おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

伝説のサイト「侍魂」の行方に注目 ぷらら「プライベートホームページ」終了がもたらす余波

 ネットの自己発信がSNS主流となる中、かつての「テキストサイト」文化が消えつつあります。NTTドコモのプロバイダ「ぷらら」が提供する「プライベートホームページ」サービスが2025年3月末で終了。それに伴い、伝説のテキストサイト「侍魂」の今後の行方が注目を集めています。

 管理人の健氏は移管を検討中とのことですが、現状は不透明。ネット上では惜しむ声が相次ぎ、かつてのネット文化の終焉を感じさせています。

  • ■ ぷららの「プライベートホームページ」が3月末で終了する

     「ぷらら」は、NTTドコモが運営するインターネットサービスプロバイダです。

     その「ぷらら」が提供する「プライベートホームページ」は、個人が自由にウェブサイトを作成・公開できるサービスで、FTPを使用してサーバーにファイルをアップロードする形式を採用。ブログやSNSが普及する以前に主流だった、テキストサイトや個人サイトの運営手段として多くのユーザーに利用されていました。

     ちなみにテキストサイトや個人サイトが主流だった時代は、1990年代後半から2000年代前半。2000年代前半から中頃にかけてはブログが登場し、2004年には国産SNS「mixi」も誕生。徐々にブログやSNSが主流となり、インターネットの風景は変わっていきました。

    ぷららのホームページサービス

     そんな個人サイト全盛の時代に愛された「プライベートホームページ」。容量を改めて見てみると5MBから100MBまで選択が可能。昨今の「ギガ」の時代にたった5MBから対応しているというのが、まさに2000年代らしい点です。もちろん「テキスト」を主に公開する当時としてはそれで十分でした。mpegとかaviなど重たい動画なんてもってのほか。

     しかし、このサービスも2025年3月31日をもって終了。4月30日にはコンテンツも完全削除することが決定しています。

    「2025年4月1日(火曜)以降、ホームページの公開が終了となり、お客さまのコンテンツは2025年4月30日(水曜)をもって完全に削除となります。ほかのホスティングサービスでホームページコンテンツを利用継続される場合は、お客さまご自身でコンテンツの移動をお願いいたします」
    (2024年6月27日公開「ドコモからのお知らせ」より引用)

     そして、この「終了」が何を意味するのかというと……あの伝説のテキストサイト「侍魂」も消える可能性があるという、とんでもない問題を抱えているのです。

    ■ 伝説のテキストサイト「侍魂」も消えるのか?

     侍魂は、2001年に開設された個人運営のテキストサイトで、その中でも「先行者」と呼ばれる中国の人型ロボットに関する記事『中国政府の期待の星 偉大なロボット「先行者」』で一躍注目を集めることになりました。

     今やAIやロボットが盛んに進化していますが、当時はまだまだ黎明期。そんな中で登場した中国の「先行者」と呼ばれる独特な風貌のロボットを、まさしく「おもちゃ」のようにいじり倒した(茶化しまくった)コンテンツが、匿名掲示板「2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)」を中心に大ブレイク。

     ついには、当時の人気雑誌の付録としても登場するほどの影響力をもち、ネットの話題といえば「まずは侍魂」と言えるほど、メジャーなコンテンツでした。

    先行者のプラモデル

     そんな「侍魂」もこの「ぷらら」の「プライベートホームページ」を利用しているため、3月末で消える可能性を秘めています。

     つまり、先行者の記事も2025年3月末で見納め……となるかもしれないのです。

    ■ 継続する可能性は!?

     このまま「侍魂」は消えてしまうのか!?

     そんな疑問を、「侍魂」の管理人・健さんに、知人であるライターのヨッピー氏が問い合わせたところ……。

     まさに「どうしよう」と、悩んでいるとのこと。ヨッピー氏は、このやりとりを自身のX(旧Twitter)にて公開しています。

    ヨッピー氏が公開したやりとり

     その後、「ロリポップ」や「note」などへの移管を検討しているとの話もありますが、現在の状況についてヨッピー氏にたずねたところ「最終的にどうなったかわかりません!!」とのことでした。

    ■ ネットでは悲しみの声

     ネットではこの事態に「寂しいなぁ」「は?マジか」「歴史が消えていく」など、悲しみの報告が相次いでおります。

     願わくはどこかのサービスを利用し継続して欲しいところですが、「ホームページ」の移管はそう簡単にできるワケではありません。やること盛りだくさんです。

     とはいえ、「侍魂」というレジェンド級の歴史的な財産を、受け入れたがるサーバ会社は多いはずです。筆者の見解では、むしろお金を払ってでも、そのコンテンツを迎え入れる価値があると考えています。

     はたして「侍魂」は無事2025年4月1日を迎え存続するのか、それとも「先行者」と同じようにインターネットの歴史として語り継がれ、ただ消えていく運命なのか……。

     偉大なる「侍魂」に栄光アレ。

    <記事化協力>
    ヨッピー氏(@yoppymodel

    <参考・引用>
    テキストサイト「侍魂
    侍魂:中国政府の期待の星 偉大なロボット「先行者」
    NTTドコモ:「ぷらら」および「BUSINESSぷらら」の一部オプションサービス等の提供終了について

    (たまちゃん)

