アリアンスペースは2020年12月1日(現地時間)、フランス領ギアナからソユーズロケットでUAEの光学情報収集衛星「ファルコンアイ2」を打ち上げ、成功させたと発表しました。ファルコンアイ2はUAE軍の情報収集活動に使用されるほか、民間にも撮影画像が提供されることになっています。

 ファルコンアイ2は、エアバス・ディフェンス&スペースが主契約社となって衛星本体の設計・製造を担当。タレス・アレニア・スペースの光学センサーと、画像処理システムを搭載しています。

 重量1190㎏のファルコンアイは、高度611kmの太陽同期軌道を周回します。太陽同期軌道は衛星側から見ると、観測する地上が常に一定の光線状態となるのが特徴で、光学観測を実施するには最適の軌道です。

 衛星としてのファルコンアイは、1号機がアリアンスペースのヴェガロケットによって、2019年7月10日(現地時間)にフランス領ギアナから打ち上げられましたが、ロケットの不具合により軌道投入に失敗。今回のファルコンアイ2は、その代替として製造と打ち上げが設定されたものです。

 当初は2020年3月に予定されていた打ち上げですが、ロケットに技術的な問題が発生したことと、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により物流が滞ったことでスケジュールが遅れていました。打ち上げ日は11月29日に決まったものの、上空で雷雲が発生し、飛行データの取得に問題が生じるため、天候の回復を待って12月1日の打ち上げとなっています。

 現地時間の12月1日22時33分、ギアナ宇宙センターから打ち上げられたソユーズロケットは、約1時間後にペイロードのファルコンアイ2を分離。予定軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

 打ち上げ成功を受け、アリアンスペースのステファン・イスラエルCEOは「ソユーズロケットを作ったロシアのパートナー、衛星製造に携わったエアバスとタレス・アレニア・スペース、そしてクライアントであるUAE軍と、支援したフランス国立宇宙研究センター(CNES)とフランス軍事省装備総局(DGA)による素晴らしいチームワークの成果です」とのコメントを発表しています。

 UAEでは、油田をテロなどの攻撃から防ぐ遠隔監視システムとして、イスラエルの協力により「ファルコンアイ」ネットワークを構築しています。光学情報収集衛星ファルコンアイ2も、国土防衛のための光学情報収集とともに、その画像データは民間の測量などの衛星イメージングビジネスにも活用される予定です。

<出典・引用>
アリアンスペース プレスリリース
エアバス プレスリリース
タレス プレスリリース
Image:Arianespace/Airbus Defence and Space

(咲村珠樹)