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変革迎える物流、「運ぶ」の未来とは?いすゞがコンセプトカー「VCCC」を世界初公開

 いすゞグループは10月30日から開催の「Japan Mobility Show 2025」に出展。「『運ぶ』を描こう、みんなの未来。」をテーマにブースを展開します。

 開催に先駆け、29日にいすゞグループのブース内にて開催された、いすゞ自動車株式会社およびUDトラックス株式会社の両社長が登壇するプレスカンファレンスに参加してきたので、その模様をお届けします。

  • ■ 物流業界は100年に一度の変革期に突入「強い危機観を持っています」

     「Japan Mobility Show 2025」は東京ビッグサイトにて10月30日から11月9日まで開催される、モビリティ(移動手段)の見本市。乗用車や二輪車などの6つのカテゴリーにて、136の出展者による様々な展示が行われます。

     29日に行われたいすゞグループのプレスカンファレンスには、いすゞ自動車株式会社の取締役社長の南真介氏と、UDトラックス株式会社の取締役社長兼CEOの伊藤公一氏が登壇。

    いすゞのブース

    社長2人によるプレゼン

     出展テーマ「『運ぶ』を描こう、みんなの未来。」にちなみ、「運ぶ」についての想いをプレゼンテーションしました。

     近年、Eコマースの拡大などにより、輸送需要は増加。国土交通省の予測では、2030年には輸送力が34%不足するとされ、物流業界は「100年に一度の変革期」を迎えていると伊藤氏は話します。

    現在の物流業界に強い危機感

     普段当たり前のように受け取っている荷物の1つ1つを届けているのは、物流現場を支える人たちの努力です。

     しかし増え続ける需要を努力だけで乗り越えることは不可能。生産地と消費地とを結ぶ幹線輸送は人手不足や長い荷待ち時間など、さまざまな問題を抱えており、南氏は「業界は今、強い危機観を持っています」と指摘しました。

    ■ いすゞは「自動運転」と「コネクテッド」を糸口に課題解決を試みる

     そうした状況のなかでいすゞグループは「地球の『運ぶ』を創造する」という指針を掲げ、「自動運転への取り組み」と「コネクテッド」を糸口に、課題解決を試みているといいます。

     自動運転については、2027年度以降の実用化をより現実のものとするために、北海道で新たなテストコースの稼働準備を実施。南氏は「将来、配達や集荷も、自動運転でサポートできることを目指します」と述べました。

    南真介氏

     さらにいすゞの商用車情報基盤「GATEX(ゲーテックス)」のコネクテッド技術を組み合わせることで車両の故障や積荷の状態管理など、さまざまな情報をスムーズに連携させることができるとしています。

     一方で自動運転やコネクテッドについて「技術を実用化しただけでは完結しません。実際に、便利に使えなければ意味がありません」と南氏。

     続けて伊藤氏も、周囲の環境を整備したり、安全を担保したりする必要があるため、物流の在り方は大きな変化を迎えているとし「いすゞグループとして、商用車の在り方も変えていくことが、物流の可能性を広げることに繋がるのです」と話しました。

    伊藤公一

    ■ サイズやシーンにとらわれない新しい「運ぶ」の実現を目指す「VCCC」

     その変化する商用車の可能性の1つとして誕生したのが、今回いすゞグループのブースに展示されるコンセプトトラック「バーチカル・コア・サイクル・コンセプト」(=VCCC)です。

    世界初公開の「バーチカル・コア・サイクル・コンセプト」

    サイズやシーンにとらわれない新しい「運ぶ」の実現を目指す

     キャリーカートにも似たコンパクトで特徴的な縦型の車両フレームにより、積荷を“載せる”ではなく“はさむ”形式で輸送するVCCC。サイズやシーンにとらわれない新しい「運ぶ」の形の実現を目指しているとのことです。

     この自由度の高いコンセプトにより荷物の積み替えが不要になるほか、配送が困難な地域に荷物を届けやすくなる可能性も。

     実際の運用をイメージしたアニメーションでは配送センターで荷物を受け取ったVCCCが隊列走行の後、自由に分散して各目的地に荷物を届けるといった様子が描かれました。

    公開された映像の1シーン

     またVCCCが人と人とを結び、街に彩りをくわえる可能性を示した映像も公開。伊藤氏は「未来では、運ぶ人も、運ばれるものも、『運ぶ』に触れる人たちみんなが心躍る、そんなウェルビーイングなシーンが増えると思っています」と映像に込められた期待と想いを述べました。

    ■ 新型「GIGA」や大型トラック「Quester」など、いすゞの“いま”を担う車両の紹介も

     そしていすゞグループの“いま”を担っている車両の紹介も。

    いすゞの“いま”を担う車両

     約10年ぶりにキャブエクステリアを刷新し、多彩な安全機能の搭載により快適かつ安全な走行を提供する新型「GIGA(ギガ)」が世界初公開されました。

    新型「GIGA」

     そのほか新興国を対象にした大型トラック「Quester(クエスタ)」、UDトラックス創立90周年を記念して特別ラッピングをあしらった大型トラック「Quon GW 6×4」(クォン)が公開。

     大阪・関西万博でも活躍したバッテリーEV「エルガ EV」に自動運転機能を搭載した開発中のモデルも紹介されました。上記車両はいずれも、ブース内に実物が展示されています。

    自動運転機能を搭載した「エルガ EV」

     「運ぶ」の新たな価値を創造し、社会をより豊かにしたいという想いのもと「商用モビリティソリューションカンパニー」として歩み始めたいすゞグループ。

     スタートアップやアカデミアを含む多様なパートナーと協働する「共創」を掲げ、新しい挑戦を加速させていくとのことです。

    いすゞは新しい挑戦を加速させていく

    取材協力:いすゞグループ

    (ヨシクラミク)

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