    あわせて読みたい関連記事
  • Googleの「インターネット古参会 入会資格審査」がちょろすぎる件
    インターネット, おもしろ

    Googleの「インターネット古参会 入会資格審査」がちょろすぎる件

  • ICQの現在のホームページ
    インターネット, 社会・物議

    アッオー!みんな「ICQ」って覚えてる?久しぶりに見てみたら……まさかの展開

  • 404NotFoundTシャツを置いてみたところ
    インターネット, おもしろ

    404NotFoundシャツを着ていたら「ガッ!」と言われるか?実際に着て歩いて…

  • 湯川晃運営サイト「秒刊SUNDAY」の2006年頃
    インターネット, 雑学・コラム

    ネットの放火魔と呼ばれた「元炎上ブロガー」湯川晃が炎上をやめた理由

  • インターネット老人会ラバーキーホルダーのカプセルトイをやってみたところ、でたもの
    商品・物販, 経済

    「ぬるぽ」「ガッ」ガチ世代が「インターネット老人会ラバーキーホルダー」買ってみた…

  • 一昔前ならみんなが使っていたネット用語をキーホルダーにした商品
    商品・物販, 経済

    インターネット老人会ラバーキーホルダー発売 ggrksや今北産業などネットスラン…

  • 漏れ「ぬるぽ」若者「何ですかそれ?」 古のネット用語もう通じなくなっている
    インターネット, 雑学・コラム

    漏れ「ぬるぽ」若者「何ですかそれ?」 古のネット用語もう通じなくなっている

  • 愛の妖精ぷりんてぃんサイトイメージ(当初)
    社会, 雑学

    伝説の電波系サイト「愛の妖精ぷりんてぃん」初代運営者にインタビュー 立ち上げ理由…

  • 俺らの青春「テレホーダイ」が2023年9月に新規受付終了……!2024年1月にサービス停止するってよ!
    インターネット, サービス・テクノロジー

    俺らの青春「テレホーダイ」がサービス終了するってよ!電話料金に親からのお叱り………

  • 「だいだい色」の語源となったダイダイ(橙)の実
    ライフ, 雑学

    オレンジを「だいだい色」って言わない!? 色の和名とカタカナ名の関係

  • たまちゃんWriter

    記事一覧

    元秒刊SUNDAYライター。炎上ネタからグルメネタまで得意とするも、現編集部(おたくま)では炎上ネタは封印。おだやかに書いております。静岡県浜松市在住です。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • マクドナルド非公認レシピ「改造てりたま」
    グルメ, 作ってみた

    マクドナルド非公認レシピ!夏のてりたま欲を満たす「改造てりたま」を作ってみた

  • LINEの画面って拡大できないの?タイトル画像
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ピンチ操作が効かないLINE画面も拡大!iPhoneの隠れ便利機能「ズーム」活用…

  • AIで生成されたフェイク動画
    インターネット, 社会・物議

    一瞬本物かと……有名人の顔と声までAIで再現!進化する投資詐欺の実態とは

  • “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート
    インターネット, 社会・物議

    “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート

  • フッション系と思わせるサポート詐欺サイト
    インターネット, 社会・物議

    ファッション広告のフリをした罠 ますます巧妙化する“サポート詐欺”

  • 危険なウイルスに侵害というメッセージ
    インターネット, 社会・物議

    サイト閲覧中「危険なウイルス」警告、誘導先のアプリを入れるとどうなる?

  • トピックス

    1. 母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      大阪・関西万博をきっかけに、55年前の1970年の大阪万博(以下、70年万博)に興味を抱くようになっ…
    2. ハチワレ特製「暗殺者のチャルメラ」を再現 トマトと粉チーズでインスタントラーメンが大変身

      ハチワレ特製「暗殺者のチャルメラ」を再現 トマトと粉チーズでインスタントラーメンが大変身

      10月1日にXで公開された漫画「ちいかわ」にて、ハチワレがちいかわに振る舞った“暗殺者のチャルメラ”…
    3. 「フツーの人」と「デブ」の食意識の違いをイラストで可視化 あなたはどっち?

      「フツーの人」と「デブ」の食意識の違いをイラストで可視化 あなたはどっち?

      「もしかして、フツーの人っておなか空いてる時以外おなか空いてないの?」そんな衝撃の(?)問いかけとと…

    編集部おすすめ

    1. フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      「みんなの75点より、誰かの120点」を合言葉にドン・キホーテが展開している偏愛メシシリーズ。10月1日に「本当にこの組み合わせが好きな人が…
    2. 将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      オンライン将棋対局サービス「将棋倶楽部24」が、2025年12月31日をもって終了することが発表された。運営する席主の久米宏氏が10月1日付…
    3. pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      アパレルブランド「pium」が9月30日、店舗スタッフの接客に対する多数の指摘や批判を受け、公式Xにて謝罪文を公開しました。併せて再発防止策…
    4. 「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      映画「ビー・バップ・ハイスクール」のロケ地として知られる静岡市清水区で、作品ゆかりの企画を集めた大型オフラインイベント「清水 ビー・バップ・…
    5. 第7回京都アニメーションファン感謝イベント『私たちは、いま!! ―京アニのセカイ展―』

      京都アニ「第7回ファン感謝イベント」追加情報を公開 新商品や書籍予約、グッズ二次予約も発表

      株式会社京都アニメーションは、10月25日・26日の2日間で開催予定の「第7回京都アニメーションファン感謝イベント『私たちは、いま!! ―京…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト