おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

深海魚ハンター西野勇馬さん 今度は日本最大級のバラムツをしとめる

 メディアに「深海魚ハンター」として登場するなど、これまでに釣りで34種類の世界記録(重量ベース)を樹立している大学生の西野勇馬さんが、今度は巨大なバラムツを釣り上げました。体長は釣り上げた西野さんと同じくらいの172cm、検量待ちだという重量は日本記録(34.30kg)に迫る大きさだといいます。

  •  西野さんにお話をうかがうと、これは2020年9月26日に開催された深海釣り大会での釣果だそう。大会では神奈川県は三浦市小網代沖の相模湾に船を出し、14時終了(納竿)のスケジュールだったといいます。

     仕掛けを下ろしたのは、水深約400mという中深層(200~1000m)にあたるタナ。ヒットしたのは、大会の終了(納竿)時刻1分前の13時59分だったそうです。ここから深海魚とのファイトが始まりました。

     深海釣りはタナが深いため、通常はライン(道糸)の巻き上げが楽な電動リールを使うことが多く、タナの水深をセットすれば自動的に仕掛けを下ろしてくれ、巻き上げる時も高トルクモーターがグイグイ巻き上げてくれます。しかし西野さんの場合、世界記録や日本記録に挑戦しているため、自分の手による巻き上げ。

     ラインを通じ、数百m離れた魚との格闘は25分ほど続きました。その間、西野さんは全身の力で竿を引き上げ、戻す動作に合わせてリールを巻き上げる「ポンピング」を繰り返します。西野さんが提供してくれた、釣り上げる場面の動画を見ていると、ユラリと海面に獲物の姿が見えてきました……うわ、おっきい!

     わずかにピンクを帯びた体色の魚が上がってきました。魚もかなり疲労しているようですが、それでも最後のあがきを見せ、身をひるがえして竿先をグッと海中に引き込もうとします。それに対抗する西野さん。


     タモ網が差し込まれ、ようやく船上に魚を収容。やはり重量があるらしく、タモ網を持ち上げる人も足を踏ん張っています。


     釣り上げられたのは、バラムツと分かりました。「ムツ」という名前がついていますが、見かけが高級白身魚のムツに似ているだけで、実際はムツ科ではなくクロタチカマス科の魚。「バラ」の名は体色がバラ色という意味ではなく、ウロコがバラのトゲのようになっていることからで、このトゲは鋭く怪我をするほどだとか。

     西野さんの自己記録では、1年前の2019年9月29日に神奈川県の東京海底谷、水深500mで釣り上げた139.1cmのバラムツが最高なので、体長172cmは自己記録更新の釣果。検量用の秤が壊れてしまい、新しいものを手配して検量するため冷凍保存しているそうですが、30~35kgくらいだろうとのこと。もし34.30kg以上あるとIGFA(ジャパンゲームフィッシュ協会)認定のオールタックル日本記録となるそうです(現在のバラムツ日本記録は、2013年7月25日に中前悦尚さんが和歌山県白浜沖で釣り上げた34.30kg)。

     検量後は解体して、食べたいという西野さんの友人と食べる予定だとか。ただし、バラムツの身には深海魚にありがちなワックスエステル(人間が消化できない脂質)が大量に含まれており、食べるとお腹を壊す(油脂瀉下)ため市場への水揚げが禁止されています。西野さんもその点はご承知なので、食べるのは微量ずつにするそうです。

     バラムツは大型の深海魚で、中には2mを超える個体もあるとか。そんな魚と長時間格闘した西野さんは、全身が筋肉痛気味になってしまったそうです。このバラムツを釣り上げる様子は、西野さんのYouTubeチャンネルにて動画公開されています。

    <記事化協力>
    西野勇馬さん(@nanukazame1)

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 口の中からコンニチワ!ノドグロに隠れていた謎の生き物に15万いいね
    インターネット, おもしろ

