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食べるのが勿体ない!三陸産の海苔を使った「デザイン海苔(R)」が美しい

 2011年3月11日の東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県気仙沼市や岩手県陸前高田市。この未曾有の天災により、豊富な水産資源や美しい景観が一瞬にして無くなる恐怖を知ったのもつい最近の事のように思い出されます。そんな震災後間もない時に、宮城県三陸産の海苔を使い、海藻文化に新たな風を巻き起こした企業がありました。

  •  それが茨城県東茨城郡大洗町で海藻専門の卸売問屋を営んでいる海野海藻店さん。もともと初代店主が宮城県南三陸町出身という事もあり、昭和20年創業以来、宮城県は三陸産のわかめや昆布などを取り扱っているそうです。そんな海野海藻店さんが開発した「デザイン海苔(R)」が、様々なメディアで話題を呼んでいました。Twitterでは、「こんなふうにきれいに紋様を刻めるとは…」「スゴすぎる」「本当に食べられます」など海苔を使用したとは思えない精巧なデザインに驚いている方も多いようです。

     今でこそキャラ弁が浸透し、おにぎりの上に海苔で作ったキャラクターの目や口などの模様を型押しする海苔パンチが販売され、簡単に切り取る事ができますが、こちらのデザイン海苔(R)の模様は、その比ではないクオリティ。細かい海苔の模様は、レーザーカッターを用いて加工しているそうなのですが、詳細に関しては企業秘密との事。そこで気になるのが海苔の強度。海野海藻店さんで取り扱っている良質な三陸産の海苔は、香りとツヤが良く、肉厚なものを原料として使用しているとか。完成時の強度を保てるように慎重にデザインを施しているそうで、もしかしたら三陸産の海苔がなければ実現しなかった商品だったのかもしれません。

     デザイン海苔(R)は、2012年度グッドデザイン賞を受賞し、さらにタイで開催された「アジア太平洋広告祭(ADFEST)」のデザイン・ロータス部門で最高賞となるBESTを受賞した事もあり、現在ではアジアやヨーロッパからの問い合わせも多いそうです。海野海藻店さんはなぜ海苔をデザインしようと思ったのかについて伺ったところ「近年、需要が落ち込み続けている日本伝統の海藻食に対する危機感から、わかめやひじき、海苔などの海藻に今一度目を向けてほしいという思いから開発致しました」との事。デザイン海苔(R)を商品として送り出すまでに企画から販売までは、東日本大震災による影響で若干の遅れはあったものの企画構想から約3年、2011年にリリースしたそうです。

     現在販売されているデザインは2種類あり、Design NORI(R)の全型(zenkei)は、19cm ×21cmサイズ。一面に柄がカットされており、デザインは「桜・麻の葉・亀甲・水玉・ 組亀甲」の5種類。こちらは一枚ずつの販売となっているそうです。もう一つは、Design NORI(R)のプチ(petit)。3cm×3cmの小さなサイズで、5種類の柄(花・鳥・風・月・雪)が3枚ずつ、計15枚入りのセットが、9cm × 8cmの手のひらサイズの和紙で包装されているとか。なお、金額については「直接お問い合わせください」との事でした。

     デザイン海苔(R)を購入された方は、特別なパーティーや海外の方へのお土産、自身の創作料理などに利用する人が多いそうですが、購入を検討される方は、海野海藻店さんへ直接メール等で問い合わせるか、または東京・有楽町KITTE内のGood Design Store TOKYO でも取り扱っているそうなので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

    <取材協力>
    海野海藻店(HP:uminokaisou.jp
    Design NORI – 海野海藻店- (Facebook:@DesignNori.uminokaisouten

    (黒田芽以)

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