テレビ東京にて、向井理さん(宮部久蔵役)が主演をつとめるドラマ『永遠の0』(3回放送)が2月15日最終回を迎えた。
【関連:1945年8月19日、満州から妻を同乗させ飛び立った特攻兵がいた。】
本作は、百田尚樹さんの大ベストセラー小説が原作。2013年には岡田准一(V6)さん主演で映画化されており、こちらも大ヒットを記録している。
■ネット民の評価は?
大ヒット小説に、大ヒット映画。そんな背景をもった作品の宿命でドラマ版初日には、ネット上に「やはり宮部は岡田君」「映画版が豪華だったからGCがしょぼくみえる」「映画よりおもろない」など、映画版と比較する声が多くみられた。
しかし、放送を重ねるごとに良い評価も多くみられるようになり、最終回では「ドラマ版よかった」「映画も良いけどドラマもいい」「泣けた」という声も。ただ評価についてはネットを見る限りは、最後まで2分する状態がつづいていたようだ。
筆者は映画館で映画版を見た後、小説を読んだ。今回のドラマ版は全てリアルタイムで見ている。
個人の考えで映画版とドラマ版を比較ささせていただくと、映画版の良い面は物語をスッキリまとめてスピード感がある事。悪い面は、時間の関係からかいくつかのエピソードがザックリ紹介されたり削られていたりして、物語に若干物足りなさを感じた事。
対しドラマ版は時間もあることから、原作に忠実に作った作品という印象。その分、時間も見応えも充分あるが、逆に長い分途中間延びして感じる場面が少しあった。ただ話に関してはどちらも面白いと感じている。
なお、映画版・ドラマ版の比較については、原作者の百田さんは自身のTwitterアカウントで「山崎監督の映画版は大傑作であることを踏まえた上で言うが、ドラマは原作をなぞって丁寧に作られたものだった。」と評価している。
さて、ネットの評価について話を戻すと、Twitterに関しては、3回放送がおわってしばらくトレンドに『永遠の0』が入っている状態が続いていた。
テレビ東京の広報に確認してみたところ、本作が同時に放送されたのはテレビ東京系列6局に、びわ湖放送、岐阜放送、奈良テレビ放送、テレビ和歌山の4局の計10局。
10局でしか放送されなかったにもかかわらず、放送直後しばらくトレンド入りしていたというのは、視聴率ではあらわせない何かが、この作品にあったことは間違いなさそうだ。
■『永遠の0』は戦争賛美?
その他の意見ではこんなものも見られた「『永遠の0』は戦争を賛美しているので見ない」というもの。
筆者は前述のとおり、原作・映画・ドラマと全てみたが、そんな風に感じたことはないため、この意見にはかなり驚いてしまった。
「そういう風に読む人もいるのだな」と。
少し話はそれるが、以前当編集部で『妻と飛んだ特攻兵 ―8・19 満州、最後の特攻―』という豊田正義さんの本を紹介したことがあった。この本には、終戦直後の1945年8月19日、満州から妻とともに飛び立った特攻兵の話が綴られている。
関東軍がソ連への全面降伏を決めた後も、ソ連軍の侵攻は止まらなかった。飛び立ったのは11名。特攻兵を教育する教官達だったそうだ。教官達は居留民虐殺を偵察中に発見。
居留民の脱出時間を確保するために、また教官として年端もいかない教え子達を送り出しつづけた責任をおうため、有志による特攻を決めた。その中の一人、谷藤徹夫少尉には相思相愛の結婚まもない妻がいたが、特攻を決意。夫の固い決心を知った妻は、同乗を願いともに飛び立った……というもの。
戦争の悲惨さを伝える上では、こういう話はできるだけ広く知られて欲しいと願い紹介したつもりだったが、紹介直後に1つだけクレームが寄せられた。「特攻を賛美するな」と。
賛美するつもりは全くなかったし、実際賛美する文章は一行も書いていない。しかし意見が寄せられたということは、読む人にとってはそう取るのだなぁとこれも思わされる出来事だった。
なお、「『永遠の0』戦争賛美説」については、筆者と同じく疑問視する人が多いようで、ネットを見渡した限りでは否定派の人が多い印象。
「ラブ&ピースの脳で読むとそういう風に読めるのか」「所詮物語りを深読みし過ぎ」「戦争賛美?どうしてそうなった……」「純愛がテーマにしか見えないけど」という意見が見られた。
■Blu-ray、DVDが6月に発売
ちなみに、先に紹介したとおり、本作は10局でしか放送されていない。
今後放送される局もあるようだが、全ての地域で放送されるわけではないようす。
見てみたいけど見られない!というやきもきした人達には朗報かもしれない。実は本作6月26日にBlu-ray&DVDの発売が決定している。
しかも時間の関係上放送できなかった未公開映像を加えたディレクターズカット完全版として発売されるそうだ。
価格はBlu-rayボックスが16000円(税別)、DVDボックスが12000円(税別)となっている。