務になっているのです。

 ぴーち施設長はらぶ駅長の補佐と、保線区の仕事を主に請け負っているという事で、2017年10月14日 ぴーち「名誉施設長」として正式に就任。ホームや線路の点検業務を主に担っているという事で、トレードマークはヘルメット。このヘルメット、以前別の記事で紹介した事もありますが、会津鉄道で実際に人間が使っているのと同じデザイン。通販で販売もしています。

 2016年7月生まれのぴーち施設長はまだ若く、好奇心も旺盛。何にでも興味津々で人懐っこい性格です。また、らぶ駅長とは違い、短毛種で顔がモモやまんじゅうみたいに丸いのが特徴です。持ち前の愛くるしさと、ちょっと間の抜けた仕草がチャームポイントなんですって。ツンデレなところもあるらぶ駅長さんと違い、非常に愛くるしい仕草と変顔でお客さんを癒してくれます。そんなぴーち施設長は、らぶ駅長がいない間はしっかりと駅務をこなしています。

 らぶ駅長たちはこれまでにも数多くのテレビ番組出演や雑誌などに紹介されており、全国の猫好きの中では知られた存在。つい先日も、らぶ駅長は福島県内の本屋さんに出張してその可愛さと愛嬌をたっぷりと振りまいていました。
 
 そんならぶ駅長たちの勤務スケジュールは以下の通り。

7:30 駅員さんと一緒に出勤
8:30 身支度を整えはじめる
9:00 らぶ駅長勤務開始
9:00~ 待合室 or 外の巡回
10:30 お昼寝が始まる
12:00 お昼ごはん
13:00 お昼寝
14:00 寝ているか待合室の巡回
~15:00
16:00 勤務終了
17:00 駅窓口終了

 現在、らぶ駅長は水曜日と木曜日以外は出勤、ぴーち施設長は水曜と木曜日は確実に出勤との事。「芦ノ牧温泉」の観光大使にもなったり、会津若松署の一日警察官にもなったりと大活躍のらぶ駅長ですが、駅での撮影は列車の窓越しを除きNGです。これは、先代のばす氏が写真撮影に応じていた時、焚かれるフラッシュが目に影響して目を傷めてしまったから。

 そんならぶ駅長とぴーち施設長に会いに、ぜひ会津鉄道の芦ノ牧温泉駅に遊びに来てください。芦ノ牧温泉駅では「らぶ駅長&ぴーち施設長【公式】」というアカウント名でツイッターアカウントも運営。らぶ駅長らの日常からイベント情報、4コマ漫画「らぶ駅長に聞いてみたシリーズ」も配信中。ぜひのぞいてみて下さいね!

<取材協力>
会津鉄道株式会社/芦ノ牧温泉駅を守る会
らぶ駅長&ぴーち施設長【公式】(@ashinomakionsen)

(梓川みいな)