「富士宮焼きそば」「さわやかのハンバーグ」……静岡のソウルフードと言えば数多くありますが、もう一つ推しておきたいのが「のっぽ」。

 県外の方は初耳かもしれませんが、静岡県では半世紀近くも愛されている「県民熱愛のロングセラーパン」なんです。

 筆者は静岡県で生まれ育ちうん十年。もちろん「のっぽ」は日常の中に当たり前にある存在でした。しかしながら逆を言えば、近すぎて知らないことが多いということ!

 そこで今回は、株式会社バンデロールに取材を申し込み、気になるアレコレを質問した結果……大げさではなく衝撃の事実が判明しました。知らんかった!

■ 「のっぽパン」とは

 のっぽパンは、1978年に当時の社名「ヌマヅベーカリー(現:株式会社バンデロール)」から発売された細長い菓子パン。

 34センチもある長さのパンに、クリームがはさまれています。他にも、富士宮焼きそば・焼き鳥など惣菜も入っているものもあり、種類は豊富。正直地元民でも追い切れていません。

のっぽのパン断面図

 そして何と言っても忘れてはいけないのが、パッケージに描かれている「キリン」。

のっぽのきりんが描かれている様子

 「のっぽ」だから「首の長いキリン」を採用したのかな?くらいはぼんやり昔から考えていましたが、いまだ理由は存じません。それでも長期間売られている商品ということもあり、県民にとっては「いてあたりまえのキリン」。いなくなっては困る存在です。

■ 「のっぽパン」について発売元の株式会社バンデロールに話を聞いてみました

 さてそんな「のっぽパン」について、さまざまな疑問が生じます。なぜキリンが描かれているのか、名前はあるのか、今後どのようなコラボがあるのか……実は「いてあたりまえ」すぎて静岡県民でも知らないことが多いパンなんです。

 ということで株式会社バンデロールに話を聞いてみることにしました。

-- 今回は取材にご協力いただきありがとうございます。さて、まず「のっぽ」の歴史についてお聞かせください。

のっぽパンは1978年、今から45年前、当時の社名「ヌマヅベーカリー」から発売された菓子パンです。

長さ34センチの長さと、パッケージにキリンのキャラクターが描かれていることが特長で美味さとキリンのキャラクターが静岡県民に愛されている「静岡のソウルフードご当地パン」です。

-- ちなみに年間どれぐらい生産されているのでしょうか?

昨年度は年間で170万本製造しました。

-- すごい数。ちなみに種類が沢山あるようなのですが、今は何種類くらいあるのでしょうか?一番人気も教えてください。

一番人気は45年前から発売している「クリームのっぽ」です。

種類は、スーパーなど向けののっぽ(スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどへ卸しております)と、イベント向けののっぽパン(バンデロールが行うイベントで販売します。バンデロール工場直売市など)があります。

スーパーなど向けののっぽは、2023年8月現在、定番で4アイテム(クリーム、チョコ、ピーナツ、丹那牛乳)。加えて、季節のアイテム(シャインマスカット、塩バニラ)、ラブライブコラボ(塩キャラメル)の6~7アイテム、およびのっぽラスクがあります。

イベント向けののっぽパンは、サンドイッチのっぽ(富士宮焼きそば、ホテイのやきとり、ホットドッグ、黒毛和牛のメンチカツ、一番亭あげ餃子、黒はんぺんフライ、パニーニなど)、イベント限定菓子のっぽ(安倍川のっぽ、れっどぱーるいちごジャム&レアチーズ、小倉&マーガリンなど)とあります。

他にも、バンデロールが行うイベントで販売する(バンデロール工場直売市など)のっぽグッズがあります。種類は、Tシャツ、トートバッグ、定規、ぬいぐるみ、タオルなど。

なお、サンドイッチやグッズはイベントごとで異なる場合があります。ホームページやX(ツイッター)、インスタグラムにて情報発信しております。

-- 沢山の種類があるんですね。今紹介いただいた中にも含まれていたとはおもうのですが、コラボパンはどのような種類があるのでしょうか?過去に実施したもの含めて教えてください。

スーパー向けのっぽのコラボですと、JA静岡経済連コラボの「きらぴ香いちごのっぽ(静岡産のいちごを使用)」。三島市+JA三島函南(現JAふじ伊豆)コラボの「三島甘藷スイートポテトのっぽ(箱根西麓で取れたさつまいもを使用)」、富士宮市+富士の国乳業コラボの「あさぎり高原のミルクティーのっぽ(あさぎり高原の牛乳を使用)」とあります。

サンドイッチのっぽコラボの場合には、「一番亭あげ餃子のっぽ(静岡で有名な一番亭の餃子をサンド)」、「富士宮焼きそばのっぽ(B級グルメの王者富士宮焼きそばをサンド)」、「ホテイのやきとりのっぽ(やきとり缶詰で有名なホテイのやきとりをサンド)」、「黒はんぺんフライのっぽ(しぞーかおでんで有名な黒はんぺんをサンド)」とあります。

-- すごい数ですね。今後もコラボレーションの予定はあるのでしょうか?

コラボや面白い企画は常々考えております。
11月に大型のコラボがありますが、お客様を驚かせ楽しんでいただきたいので今は秘密とさせていただきます。

-- 楽しみにしております!次の質問ですが、のっぽのオススメの食べ方があれば教えてください

静岡県民ののっぽパンあるある話として(長いので)兄弟と半分にして仲良く食べた、(長いので)食べかけは袋に戻し袋の口を結ぶ、が有名です。おすすめは発売から半世紀たっても一番人気の「クリームのっぽ」です。

のっぽの先を結んだ様子

-- そしていよいよ本題です。のっぽに描かれている「キリン」についてお聞かせください。「のっぽ」のマスコットキャラクターはなぜ「キリン」なのでしょうか!?

子ども向けのパンを開発することになり長いパンが特徴であること、また子ども向けの商品でしたのでキリンをパッケージに描きました。

パンの味も好評ですがキリンのキャラクターを見るだけで懐かしくなるそんなキャラクターです。

-- 「キリン」に名前はありますか!?

キリンのキャラクターの名前はございません。

-- え!?まさかの名無し!?!?

余談ですが、性別も不明。首以下の胴体や脚なども不明。公式はありませんがみんなで想像してほしいです。

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 いやいや、ビックリしました。なんと言っても「キリン」に名前がなかったこと、そして胴体下は不明……。これは軽くホラーの部類なのかもしれません。でもそんな逸話がある「のっぽ」のキリン、素敵すぎませんか。

 静岡県民の筆者ですら、その事実を知らなかった故に、ちょっと鳥肌が立っている次第です。ちなみに、株式会社バンデロールのX(@banderolejp)を見ると、キリンのグッズがあるのですが……やっぱり胴体は無し。

 想像ですが、実はこれ「キリン」のヘッドの被り物……ということではないでしょうか。中に人がいる的な。色々想像するだけでも面白いですね。 

 また、名前も想像してくださいとのことなので、つけるとしたらパンの名前が「のっぽ」なので「ノッポさん」でどうでしょうか。あ、静岡県民のみんな石投げないで。思いつきで言っただけだから。

 そして11月にはコラボがあるそうなので、この辺も何が行われるのか、期待したいところですね!

 ということで、「のっぽ」を知っている方も知らない方も、静岡で見つけたら、ぜひ手に取ってもらい、「キリン」についてもじっくり観察してもらいたいものです。

<取材協力>
株式会社バンデロール

(たまちゃん)