    ノドグロの口を開けたら…中から“謎の白い生物”がひょっこり

  • 深海魚ハンター・西野勇馬さん 相模湾で2例目となるレア種「マルバラユメザメ」を釣り上げる
    インターネット, びっくり・驚き

    深海魚ハンター・西野勇馬さん 相模湾で2例目となるレア種「マルバラユメザメ」を釣…

  • 深海魚ハンター西野勇馬さんがマルバラシマガツオを捕獲 データのある標本は極めて稀な例
    インターネット, おもしろ

    深海魚ハンター西野勇馬さんがレア種「マルバラシマガツオ」を捕獲

  • 2023年に釣って嬉しかった魚ランキング
    ライフ, 雑学

    釣り人に聞いた「釣って嬉しかった魚ランキング」 タイが1位を獲得

  • イチハラビロウドザメを釣り上げた西野さん
    インターネット, びっくり・驚き

    深海魚ハンター・西野勇馬さん 9月に釣り上げた超激レア深海ザメ「イチハラビロウド…

  • 高速バス車両モデル
    商品・物販, 経済

    「バスでバス釣り」ダジャレみたいなルアー爆誕 西日本JRバスとバス釣り具メーカー…

  • 画像提供:西野勇馬さん
    インターネット, おもしろ

    深海魚ハンター西野勇馬さん 超激レア深海ザメ「イチハラビロウドザメ」を捕獲

  • 浴室に4匹のウナギ
    インターネット, びっくり・驚き

    浴室に4匹のウナギ 「私なら発狂する」「美味しそう」「ウナギ釣りあるある」など様…

  • 深海魚ハンター西野勇馬さん "生きた化石"ギンザメを釣り上げる
    インターネット, 社会・物議

    深海魚ハンター西野勇馬さん ”生きた化石”ギンザメを釣り…

  • 相模湾でクログチイワシを釣り上げた西野勇馬さん(西野勇馬さん提供)
    インターネット, びっくり・驚き

    深海魚ハンター西野勇馬さんクログチイワシを釣る 相模湾では極めて稀な例

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え
    エンタメ, 芸能人

    松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超…

  • 「金曜ロードショー」40周年
    エンタメ, 映画

    金曜ロードショー、40周年を記念した豪華2時間SP 国民が選ぶ名場面集

  • 新商品「クリスピーピザポテト チーズチーズチーズ」
    商品・物販, 経済

    ピザポテトが進化!チーズ2倍「クリスピーピザポテト」期間限定で発売

  • 魔改造カップヌードル
    商品・物販, 経済

    日清食品「魔改造カップヌードル」4品を新発売 定番フレーバーを背徳アレンジ

  • 企業と株主対立を“見える化” ストラテジックキャピタル、ガンホー批判サイト公開
    社会, 経済

    企業と株主対立を“見える化” ストラテジックキャピタル、ガンホー批判サイト公開

  • 無料クーポンリレー
    イベント・キャンペーン, 経済

    ファミリーマート、ファミペイ新規登録者向け「無料クーポンリレー」開始へ

  • トピックス

    1. お笑いコンビ・アインシュタインの稲田直樹さんの公式X

      アインシュタイン稲田の“潔白”が証明された日 暴露文化とSNS拡散が残したもの

      お笑いコンビ・アインシュタインの稲田直樹さんのInstagramが不正にログインされ、卑猥なやり取り…
    2. 【体験レポ】「落とし物:黒い封筒」を開封してみた 自宅で本当に心霊現象が起きる?一夜のゾク体験

      【体験レポ】「落とし物:黒い封筒」を開封してみた 自宅で本当に心霊現象が起きる?一夜のゾク体験

      ホラーイベント「笑える事故物件 笑えない事故物件」公式グッズの体験型キット「落とし物:黒い封筒」を体…
    3. 丼にサンマが丸ごと横たわる衝撃 牛角の「秋刀魚ラーメン」実食レポ

      丼にサンマが丸ごと横たわる衝撃 牛角の「秋刀魚ラーメン」実食レポ

      焼き肉チェーンの牛角は9月4日より、サンマを丸ごと一尾のせた「牛角流秋刀魚ラーメン」を販売しています…

    編集部おすすめ

    1. 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      エイベックスの松浦勝人会長は9月4日、自身のX(旧Twitter)で新たに「松浦顧問制度 シーズン1」を立ち上げたことを報告した。内容は「月…
    2. 「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる……」Xで飼い主さんにこうつぶやかれたのは、4羽の白文鳥さんたち。添えられた写真には、4羽が棚の上に連なって集まり、まるで連…
    3. 法事でオリジナルTシャツ!?音楽フェスのような斬新な引き出物が話題

      法事で配られた家紋&没年入りTシャツが話題 “フェス感”漂うセンスに爆笑

      法事の引き出物(お返し)といえばお菓子やカタログギフトが王道ではないでしょうか。しかしときには予想だにしない品をもらうこともあるようで……。…
    4. 災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      フィリップ モリス ジャパン(PMJ)が、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と共同で、避難生活に特化した支援ネットワーク…
    5. 「週刊文春」2025年9月4日号(8月28日発売)

      週刊文春、最新号表紙は「白紙」 48年続いた和田誠さんの表紙絵に幕

      総合週刊誌「週刊文春」は、2025年8月28日発売の9月4日号で48年間にわたり表紙を飾り続けたイラストレーター・和田誠さんの絵を終了し、大…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト