6月に入ってすっかり梅雨模様。今年は平年よりも雨量が多いということで、いつも以上に傘の出番も多くなっています。しかしそうは言ってもついつい傘を忘れてしまうのが人の性。これまで何度も何度もコンビニへ駆け込んでビニール傘を買いに走った人も多いのでは。

 そんなビニール傘ですが、誰のものか判別がつかなくて時に持ち去られてしまうことも。もぬけの殻状態の傘立てを見て”ぴえん”な思いをした人も多いのではないしょうか。そういった思いを断ち切るために立ち上がったとあるサラリーマンが制作した傘の柄カバーがTwitter上で大きな反響を呼びました。”ぴえん”とは最近SNSで流行っている「ぐすん」といった悲しい・困った感情を表現する、困り顔の絵文字とともに使われている表現。

 投稿したのは創作活動を趣味としている、Nぼっくす+さん。普段はとあるメーカーで企画やデザイン設計をしており、趣味でも様々なものつくりをされているそうで、梅雨入りした直後に傘を持ち去られてしまったことが傘の柄カバーを作るきっかけになったとのことです。今回のこのぴえんな絵文字入りカバーも、Nぼっくす+さん個人で趣味的に使う事を前提にして作られています。

 「コンビニ傘泥棒の良心に訴えかけるカバー作ったよ。盗られたら持ち主がこんな顔になるんだよ。もう持ってかないでね、マジで」と投稿されたツイートにある写真には、「ぴえん」な顔が柄の先端に描かれており、傘を差した時に「ぴえん」な顔とコンニチハしてしまう状態になります。

 しかしながらこの傘の柄カバー、ツイートでも仰られている通り、人々の良心に訴えかけるような作りですね。見てしまった筆者もつい、とても申し訳ない気持ちになります(念のために言っておきますが筆者はこれまで1度たりとも魔が差したことはございません)。どうしてこのような作りにしたのでしょうか?

「傘を持ち去ってしまう人は必ずしも悪い人ではなく、つい魔が差したという場合の方が多いと思ったんです。なので、持ち去られる人の気持ちを代弁するような作りにしました。」

 なるほど、”目は口ほどに物を言う“というヒトの心理を利用した設計なんですね。これを見た人は我に返って手を引っ込める方が続出しそうです。それにしてもいくらものつくりが趣味とはいえ、ここまでピッタリフィットするような傘の柄カバーが出来るのも驚きです。

 Nぼっくす+さんに制作過程をお伺いしたところ、あらかじめ傘の寸法を測って、3Dプリンタ(FLASHFORGE社のCreateProを使用)で出力したものを整えて並べて作られたそうです。趣味の範囲でここまでのものを作られるNぼっくす+さん。本業の方はもっとすごいものを作られてるんでしょう。


 Twitter上でも「天才発見」「ぴえんだ…」「ぴえん通り越してぱおんだわ」と大絶賛。

 そんなNぼっくす+さんですが、最後に製作者としての思いを明かしてくれました。

 「これでみんながぴえんしなくていい日を心から願っています」

 ちなみにですが、近ごろTwitterでよく使われているぴえんの顔文字ですが本来の意味は「訴えかける顔」。どうやらNぼっくす+さんは多くの人の心に訴えかけることに成功されたようですね。

<記事化協力>
Nぼっくす+さん(@cTstZKtDOlRIN1z)

(向山純平)