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日立、現場の技能伝承や作業効率化をめざすAI基盤技術の研究開発プロジェクトに参画

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株式会社 日立製作所


 日立は、科学技術振興機構(JST)の経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)の研究開発課題「ノウハウの効果的な伝承につながる人作業伝達等の研究デジタル基盤技術」*1において、この度、国立大学法人東京大学を代表機関とする研究開発プロジェクト『BioSkillDX:ライフサイエンス実験作業の暗黙知獲得と作業支援』に共同研究機関として参画することをお知らせします。本プロジェクトでは、ライフサイエンス分野の実験現場で求められる高度な技能やノウハウ、コツなどの暗黙知をAIで可視化・データ化し、誰もが高精度な実験を再現できる新たな作業支援基盤の開発に取り組みます。具体的には、細胞培養実験をはじめとするバイオ実験における手技のデータを蓄積し、熟練者の経験や勘に基づくノウハウやコツなどの暗黙知をAIが解析・抽出することで、非熟練者でも迷わず実験を進められる個別最適なフィードバックや実験プロトコル*2を提示できる仕組みの実現をめざします。これらの実現により、実験の再現性向上や人材育成の効率化、研究開発のスピードアップに貢献します。日立は、ライフサイエンス分野の知の循環とイノベーション創出の加速により、誰もが安心して健康に暮らせる持続可能で豊かな社会の実現をめざします。

*1 科学技術振興機構報 第1775号:経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)における新規採択課題の決定について
*2 実験プロトコル: 科学実験や研究において、実験の目的、使用する試薬や器具、手順、条件などを詳細かつ具体的に記述した手順書

■日立が担う開発領域と技術の特長
 ライフサイエンス分野の研究開発では、複雑な実験を高精度に行う熟練技術者の技能が成果の再現性や品質を大きく左右しています。しかし、実験プロトコルに書かれていない「ノウハウ」や「コツ」といった暗黙知が重要である一方、少子高齢化による熟練技術者の減少や技能伝承の属人化が進み、現場の生産性や人材育成の効率化が大きな課題となっています。こうした中、誰もが熟練技術者と同等の成果を出せる環境づくりが強く求められています。日立は、このような課題の解決に向けて、プロジェクトにおいて、以下のAIとセンシング技術を活用した、技能伝承・作業支援基盤の開発を担当します(図1)。本取り組みにより、現場の知見を組織や産業全体で共有・活用できる基盤を構築し、研究開発のスピードとイノベーション創出力の向上をめざします。

1. 熟練者の「ノウハウ」や「コツ」を誰もが再現できる感覚運動系AI技術
 映像や独自開発のグローブ型センサ*3等で、手指の動きや力加減といった繊細で感覚的な手技のデータを高精度に取得し、AIが熟練者と非熟練者の微細な差異をマルチモーダル*4に解析します。これにより、従来は言語化が難しかった「ノウハウ」や「コツ」といった暗黙知を形式知として記録することが可能になり、ラボや組織全体で再現性と実験品質を高めるための共通知識として活用できることが期待されます。

2. 個々の技能レベルに合わせた最適な作業支援・フィードバック
 AIがマルチモーダル解析に基づいて作業者個人の技能レベルを推定し、その人に合わせた最適なプロトコルや教材、フィードバックを提示します。従来は一律の教育や訓練に多く依存していた技能習得が、個人の習熟度に応じた動的な支援へと進化し、非熟練者でも高品質な成果を安定して実現できるようになります。これにより、人材育成の効率化や研究開発のスピードアップに貢献します。

[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/152541/36/152541-36-121220cada4cd76b9df5dd83d4df6671-3900x1622.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 グローブ型センサを活用した作業支援・フィードバックのイメージ

*3 センシング技術を活用した現場ノウハウの可視化 : 日立評論
*4 マルチモーダル: 画像、センサ信号、テキスト、音声など複数の異なる種類のデータ(モダリティ)を統合的に処理するアプローチ

 なお、本研究は、JST【経済安全保障重要技術育成プログラム】【JPMJKP25V1】の支援を受けて実施するものです。

■今後の展望
 本プロジェクトを通じて、ライフサイエンス分野における暗黙知を獲得・伝承するAI基盤技術の開発を推進し、技能伝承・作業効率化を支援するシステムの実現をめざします。また、日立は、本プロジェクトで得られた知見を活用し、現場の事象を効果的に統合調整する次世代AIエージェント「Frontline Coordinator - Naivy」*5への適用などを検討していき、Lumada 3.0を実現する技術として進化させていきます。 Naivyに、医療・創薬・バイオ産業などのライフサイエンス分野をはじめ、製造、建設、保守など幅広い産業分野のドメインナレッジを蓄積・活用することで、現場の再現性・生産性向上や人材育成の高度化を支援し、グローバルな現場力強化と社会課題解決に貢献していきます。

 なお、本取り組みの一部は2025年10月14日~17日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される「CEATEC 2025」で展示予定です。

*5 現場作業における心理的負担軽減と作業効率化を支援する次世代AIエージェント「Frontline Coordinator - Naivy」を開発:2025年7月3日

■関連情報
日立の研究開発ウェブサイト

■照会先
株式会社日立製作所 研究開発グループ
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