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【ミリタリー魂】第19戦 ベルギー製軍用銃、FN-FAL講習会をレポート

ミリタリーな話題を毎回お届けしている「鉄砲蔵のミリタリー魂」
今回は知人からの情報で参加を決意した床井雅美氏のベルギー製軍用銃、FN-FAL講習会のレポート
今回ご紹介する床井雅美氏。多数の軍用銃に関する著書を記しており、奇遇にも僕も「世界の軍用拳銃」を持っていて愛読していました。それだけでなく多くのアニメ作品の銃考証も担当しており、作品内の銃撃シーンにリアリズムを与えているこの世界ではかなり有名なお方。


  • と言っても僕自身は今回の講習会の情報を頂くまでは床井氏に関しては本を一冊持っていただけで、お名前だけしか存じ上げておりませんでしたが参加してみてビックリ、まさかそこまでスゴイ方だったとは。

    今回の講習会、実銃の経験のない僕にも興味深い話しが盛りだくさん。
    頑丈な銃では世界一と思っていた旧ソ連製のAK47をはじめとするAKM、AK74等のAKシリーズ。
    実は現在レシーバー本体部分がスチール削り出しからプレス製になっており、そのため中心軸がよくズレるとのお話。

    その点、FN-FALなら使い古しても全くズレが生じず、イスラエルのライセンス生産品のハンドガード(銃身下のグリップ部分。射撃を続けた時に手を火傷しないようにするためのモノ)がオリジナルより短くしているのは、強烈な猛暑の砂漠で銃身がオーバーヒートしないようにするため等々、上げたらキリがないほど多くの知識を学べました。

    中でも印象的だったのはマレーシア製コピー品の話。
    本家FN社からライセンス生産の許可が下りず、じゃ~しょ~がないってことで勝手にコピー生産。その故障品がFN社に修理に出され、対応に困っているというお話でした。
    まるで最近の日本企業と中国製コピー製品の話みたいでもありますね。

    ちなみに日本の東京マルイというエアーガンメーカーも中国製コピー電動ガンの修理注文に困り果てているそうです。中国製電動ガンの中には射撃しているうちに配線が煙を吐く欠陥があるものもあるとか。それでも金属製の一体構造ボディーを目当てに買い求め、日本製電動ガンのユニットに交換して使っている人をサバイバルフィールドで見かけたことがあります。

    講演後、休憩中の麻井氏とお話すべく、喫煙室に少しお邪魔してみました。
    お会いしてみると床井氏、誰とも気さくに話をされる方のようで気軽に会話の輪に加えていただきました。
    銃の話以外にも地球温暖化のお話から、独自考察の冗談話まで様々。
    しかしながら楽天的な話題の一方で日本にもマラリアが流行する可能性だけは懸念されていました。マラリアは世界中で一番人が死ぬ伝染病だそうです。

    講演会が終わったら会場近くのイタリア料理店で懇親会。
    ここでも無可動銃は大人気。僕を含めて5人ぐらいが入れ替わり立ち替わりいじり回していました。時には部品の一部が外れたりしましたが持ち主の方、神経質になって怒るかと思ったら大らかに「あ、いいよいいよ~♪みんなで触ってよ~」でした。う~ん、みんないい仲間になりそう。

    スコープサイトを覗いてみたら狙う点の中心を示すレティクルという目印部分が珍しい金属製の指標だったのでデジカメで覗いて撮影してみました。思いの外うまくいったので掲載。

    次には講演会の最後に予告のあった「とこ散歩」。
    東京周辺で旧日本軍時代の兵器工場のあった場所を床井雅美氏とともに散歩するツアーの予告があり、参加者を募っていました。
    現在では跡形もなくなった場所が多いとのことでしたが、念のため探索してみよう、何か発見があればレポートしようと参加を決意。

    そして時は流れて「とこ散歩」当日の31日。
    持参した温度計によると集合時刻13時時点の気温は32℃。もっとスゴイ猛暑を覚悟していましたが比較的涼しい日でした。
    参加メンバーからは「30℃が涼しく感じるなんてね~。」と言う言葉。確かに最近の真夏は異常に猛暑です。
    お年寄りに昔話で聞いた話だと、昔は30℃になる日さえ珍しかったのに、現在では連日40℃の年もありますね。

    さて。今回見学する東京造兵工廠は明治元年(1867年)、現在の中央大学工学部後楽園キャンパスの辺りの江戸川沿いの土地を、(写真の地図の赤い線のEの字型の建物と河川の間の1ブロック区画)その当時あった水車小屋ごと買い取り、兵器司とう役所を設立。

