強い者が生き、弱い者は死す。そんな弱肉強食の世界のアマゾン川で、悪魔と呼ばれている獰猛で危険な魚「ピラニア」を使った、世界初?となるピラニア出汁100%の「ピラニアラーメン」を浅草で食べてきた。
「ピラニアラーメン」を販売しているのは、「NINJA CAFÉ & BAR ASAKUSA」。9月20日~23日までの間、1000杯限定(各日300名限定/※20日のみ100名限定)で提供している。ちなみに、本当は初日の20日に行きたかったのだが、事前情報だけで筆者が完全にビビッたため、2日目の21日にお邪魔しました。
まず、イベントを主催した、新価値クリエイター集団「Holiday Jack株式会社」の矢野智之さんにお話を伺いました。そもそも、矢野さんが最初にピラニアを使ったイベントを企画したのは、2018年11月の「ピラニアフィッシング」。日本一都会にあると言われている釣り堀「品川フィッシングガーデン」で、南米アマゾンのジャングルの奥地から、100時間かけて輸送した1000匹のピラニアによる釣りイベントでした。
そもそも、矢野さんがなぜピラニアを使ったイベントを思いついたのか……。それは、矢野さんは20代の頃、約6年間、100か国以上を旅しており、その際、1か月ほどアマゾン川をイカダで移動しながら、ピラニアだけを釣って食べる生活をしていたそう……。そして、日本に帰国して、旅の経験を友人などに話して、一番ウケが良かったのがピラニアの話だったとのことです。
そこで、2017年4月1日に「ピラニア釣り堀」をエイプリルフール企画として発表。プレスリリースまで配信しました。
ところが、もともと「スーパーで売っているような肉は一切焼かない」をポリシーにした「珍肉BBQ」(ワニの手足グリルや豚の丸焼きなどが出た)など変な企画ばかりをしていた企業のため、信じる人が続出。実はこの時弊社からも、問い合わせを行っています。
当時確認を行った編集長曰く「プレスリリースもらいはじめて数年たつけど、変な企画しかしない、変な社長(矢野さん)がいる会社のことだからありえると思った」「問い合わせたら他からもかなり来てたみたいで、矢野さん“ちょっと真剣に考えます”って、焦ってた」とのことでした。
この時あったという問い合わせ。その後の発表によると、なんと5万件もあったそうです。そこで矢野さん覚悟をきめて、1年以上かけて2018年11月に「ピラニア釣り堀」を実現。嘘から出たまこととはまさにこのこと。
さらに2019年4月1日のエイプリルフールでは、「世界初のピラニアラーメンが誕生!」というネタをリリース。これも再び、大きな反響があり、嘘だと知りつつ「ピラニアラーメン」を実際に食べてみたい人たちから“圧”に後押しされ今回のイベント実施に至ったそうです。
ちなみに、「ピラニアラーメン」を作るために、技術協力してくれたのは、同じ浅草にある人気ラーメン店「成田屋」。ここのお店は矢野さん曰く「浅草でも1・2を争う人気店」らしいのですが、そこの社長さんが「おもしろいね!一生に1回の記念として協力するよ!」と言って、協力してくれたとのこと。そして、ピラニアを煮干しにするところからスープ作り、自家製麺に至るまで、メニュー開発を担当してくれたそうです。
さて、説明を聞いているうちに「ピラニアラーメン」(3000円)+「特大ピラニア一匹トッピング」(2500円)が運ばれてきました。いくら人気ラーメン店が開発したとはいえ、見た目はやっぱり怖い……。でも、ピラニアを揚げているだけあって、こうばしい香りがします。普通はその香りで食欲もそそられるのですが、見た目のインパクトが強すぎて、食欲はわいてきません……。
恐る恐るスープを飲んでみると、塩味でコクがあり、レモンの酸味もほのかに感じて美味しい。ピラニアラーメン用に開発された中細の自家製麺とよく合います。そして、問題の素揚げしたピラニア……。
ちなみに、今回のピラニアラーメンに使われているピラニアは、ブラジルのアマゾン川から輸送した「ピラニア・ナッテリー」という種類で、矢野さん曰く「ピラニアは原住民の言葉で『歯のある魚』という意味。だから、アマゾン川だけでも、たくさんの種類がいる。その中でもナッテリーは、一番凶暴で、映画などでよく見る、人などを襲うような種類です」とのこと。
食べる前になんでそんな事を言うんだ……と思いつつも、ゆっくりと口の中にナッテリーを入れる筆者。……美味い!普通に白身魚を食べているみたいで、例えるなら鯛の塩釜焼きを食べているような感じです。本当に予想外の美味しさでビックリ(完全に失礼ですが)。あっという間にスープも飲み干してしまいました。
一生に一度、食べられるかどうかのピラニアラーメン。本当に良い記念になりました。販売は9月23日までです。この機会に、一生に一度の味を体験してみるのも良いかもしれませんね。
取材協力:Holiday Jack 株式会社
(取材・写真:佐藤圭亮)