おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【うちの本棚】第七十六回 超人戦隊バラタック/池原しげと

「うちの本棚」、今回は棚の隅からロボットアニメのコミカライズ作品を掘り出してみました。まず最初は池原しげとの『超人戦隊バラタック』。作者はアニメ版でも原作とキャラクター原案を担当していたので、コミカライズというより原作コミックといった方がいいかもしれません。

本作は『鋼鉄ジーグ』『マグホロボ ガ・キーン』に続く磁力による変形合体ロボットシリーズの3作目である。


  • また本書はそのアニメ作品のコミカライズではあるが、原作とキャラクター原案に関わった作者によるものでもあり、原作コミックといってもいいかもしれない。

    超能力を持った5人の少年少女によって操縦される(というと語弊があるので説明すると、メインパイロットであるひとりが5人の精神エネルギーを集めてバラタックを操縦する)ロボットは戦闘スタイルや状況に応じてパーツ交換、変形合体する。この5人の超能力者のうち4人は、リーダーのマックを中心に地球の平和のために集まっていたが、マックの予知能力でゴルテウスという異星人の攻撃を知り、その最初のターゲットとなる加藤博士とその家族の保護に向かうのだが、妻と長男を拉致されてしまう。保護した加藤博士は「タイムリンクル」という超長距離宇宙航行を可能にするシステムを開発中であり、その完成に向け研究を進めてもらうことに。また次男であるユージにも超能力があることがわかり、5人目のバラタック隊員として地球防衛の任にあたってもらうことになる。

    バラタック隊のリーダーはマックであり、基本的にロボットの操縦もマックが中心となって行うという点でかなり異色な作品という評価が下されているようだが、コミック版ではユージがしっかりと主人公として活躍しておりロボットの操縦シーンもある。

    アニメの制作は東映動画(現・東映アニメーション)だったが、そういえば池原しげとは同じ東映作品の『魔女っ子メグちゃん』のコミカライズも担当していた。

    基本的に手塚調の絵柄で読みやすく、アニメ版のキャラクター原案を担当していたこともあってイメージのギャップも少ない。またアニメ作品よりもシリアスな内容になっていたようでストーリー的なまとまりも感じられる。強いて言えばせっかく超能力者の集団なのだからもう少し超能力の描写があってもよかったかと思うのだが、それをやってしまうとロボットの出番がなくなってしまうかもしれない。

    書 名/超人戦隊バラタック
    著者名/池原しげと
    収録作品/第1話・ユージ◆バラタック隊入隊、第2話・ハチュウロボ作戦、第3話・タイムリンクル完成阻止、第4話・ゴルテウス◆最後の攻撃
    発行所/1979年3月5日(3刷/初版発行日の記載なし)
    初版発行日/オハヨー出版
    シリーズ名/エース・ファイブ・コミックスS


    【文:猫目ユウ】
    フリーライター。ライターズ集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。 

    あわせて読みたい関連記事
  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】178回 魔女っ子メグちゃん/池原しげと

  • イデオン表紙
    コラム・レビュー

    【うちの本棚】169回 伝説巨神イデオン/古城武司、池原しげと(原作・矢立 肇、…

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に…
    2. 派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      「とても茨城県」というつぶやきとともに、Xに投稿された一枚の写真。そこには、一般的な工事現場のイメー…
    3. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…

    編集部おすすめ

    1. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    2. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    3. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    4. 宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      11月22日午前、X(旧Twitter)のトレンドに「宙組公演特別メニュー」が一時浮上し、ファンの間で大きな話題となりました。きっかけとなっ…
    5. ミラノで開催「IQOS Curious X Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      ミラノで開催IQOS X SELETTI「Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      フィリップ モリスが、イタリアでイベント「Sensorium Worlds」を開催。今回は、この壮大なイベントの模様とともに「IQOS To…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト