静岡県磐田市にある昆虫館「竜洋昆虫自然観察公園」では、2019年2月2日から4月5日まで「ゴキブリ展G(グレート)」を開催中。昨年も好評だったという、職員選りすぐりのゴキブリ48種類の中から「推しゴキブリ」を選び投票するという「第二回GKB48総選挙」も実施されています。なお、昨年の1位をきっかけにGKBを卒業していったヨロイモグラゴキブリちゃんも今回会場に展示されているそうです。
さらに今年はグレードアップしており、館内では、巨大ゴキブリのフィギュアと一緒に撮影できたり、握手会という名のふれあいが楽しめたり、ゴキブリのニオイを嗅ぐこともできたりと、ゴキブリ好きな人にも嫌いな人にも色んな意味でたまらないイベントになっています。
とはいえ、ゴキブリというと黒光りしていて気持ち悪い、あのフォルムが苦手……という方がほとんどだと思いますが、この展示会に足を運んでみたら、ゴキブリに対する見方が少し変わるかもしれません。そんな世にも珍しい展示会を開催されている「竜洋昆虫自然観察公園」さんにゴキブリの生態や、イベントが始まってからの反響について詳しくお話を伺いました。
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――お忙しいなか取材へのご協力ありがとうございます。まずはじめに、このイベントにはどのような層の方が訪れているのでしょうか?
普段は親子連れの方々がメインの来園者なのですが、ゴキブリ展期間中は幅広い年齢層の方々が来てくださいます。怖いもの見たさというのもあるのかと思います。
――普段よりもかなり層が広がるのですね。来場者数もやはり増えているのでしょうか?
昨年より入場者数は多く、昨年の期間中は8000人ほど来ていただけたので、今年はもう少し多くなりそうです。
――ゴキブリは苦手!っていう人が多い印象ですが、一番素直な反応を見せるお子さんの反応はいかがですか?怖がったり、気持ち悪がったりしそうですが?
これが意外なのですが、大人よりも怖がる子は少ないように感じます。確かに最初は「え!」となるのですが、こちらが触って見せたりすると案外素直に触りにきてくれたりします。また、展示しているゴキブリたちもよく観察してくれています。
――そうなんですね。いわれてみると確かに、大人より子供のほうがその辺柔軟なのかもしれません。ちなみに、イベントのゴキブリはどのような形で展示をされていますか?
ゴキブリたちは実際に生息している環境に合わせたようなレイアウトで展示をしております。キャプションにはあまり難しいことは書いておらず、アピールポイントや飼育していてわかったことなどを書いてあります。
――余談ですが、ゴキブリの種類は、何種類ぐらいあるのでしょうか?少し生態についてもお聞かせください。
日本では、現在のところ57種が確認されており、世界では4000種を超えるゴキブリがいるといわれています。
――ゴキブリの種類の中で一番サイズの大きいものは体長何センチぐらいあるのでしょうか?
世界最長のゴキブリですと、ナンベイオオチャバネゴキブリがおります。翼開長200mmを超えます。また、世界最重量のヨロイモグラゴキブリもまるで大きめのおはぎが動いているような感じでインパクトのあるゴキブリです。
――200mm超え!!怖い……。あと気になったのですが、ゴキブリは眠ることはあるのでしょうか?家で遭遇するタイミングが、夜に多いなと……。とはいえ、昼も見る時はみかけますし……やつらいつ寝ているのだろうと気になりまして。
昆虫が寝ているかどうかというのを判断するのはかなり難しいですが、活動を停止している時間はあります。日本産のゴキブリは多くが夜行性のため、昼には暗く狭い場所で活動を控えています。
――基本は夜行性なのですね……。あと気になったのが、ゴキブリの表面がしっとりしているのには何か理由があるのでしょうか?
昆虫は丈夫なキチン質の外骨格をもっており、ゴキブリはその外側を分泌した脂質で覆っています。ただ、よくいわれる「ゴキブリは油があるので光っている」というのは正確ではなく、ゴキブリを脱脂したあとでもテカリはなくならないことから、キチン板がうるし状に光っている、ということのようです。(辻英明,衛生害虫ゴキブリの研究,2016)また、ゴキブリ=テカテカというイメージが強いですが、テカテカしていないゴキブリもたくさんおります。また、成虫はテカテカですが幼虫の時はマットな質感のゴキブリがいたりと、様々です。
――ちなみに、毒をもつゴキブリや、危険な要素をもつゴキブリはいますか?(震え声)
毒を持つゴキブリというのは、僕は知りません。だからといっていないかというと微妙なところなので、僕は知りませんということで許してください(笑)。
危険なゴキブリというのもなかなか答え辛いところです。家屋内に出没するクロゴキブリやチャバネゴキブリなどはウイルスや菌を媒介することもあるので気をつけなくてはいけません。ただ、直接的にケガをするなどではない(寝ている際に齧られるなどはある)ため、危険であるというと少し違う気がします。
――お忙しいなか色々お話を聞かせていただきありがとうございました。ちょっとだけ……ゴキブリを見る目が、変わる(?)かもしれなさそうです。
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竜洋昆虫自然観察公園の「ゴキブリ展G(グレート)」は4月5日まで開催。会場では展示のほかに、ゴキブリストラップ、ゴキブリ缶バッジなど多数のイベントグッズも販売されています。入園料は一般320円、小中学生100円、幼児は無料。見た目からはわからない可愛らしい生態(?)も知ることができるという、貴重な機会。興味のある方は、この春足を運んでみてはいかがでしょうか。
<取材協力>
竜洋昆虫自然観察公園
・住所:静岡県磐田市大中瀬320番地-1
・開園時間:AM9:00~PM5:00(最終入園はPM4:30)
・休館日:毎週木曜日 及び 年末
・HP:http://www.ryu-yo.co.jp/konchu/
・SNS:Twitter @_ryukon、Facebook @ryuyo.konchu、Instagram @mushipark_ryuy
(黒田芽以)