シンガポール空軍は2019年8月21日(現地時間)、同国のジェフリー・ング少佐がアメリカ空軍の指揮幕僚課程を修了し、優秀学生として表彰されたと発表しました。際立った成績を収めた学生に授与される優秀学生賞をシンガポール空軍の士官が受賞するのは初めてのことです。
アラバマ州のマックスウェル基地に設けられている、アメリカ空軍の指揮幕僚課程(ACSC)。アメリカ空軍だけでなく、陸軍や海軍、そして海兵隊のアメリカ4軍に加え、67か国から集まった国際士官(International Officers=IO)500名が集まり、高級幹部としての作戦指揮能力などを学びます。
シンガポールから参加したのは、無人機(UAV)パイロットのジェフリー・ング(Jeffrey Ng)少佐と、リー・メイイー(Lee Meiyi)中佐。1年にわたる指揮幕僚課程では、部隊の指揮官としてのリーダーシップ育成に加え、戦術の研究や国際安全保障などについても学びます。
アメリカ空軍だけでなく、アメリカの他軍や諸外国からの留学生を指揮幕僚課程に受け入れているのは、他の組織との共同作戦を行うにあたり、将来の指揮官同士が早くから交流しておくことが目的。それと同時に、組織ごとに異なる文化を学び合い、ともに同じ課題に対処する中で、自分たちの特性や欠点などを知ることもできます。
ジェフリー・ング少佐は「多くの国々を代表する士官たちと充実した交流を経験し、それぞれの地域における安全保障上の課題について、様々な角度から見ることができました。将来、アメリカやその他の国と一緒に、地球規模に広がった戦争やテロとの対処にあたる際、この経験は大いに反映されると思います」と語っています。
優秀学生証だけでなく、ング少佐は戦術に関するレポートの優秀賞や、最優秀国際士官レポート、そして2種類の異なる分野における体育の賞なども受賞。この背景には、シンガポール海軍の少佐でもある奥様のマリリンさんが留学の期間中、休職して一緒にアメリカで生活したことも大きいとング少佐は語ります。
「妻は自分の軍におけるキャリアや任務を脇に置き、私のために尽くしてくれました。妻には感謝してもしきれません」
今回の指揮幕僚課程を修了した士官たちは、ふたたび原隊に戻って新たなキャリアを歩むことになります。しかし「同期の絆」は永遠。ここで過ごした日々が、国際協力の場などで力を発揮してくれることでしょう。
<出典・引用>
シンガポール防衛省 プレスリリース
Image:RSAF
(咲村珠樹)