1997年リリースの「Microsoft Office97」からしばらく搭載されたアシスタントキャラクターの「カイル君」。そのカイル君を忠実にアイロンビーズで再現した作品に、注目が集まりました。

 当時のカイル君の扱いはユーザーからは酷いものでした。カイル君はヘルプ機能の検索部分を担っていましたが、作業中も表示されることから邪魔に感じたユーザーから「お前を消す方法」と検索されてしまうことが多々。それが十数年の時を経てこういう形で対面すると、当時の感情よりも先に懐かしさがこみ上げてきます。

 そのカイル君をアイロンビーズで再現したのは、アイロンビーズ作品を手がけているMiyukiChiさん。普段は家事と幼児の育児の合間を縫いながら、ゲームキャラクターやゲームの一場面を再現したビーズアートを作っています。

 「アイロンビーズでOfficeのあのイルカを作りました!若い方はご存知無いかもしれませんね~可愛いでしょう?【何について調べますか?】」と、絵文字混じりの文章とともに、カイル君の作品をツイッターに投稿したところ、見た人たちからは「めっちゃ懐かしくて、ふぁーってなりました!」「この色数を目視で入れていく…なんて職人技…」と、懐かしさとその色味の再現度の高さに感心する人が続出。そして、お決まりの「お前を消す方法」のリプライも。


 
 MiyukiChiさんに、カイル君を作ったきっかけを聞いてみました。「梅雨が長引いて毎日ジメジメと暑苦しく、気分だけでも夏爽快になりたいと思い、夏っぽいモチーフを考えていました。夏といえば海、海といえば海洋生物…イルカ…そういえば『あのイルカ』って、ドット絵じゃなかったっけ?という顛末です」と、答えてくださいました。

 カイル君がドット絵というところに目を付けたMiyukiChiさん、さすが。普段からアイロンビーズでドット絵を再現しているだけの事はあります。元の絵となったカイル君のグラフィックの、影の付け方やハイライトの入れ具合などをびっくりするほど忠実に再現しています。

 カイル君を作るにあたって、「使用されている色の数が多いので、色の制限のあるアイロンビーズで再現した際、不自然にならないように気をつけました」との事。不自然にならないように色の配置を考えるのは、相当の技術が要りそうです。

 MiyukiChiさんがアイロンビーズでドット絵を作る事にはまったのは、ハンドメイドアクセサリーの中で、ゲームっぽい表現となっているようなものがないかな、とふと思い立って検索したところ、アイロンビーズでドット絵を再現したファンアート的な作品が多く出ていたのを見た事がきっかけ。

 「ドット絵の表現にこんなものがあるんだ!と衝撃を受け、アイロンビーズを始めてどハマり」したというMiyukiChiさんの作品は、大作も数多くあります。初代イースのあの有名なオープニング画面、ロマンシングサガ3のビューネイ戦などを再現しているものがあるのですが、とりわけ筆者が思わず口をぽかーんと開けて見入ってしまったのが、ゲームのクロノトリガーの一場面。

 6人のキャラクターが空を飛んでいる飛空艇の上に立ち、それぞれ武器を構えているシーンを再現。飛空艇の下に広がる山林、お城、村の建物などが細かく描きこまれています。額装されたビーズアートは、にわかにはビーズアートとは思えないくらいの完成度。販売するのは御法度ですが、こうして個人でファンアート活動として楽しむのは、育児に追われる合間の息抜きにもよいものですよね。

<記事化協力>
MiyukiChiさん(@miyukichi8bit)

(梓川みいな)