ダンボールを素材に、様々なコスプレ衣装や着ぐるみを生み出す「ダンボリアン」。細かなパーツや曲面までダンボールで作っていくテクニックはすごいの一言。およそ半世紀前に放送された特撮ロボット作品「ジャイアントロボ」の主役、ジャイアントロボをダンボールで完全再現した着ぐるみが誕生しました。
ダンボールでジャイアントロボの着ぐるみを完成させたのは、ダンボリアンのDr.エムタンさん。東北地方を拠点に活動し、青森で開催されているダンボール造形とコスプレの祭典「ダンボリアン」にも参加しています。
横山光輝さんの漫画を原作に、東映(東映東京制作所)によって作られた「ジャイアントロボ」は、1967年10月~1969年1月に全26話が放送された特撮ロボット作品。草間大作少年が巨大ロボット「ジャイアントロボ」を駆使し、ギロチン帝王率いる悪の組織BF団の地球侵略を阻止するストーリーです。
ジャイアントロボ(GR1)はもともと、BF団が地球侵略用に作った兵器で、声紋登録された人間の指令に従って動きます。ところが、BF団を裏切った開発者にコントローラー(腕時計型通信機)を託された大作少年が声を登録してしまったため、ロボは大作少年と防衛機関ユニコーンとともに、BF団の野望を阻止するため戦う存在となったのでした。
Dr.エムタンさんは映像作品を参考に、ジャイアントロボを約3か月かけて制作。エジプトのスフィンクスを思わせる頭部のディティールは「劇中でも角度により顔が違って見えたりするので、現物としての微妙な形の正体がなかなか見えてこず、いろんな箇所を何度も修正しました」とのこと。
最終的に妥協した部分もあるそうですが、彫りの深い目鼻立ちや顎のラインがよく再現されています。目の上のはり出しが影を作り、うつむき気味になると憂いを含んだ表情になるのがロボの特徴でもあります。
コスプレ衣装として考えた場合、動き回ることが前提の設計となります。「関節部分が蛇腹ですべて覆われているので、動けるようにするための微調整が大変でした」もちろん、蛇腹もダンボール造形で伸び縮みするように作られています。
丈夫なダンボールとはいえ紙だけに、衝撃などで変形しやすい面がありますが、これに対しては補強のリブを内部に取り付け、カバーしておくことで強度を確保。動いても形を保つ工夫が施されています。
ロボのディティールを特徴づける、各所のリベットもダンボールによるもの。「ベルト部分のみ割りピンを使ったのですが、ほかはすべてダンボールで作りました。円形に切ったダンボールをポンチの柄の方の丸いところなどを使って丸みをつけていきました。そのままボンドで接着するとつぶれてしまうので、ハトメのオスに挟んでから取り付けました」とDr.エムタンさんは造形の苦労を語っています。
ロボのメイン武装である、指から発射される内蔵ミサイルなどの小道具は「指ミサイルは内蔵ギミックとして考えていたのですが、簡潔に済みそうもないし、(ミサイルの収納)スペース確保のためにディティールを壊したくなかったので潔く断念しました」とのこと。しかし、映像での再現用としてダンボールで作り、指先からミサイルが出てくる様子もTwitterにアップしています。
とてもダンボールとは思えないほどリアルなジャイアントロボ。BF団のライバル機であるGR-2(第16話・第19話に登場)も作ってほしいとの声もあるそうですが、ほかにも作りたい作品のアイデアがたくさんあるため、今のところ作る予定はないとのことです。
次にDr.エムタンさんは、どのような作品を手がけるのでしょうか?Twitterでは作品作りの途中経過がアップされることがあるので、ダンボールからどのように姿を変えていくのか、その醍醐味も味わえますよ。
塗らない方がいんじゃないかという意見もあり、ダンボール地のままの方がアートとしての評価は高いように思われるが、別にアートとして作った訳でなく、ロボを作りたかった訳だから└( ゚∀゚)┘#ダンボールジャイアントロボ pic.twitter.com/BXDGuIS1ke
— Dr.エムタン90㌔ (@mtan78) December 3, 2021
<記事化協力>
Dr.エムタンさん(@mtan78)
(咲村珠樹)