    当時日本に流入していた二十数万丁にもなり、100種類以上にも及ぶ外国製の銃を使用できるモノと廃棄すべきモノの仕分け、前装銃→後装薬夾式銃への改造を最初の業務とした。後の西南戦争ではこのこの改造が大きな意味を持つことになったが、後に手狭となり、水戸藩邸を土地、建物込みで六万両(幕末においては一両=約5万円。しかしながら幕末と現代では労働賃金の価値や米の価値などに格差があり、あくまで目安値)で買い上げ、数々の組織改編を経て東京造兵工廠となりました。

    今回は散歩したエリアのうち、わずかに残った痕跡の写真をご紹介いたします。

    まずは後楽園駅前の公園の植え込みを入って行くと、この煉瓦のトンネル入り口のような場所へ。

    ここは東京造兵工廠の試射場跡地で、長さは300mあったそうです。ボコボコ開いている窪みは敵襲の弾痕ではなく、手前側に建物を増築した際のボルト痕ではないかとのことでした。現在は関東大震災や東京大空襲のダメージで落盤の恐れがあり、中に入るのは危険すぎるそうです。
    とは言ってもコッソリ中に入って写真を撮影し、廃屋マニアの同人誌を発行する人はいるようで、厳重に有棘鉄線が張られていました。

    次に戦没者霊園の記念碑にみんなで黙祷。

    次にその記念碑のすぐそばの記念館へ。痛々しい戦争の遺物が多数展示されていました。
    写真の刺繍の布のようなものは千人針といって千人の女性が一人一針づつ刺して刺繍を作って出征兵士に渡し、生還を祈願するおまじない品。千人の女性が兵士の生還を望んでいると言う意味で、これを腹に巻いていると敵弾がそれると言われたものです。

    次の写真の袋のようなものは慰問袋と言って出征兵士の家族が兵士に対する労いの品をこれに入れて前線に送ったものです。

    同時に遺品の拳銃が見つかったら警察に任意提出するようにとのチラシもあったので持ち帰りました。
    旧日本軍の拳銃と言えば博物館でグシャグシャに錆びているものか、発射機能が生きているものでもケーブルテレビのヒストリーチャンネルでアメリカで保存されているものを観るぐらいでした。

    ですがこのチラシで言っているように、やはり今でも日本国内で使用可能の銃が発見されることはあるんでしょうね。

    時々ニュースで不発爆弾処理の際に、油まみれのボール箱に収まっていたために第二次大戦の爆弾が新品同様で見つかるケースがあると言っていました。
    拳銃でも保存状態次第ではあり得ない話ではないかも。

    次に小銃工場跡地と試射場のターゲット確認用下りエレベーター跡地を見て回りましたが、残念ながら跡形もありませんでした。しかしながらその後、後楽園に向かう途中には歴史を感じさせる煉瓦塀も。みんな口々に手抜きのない職人芸の美しさに見入っていました。

    しかし後にその煉瓦の一部は砕かれて石垣のぐり石として使用されていました。床井さんの話だと、煉瓦塀は今の技術でも製造は可能であるものの、地震に極めて弱いので新たに建造する意味はないだろうとのこと。それで現在では表面だけ煉瓦タイルで飾り、中身は鉄筋コンクリート、という構造が多いそうです。決して職人芸が失われたわけではないようです。

    後楽園に入ると江戸時代風の土塀。
    すぐ向こうには後楽園遊園地の白壁が見え、絶叫マシーンの歓声が聞こえますが、後楽園球場の辺りがかつては造兵工廠の木工場だったそうです。床井さんは幼少期によくこの塀を乗り越えて中に入り、ザリガニ釣りをしたそうです。

    園内の休息所の脇に残っていた人が手を広げたくらいの直径の円盤のようなもの。
    これはかつて兵器工廠だったときに工作機械に使用された弾み車だそうです。昔の工場は一つの動力で工場内の全ての機械を動かしていたため、パワーを補うためにこのような巨大な弾み車が使用されていたそうです。

    今回の「とこ散歩」、主催者からも予告のあったとおり、やはり兵器工場としての痕跡は本当に僅かでしたが、幕末の頃の人々の歴史の営みを覗き見ることができました。

    最近は職人の手によるモノづくり技術の大切さがテレビで語られたりモノづくりをテーマにしたイベントも見かけます。
    戦後65年経った今でもガッチリ残っている煉瓦や土塀をみると今も昔も工業製品を作る職人の実力と心意気は変わらないと感じました。

    (文・写真:鉄砲蔵)

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