おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

小児科ならではのナースコール 「にんじんさんのこしていいでしゅか?」

 小児科病棟で働いていると、小児科ならではの悲喜こもごもがあるもの。そして入院中の子どもからのナースコールは思いがけず和む事も。そんな小児科病棟の日常のひとこまがネット民を和ませています。

  •  「ナースコールで『にんじんさんのこしていいでしゅか?』って聞いてくるのまじ可愛すぎて無理。食べてください」。そんなナースコールを受けてツイッターにつぶやいたのは、小児科病棟で働いているもちださん。

     ナースコールをしてきたのは、2歳半くらいの女の子。子どもの嫌いな食べ物トップ3常連とも言える「にんじん」が食べられずにコールしてきたそうです。

     にんじん嫌いちゃんにとって、「病院のごはんは病気をやっつけるための元気のもとだから、しっかり全部食べようね」というお約束は、なかなか守るのが大変なようです。いくら美味しく柔らかく煮てあったとしても、にんじんというだけで「イヤ!」となっちゃう子どもも多いですもん。しかし、栄養豊富なにんじんは嫌いでも頑張って食べてほしいところ。

     小児科のナースコールは、しばしば子どもの事故予防のためにコード自体がない作りになっているか、かなり短いコードになっていて付き添いの大人が使えるような形のところが多いのですが、もちださんが勤務している病院では、言葉が分かる子ども達には「看護師さんに繋がるお電話だよ、なんでも教えてね」と伝えているそう。そのためナースコールは頻繁に鳴るのだそうです。

     入院時に説明を受けてちゃんと理解している2歳半の女の子も賢いですが、内容は幼児らしくてつい頬が緩んでしまいますね。

     他にも、「おやつ、かんごししゃんもたべた?いっしょにたべよう」や、お昼寝から起きたあと「おきた、おはよう」など可愛らしい内容がたくさんコールされてくるそう。

     それはさておき、もちださんが一番印象に残っているエピソードを伺ったところ、こんなお話をいただきました。

     小学生のAちゃんが乳児4人と同じ部屋になってしまい、それぞれの乳児は昼夜問わずしょちゅう泣き声を上げていました。その部屋の係となっていたもちださんは、目がなかなか離せない乳児の面倒も見るべく、病室で看護記録を書きながら乳児をあやすなどしていたのだそう。とともに、Aちゃんにも積極的に話しかけ、乳児の授乳を間近で見てもらうなど、乳児とAちゃんが関わりやすいようにしていたそうです。

     普段は物静かで乳児の泣き声にも文句もあげなかったAちゃん、ついに退院となった時「もちだせんせいは、赤ちゃんいっぱいお世話しながら私とも遊んでくれて、…楽しかった。私、もちだせんせいみたいな看護師さんになるね 」と涙ながらに伝えてくれたのだそう。

     そんなAちゃんのエピソードに「すごく心が温まり、印象に残っています」ともちださん。

     可愛いだけではなく、入院中の子どもの親へのケアや対応、ナースコールを子どもに持たせている事できめ細かい病室への巡回など、小児科ならではの大変な事も多くあります。時には先天性疾患のために長期入院にならざるを得ない子や、孤独を感じやすい学童期の子どもに対する心のケアなど、大人の入院患者にはない難しい事もあります。

     そんな難しさも吹き飛ばすような、子どもたちと看護師のナースコールのやり取りは、看護師にとってもささやかな癒やしになるのですよね。

    <記事化協力>
    もちだ@Ns1年生(@yameyou_ns_0814)さん

    (梓川みいな/正看護師)

    あわせて読みたい関連記事
  • 「マツモトキヨシに寄っていい?」母が発した何気ない一言に4歳息子が恐怖
    インターネット, おもしろ

    「マツモトキヨシに寄っていい?」母が発した何気ない一言に4歳息子が恐怖

  • これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は
    インターネット, おもしろ

    これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

  • 「二手に分かれよう!」 公園で出会った友だちとの“一緒に遊ぼう”に大人は困惑
    インターネット, おもしろ

    「二手に分かれよう!」 公園で出会った友だちとの“一緒に遊ぼう”に大人は困惑

  • コストコのクマさん
    インターネット, おもしろ

    「クマさんが見てるよ」言っても聞かない我が子への“愛ある最終手段”

  • 「ママ」と「パパ」を逆に覚えている?2歳児の言葉の使い分けが興味深い!
    インターネット, おもしろ

    「ママ」と「パパ」を逆に覚えている?2歳児の言葉の使い分けが興味深い!

  • あれー?どこかなー?伸びしろしかない3歳児の“全力”かくれんぼが手強すぎる!
    インターネット, おもしろ

    あれー?どこかなー?伸びしろしかない3歳児の“全力”かくれんぼが手強すぎる!

  • 小学生の耳からシャーペン消しゴム 耳鼻科で無事摘出
    インターネット, びっくり・驚き

    小学生の耳からシャーペン消しゴム 耳鼻科で無事摘出

  • 「使わなくなった旧Switch」どうする? Xで注目、“寄贈”という選択肢
    インターネット, 社会・物議

    「使わなくなった旧Switch」どうする? Xで注目、“寄贈”という選択肢

  • 子の夏休み=親は常に戦闘モード “戦士のような母”の後ろ姿が話題に
    インターネット, おもしろ

    子の夏休み=親は常に戦闘モード “戦士のような母”の後ろ姿が話題に

  • 大量荷物をランドセルに合体! 夏休みを迎える“小学生あるある”に共感の声
    インターネット, おもしろ

    大量荷物をランドセルに合体! 夏休みを迎える“小学生あるある”に共感の声

  • 梓川みいな看護師(正看護師有資格者)

    記事一覧

    一般内科、呼吸器科、整形外科、老年科、発達障害などを得意とする。医療・介護福祉等に高反応。雑多なネタも紹介していきます。
    娘二人(ともに発達障害あり)とネコ二匹の母。シングル。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 災害ボランティアに行く前にやっておくべき大切なこと
    社会, 雑学

    災害ボランティアに行く前にやっておくべき大切なこと

  • お餅での事故を防ぐ ここがポイント!(出典:政府広報オンライン)
    社会, 雑学

    お餅での事故を防ぐ 3つのサインと3つのポイント!

  • 【ナースなコラム】MRIに禁忌なアレコレ え?増毛パウダーも!?
    ライフ, 雑学

    【ナースなコラム】MRIに禁忌なアレコレ え?増毛パウダーも!?

  • みかんは体に良いってほんと? 効能は?適量は?
    ライフ, 雑学

    みかんは体に良いってほんと? 効能は?適量は?

  • 【看護師コラム】実はこれやっちゃダメなんです!処方薬の使いまわし
    ライフ, 雑学

    【看護師コラム】実はこれやっちゃダメなんです!処方薬の使いまわし

  • エクストリーム! 全自動マーブルチョコの色分けが装置爆誕
    インターネット, おもしろ

    エクストリーム! 全自動マーブルチョコの色分け装置が爆誕

  • トピックス

    1. 藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      プロの声楽家として活動する傍ら、1時間1000円から自分の時間を「レンタル」している男性。キャリア豊…
    2. ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムハンバーガーは10月14日に、カニを丸ごと挟んだ「丸ごと!!カニバーガー」を販売開始しました…
    3. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト