ルイジアナ州バークスデール空軍基地に司令部を置くアメリカ空軍地球規模攻撃軍団(Air Force Global Strike Command=AFGSG)は、2019年3月28日(現地時間)、隷下部隊に所属するB-1B爆撃機に安全上の問題が見つかったとして、全機に対し飛行停止を命じました。これはドラッグシュート(着陸制動用パラシュート)に不具合が見つかったというものです。
今回の不具合は、ドラッグシュートの定期検査の際に発見されたもの。ドラッグシュート(制動傘)本体を繋ぎ止めているリグ(ひも)に不具合が見つかったとのことで、全機に共通して起きている可能性があるということで、点検のために飛行停止措置が取られました。
B-1Bのドラッグシュートでは、開傘時のシステムにも不具合が見つかっていましたが、今回のリグに関しては、開傘システムとは無関係のものと結論づけています。通常B-1Bの運用では、着陸時に必ずしもドラッグシュートを必要としておらず、いわば緊急制動用といった意味合いの強いものです。しかし、緊急時に使用するものであれば尚のこと、高い健全性が要求されます。ほかに代わるものがない「最後の手段」なので、絶対の信頼がなくてはいけないのです。
B-1Bは核攻撃能力こそ取り外されてしまいましたが、60トン近い豊富な兵装搭載量や速度性能から、アメリカ空軍における重要な戦力に位置付けられています。長射程の新型巡航ミサイルAGM-158“JASSM”が回転式爆弾倉に24発搭載できるなど、1機あたりの攻撃力は群を抜きます。
このところは定期的にインド太平洋地域への遠征配置も行われ、日本の航空自衛隊との共同訓練も行われています。中国や朝鮮半島情勢の絡みもあり、アメリカ軍のインド太平洋地域戦略にも欠かせない爆撃機といえるでしょう。
今回の飛行停止措置は、1機ずつ整備員がドラッグシュートのリグを検査し、問題がないことが判明すれば解除される予定となっています。アメリカ空軍では、安全性が何ものにも優先される事項と認識されており、特に今回のような緊急時に使用されるものの不具合は、念入りな検査が行われています。
Image:USAF
(咲村珠樹)